口コミ│神戸・福原 ソープランド Club Royal (クラブロイヤル)
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れもん【VIP】(23)
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投稿者:仙人とパン様
ご来店日 2023年04月09日
前回の投稿「これはクチコミではない」について、れもんちゃんから、長くてもいいから元のクチコミを投稿せよとお達しがあった。下書きに使っているメールソフトに、どうにか投稿できる長さまで短縮を試みた残骸が保存されていたので、それを出すことにする。作ってから時間が経ち、読み返すのさえ苦痛なのに、ポチポチ打ち込んでいくのは、つらいなぁ。投稿画面でコピペが可能ならとっても嬉しいんだが。
まあ、いいや。それでは、始めます。
神戸からの帰りの電車の中で、私は宵闇迫る街の景色を眺めながら、まるで露天温泉のように、れもんちゃんの余韻に首まで浸りきっていた。
芦屋を過ぎた辺りで、さてクチコミでも書くかと思ったとき、急に強い視線を感じて顔を上げると、向かいの席に白髪白髯の老人が座っていた。作務衣のような服を着て、前屈みになり、こちらを窺っている。瞑目中にも見える糸目だが、怪しい光が籠っていた。
気味の悪いヤツだなと感じた瞬間、白い口髭の下で上唇が微かに動いたように見えた。
「お前、この世の者とは思われぬ美女と一時を過ごしたな。相手は、れもんだな」と耳元すぐで声がした。何もない所から耳朶に直接息を吹き掛けられた感触があり、そして、周りの様子からして、その声は私にしか聞こえていないのだ。ただ、そのとき、私を襲ったのは、驚きではなく、怒りだった。
「れもんちゃんを呼び捨てにするとは何だ、この糞ジジイめ」
その胸中の叫びに応えるように、老人は眉をひそめたように見えた。俺が頭の中で思ったことが、聞こえているのか?
「聞こえとるわ」老人の声が耳元で響いた。「お前は、仙女と交わったために、一時的に神通力を身に付けたのだ」
矛盾を承知で名付ければ、物質的な感覚を伴う以心伝心だった。
「これは、これは。してみれば、あんたは仙人だ」
老人は頷いた。
「そうして、れもんちゃんは仙女だ」
「そうだ。驚いたか」
「いや。自分でも驚くほど、驚いていない。れもんちゃんには、会うたびに、もっともっと驚かされている。あんなに凄いのには何か裏があるに違いないと踏んでいたから、理由を知って、少し気持ちが落ち着いたぐらいだ」
「あのイタズラ娘は類い稀なる淫力を持つ仙女だ。しばらく前に仙人界から逐電し、今はワンちゃんと暮らしておる」
「写メ日記に出てる、あのワンちゃんですな」
二人はこんな具合に無言で言葉を交わし続けたが、仙人の声が私の頭蓋内に響き渡るのには閉口した。耳が遠い人には声を張り上げる傾向が見られるが、同じような感じで、爺さん、声がやたらとデカいのだ。お陰で脳が揺さぶられて、船酔いに似た状態に向かっていることを感じ取った私は、最も切実な問いを急いだ。
「一つだけ教えてほしい。れもんちゃんは、ずっと福原にいてくれるのか。それとも仙人の国に戻ってしまうのか」
「それは分からん。れもんは、新型コロネの流行以降の仙人界に愛想を尽かしたのだ」
「新型コロネ?コロナだな。コロネはパン、菓子パンだ」
「新型コロネだ。コロナなんて、我々仙人には何物でもない。知らんだろうが、仙人界で副業と言えば、パン屋に決まっているのだ」
「そうなんだ。仙人ってパンを焼けるんだ」
「いや、もっぱら食べる方だな。作るとなれば修業も要るし、どう考えても面倒だろ」
分からなくなってきた。どうしてパンを食べるだけでパン屋と呼ばれて、それが副業として成り立つのか、どうして新しいコロネの人気が出奔を促すほどのインパクトを持つのか等、仙人社会は謎だらけだった。しかし、この感覚、れもんちゃんとの会話の中にもあることを思い出した。時々、会話の中に不思議なアイテムを放り込んで平気な顔をしているのは、れもんちゃんが仙女だったからなんだ。
その辺りの事情を更に糺そうとしたとき、電車は尼崎駅のホームに入った。乗り降りの人の動きが落ち着くのを待つ間に、老人の表情が変わった。
「いかん。これはいかんぞ」仙人は突然立ち上がった。「さっき食べたコロッケパンのコロッケを揚げた油が古かったようだ。腹が下ってきた」と言い切らぬ内に、閉まりかけたドアをすり抜けるように電車を降りてしまった。後を追うこともできず、動き出した電車の窓から、極端な内股と狭いストライドで駅のホームを精一杯急ぐ老人を呆然と見守っていたが、長い白髪の襟足にレモン・イエローの部分メッシュが垣間見えた瞬間、れもんちゃんに授けてもらった神通力のお陰だろう、私は全てを悟った。こいつも、れもんちゃんに通っている。とんだエロ仙人だ。仙人がそういうことでいいのか、と感じた刹那、引き攀った声で仙人が耳元に怒鳴り返してきた。
「うるさい。余計なお世話だ。仙人だって楽しみたいんだ」
危うく脳震盪を起こすところだった。
「うるさいのは、お前だ。れもんちゃんにもらった神通力で、尼崎駅の個室トイレを全部使用中にしてやる」
「それは、止め・・・」
電車が駅を出た途端、仙人の声は一気に減衰し、
たちまち全く聞こえなくなった。私の周りは森の中のように静かになった。
仙人なんて、もうどうでもよくなった。思い出されるのは、れもんちゃんだけだった。
そうか、れもんちゃんは、やっぱり違う世界から来た人だったんだ・・・そうと知って、色々と腑に落ちた。れもんちゃんを知ってから、世界が一変し、他の女の子ではダメになってしまったことも。
さっき別れたばかりだったが、またすぐにでも、れもんちゃんに会いたかった。仙人から聞きそびれたことを訊きたかった。新型コロネって、どんな味なのかも尋ねたかった。しかし、そんなことをしたら、れもんちゃんは永遠に私の前から消えてしまいそうな気がした。
れもんちゃんの秘密は命に代えてでも守らなければならない。今あったことは、全て私の胸の中に秘めておくしかないのだ。ああ、れもんちゃん、れもんちゃん。
こういう事情だから、これから家に帰り、出迎えた家人から「今日は、何か変わったこと、あった?」と訊かれても、「いいえ。私は、部分メッシュを入れた仙人に会ったことなどありません」と答えるしかないのだし、たとえ今日の夕飯がコロッケパンだったとしても、「夕飯にコロッケパンを食べるのは生まれて初めてだけど、最高に美味しいね」と満面の笑みを浮かべなければならないし、そして何より今日に限っては、どうしてもクチコミを投稿することが不可能だった。うっかり筆を滑らせて、れもんちゃんが仙女であることが世間に知れ渡ったら、死んでもお詫びをしきれるものではない。
悲壮な覚悟を胸に、私は、すっかり宵闇に沈んだ田園風景を横切る電車の窓からクロワッサンのような、クリームパンのような月を見上げていた。
仙人とパン様ありがとうございました。
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投稿者:仙人とパン様
ご来店日 2023年04月09日
まあ、いいや。それでは、始めます。
神戸からの帰りの電車の中で、私は宵闇迫る街の景色を眺めながら、まるで露天温泉のように、れもんちゃんの余韻に首まで浸りきっていた。
芦屋を過ぎた辺りで、さてクチコミでも書くかと思ったとき、急に強い視線を感じて顔を上げると、向かいの席に白髪白髯の老人が座っていた。作務衣のような服を着て、前屈みになり、こちらを窺っている。瞑目中にも見える糸目だが、怪しい光が籠っていた。
気味の悪いヤツだなと感じた瞬間、白い口髭の下で上唇が微かに動いたように見えた。
「お前、この世の者とは思われぬ美女と一時を過ごしたな。相手は、れもんだな」と耳元すぐで声がした。何もない所から耳朶に直接息を吹き掛けられた感触があり、そして、周りの様子からして、その声は私にしか聞こえていないのだ。ただ、そのとき、私を襲ったのは、驚きではなく、怒りだった。
「れもんちゃんを呼び捨てにするとは何だ、この糞ジジイめ」
その胸中の叫びに応えるように、老人は眉をひそめたように見えた。俺が頭の中で思ったことが、聞こえているのか?
「聞こえとるわ」老人の声が耳元で響いた。「お前は、仙女と交わったために、一時的に神通力を身に付けたのだ」
矛盾を承知で名付ければ、物質的な感覚を伴う以心伝心だった。
「これは、これは。してみれば、あんたは仙人だ」
老人は頷いた。
「そうして、れもんちゃんは仙女だ」
「そうだ。驚いたか」
「いや。自分でも驚くほど、驚いていない。れもんちゃんには、会うたびに、もっともっと驚かされている。あんなに凄いのには何か裏があるに違いないと踏んでいたから、理由を知って、少し気持ちが落ち着いたぐらいだ」
「あのイタズラ娘は類い稀なる淫力を持つ仙女だ。しばらく前に仙人界から逐電し、今はワンちゃんと暮らしておる」
「写メ日記に出てる、あのワンちゃんですな」
二人はこんな具合に無言で言葉を交わし続けたが、仙人の声が私の頭蓋内に響き渡るのには閉口した。耳が遠い人には声を張り上げる傾向が見られるが、同じような感じで、爺さん、声がやたらとデカいのだ。お陰で脳が揺さぶられて、船酔いに似た状態に向かっていることを感じ取った私は、最も切実な問いを急いだ。
「一つだけ教えてほしい。れもんちゃんは、ずっと福原にいてくれるのか。それとも仙人の国に戻ってしまうのか」
「それは分からん。れもんは、新型コロネの流行以降の仙人界に愛想を尽かしたのだ」
「新型コロネ?コロナだな。コロネはパン、菓子パンだ」
「新型コロネだ。コロナなんて、我々仙人には何物でもない。知らんだろうが、仙人界で副業と言えば、パン屋に決まっているのだ」
「そうなんだ。仙人ってパンを焼けるんだ」
「いや、もっぱら食べる方だな。作るとなれば修業も要るし、どう考えても面倒だろ」
分からなくなってきた。どうしてパンを食べるだけでパン屋と呼ばれて、それが副業として成り立つのか、どうして新しいコロネの人気が出奔を促すほどのインパクトを持つのか等、仙人社会は謎だらけだった。しかし、この感覚、れもんちゃんとの会話の中にもあることを思い出した。時々、会話の中に不思議なアイテムを放り込んで平気な顔をしているのは、れもんちゃんが仙女だったからなんだ。
その辺りの事情を更に糺そうとしたとき、電車は尼崎駅のホームに入った。乗り降りの人の動きが落ち着くのを待つ間に、老人の表情が変わった。
「いかん。これはいかんぞ」仙人は突然立ち上がった。「さっき食べたコロッケパンのコロッケを揚げた油が古かったようだ。腹が下ってきた」と言い切らぬ内に、閉まりかけたドアをすり抜けるように電車を降りてしまった。後を追うこともできず、動き出した電車の窓から、極端な内股と狭いストライドで駅のホームを精一杯急ぐ老人を呆然と見守っていたが、長い白髪の襟足にレモン・イエローの部分メッシュが垣間見えた瞬間、れもんちゃんに授けてもらった神通力のお陰だろう、私は全てを悟った。こいつも、れもんちゃんに通っている。とんだエロ仙人だ。仙人がそういうことでいいのか、と感じた刹那、引き攀った声で仙人が耳元に怒鳴り返してきた。
「うるさい。余計なお世話だ。仙人だって楽しみたいんだ」
危うく脳震盪を起こすところだった。
「うるさいのは、お前だ。れもんちゃんにもらった神通力で、尼崎駅の個室トイレを全部使用中にしてやる」
「それは、止め・・・」
電車が駅を出た途端、仙人の声は一気に減衰し、
たちまち全く聞こえなくなった。私の周りは森の中のように静かになった。
仙人なんて、もうどうでもよくなった。思い出されるのは、れもんちゃんだけだった。
そうか、れもんちゃんは、やっぱり違う世界から来た人だったんだ・・・そうと知って、色々と腑に落ちた。れもんちゃんを知ってから、世界が一変し、他の女の子ではダメになってしまったことも。
さっき別れたばかりだったが、またすぐにでも、れもんちゃんに会いたかった。仙人から聞きそびれたことを訊きたかった。新型コロネって、どんな味なのかも尋ねたかった。しかし、そんなことをしたら、れもんちゃんは永遠に私の前から消えてしまいそうな気がした。
れもんちゃんの秘密は命に代えてでも守らなければならない。今あったことは、全て私の胸の中に秘めておくしかないのだ。ああ、れもんちゃん、れもんちゃん。
こういう事情だから、これから家に帰り、出迎えた家人から「今日は、何か変わったこと、あった?」と訊かれても、「いいえ。私は、部分メッシュを入れた仙人に会ったことなどありません」と答えるしかないのだし、たとえ今日の夕飯がコロッケパンだったとしても、「夕飯にコロッケパンを食べるのは生まれて初めてだけど、最高に美味しいね」と満面の笑みを浮かべなければならないし、そして何より今日に限っては、どうしてもクチコミを投稿することが不可能だった。うっかり筆を滑らせて、れもんちゃんが仙女であることが世間に知れ渡ったら、死んでもお詫びをしきれるものではない。
悲壮な覚悟を胸に、私は、すっかり宵闇に沈んだ田園風景を横切る電車の窓からクロワッサンのような、クリームパンのような月を見上げていた。
仙人とパン様ありがとうございました。