口コミ│神戸・福原 ソープランド Club Royal (クラブロイヤル)
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れもん【VIP】(23)
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投稿者:シン太郎左衛門、出張中様
ご来店日 2023年06月11日
(タイトルは、「シン太郎左衛門、出張中」だが、出張したのは私であって、シン太郎左衛門は単にくっ付いてきた。シン太郎左衛門シリーズも今回で5回目。なぜか毎回長くなる。今回は頑張って、短かくしたい)
我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は自称武士だが、私はそんなこと信じていない。目下、彼の最大の願いは、私とスッパリ縁を切り、れもんちゃんの部屋の置物になることらしい。こんなことを考えている馬鹿が武士である訳がない。
願いと言えば、シン太郎左衛門には、置物願望以外にも、私と縁を切って、電車で独り旅に出るという長年の夢がある。行き先なんて、どこでもいい。駅弁を広げて、車窓を流れる景色をぼんやりと眺めていたい。そんな他愛ない話だ。やっぱり武士らしくない。
さて、昨日まで松江に出張していた。
私は元々旅行が嫌いな上に、独り旅に強い憧れを持つシン太郎左衛門が、その旅行嫌いに拍車をかけてきて、本当に辛い出張だった。
準備を済ませて職場を出たのは夕方6時。大汗かいて飛び乗った新幹線から、岡山駅で「特急やくも」に乗り継いだときには、もう疲れ切っていたのに、席に座って、一息吐いた後、レジ袋から駅弁を取り出す音を聞き付けたシン太郎左衛門が難癖を付けてきた。
「その音、弁当でござるな。座敷牢にも似た暗がりに拙者を押し込めておいて、父上は独り弁当を広げ、旅気分をご満喫とは、まことにもって羨ましい」と嫌味タラタラだ。
食欲がある訳でもなく、ただ何か腹に入れておかねば、と買った弁当だったし、羨望に値する要素は何一つないのだが、それを言って聞かせば理解できるシン太郎左衛門ではない。
「拙者にも弁当をくだされ」
「お主は飲み食いとは無縁だろ」
「駅にて求める弁当は食べ物ではござらぬ。旅に彩りを添えるための飾り物でござる。無事に旅を終えた後は、感謝の気持ちを込めて河に流しまする」
「駅弁って、そんな仏様のお供えみたいなものだったのか。そうとは知らずに、これまで普通に食ってきた。そして、これからも普通に食う」
「なんとも野卑な。父上に買われた弁当が可哀想でござる。心ある旅人に賞られるために生まれて参ったのに、野人の顎にかかって果てようとは」
元々グラついていた食欲が、この一言で根こそぎにされてしまった。
「全く食べたくなくなった。弁当はお前にやろう」
「それは忝ない。父上の幕の内弁当、拙者の旅のお供として大切に致しまする」
「幕の内?違うぞ。焼肉弁当だ」
「焼肉弁当でござるか。なんと、また、これくらい見ていて楽しくない弁当もない。一面に腐した桜花の色でござる」
「そう言われると、風情を感じるなぁ」
「何を愚かな。焼肉弁当に旅情を掻き立てられるなどと、れもんちゃんに言ってはなりませぬぞ。とんだ変態だと思われまする」
シン太郎左衛門に何と言われようと、私は腐した桜花色の焼肉弁当のため、一肌脱ぐ覚悟を決めていた。
「では、この焼肉弁当、要らんのだな。ただ、言っておく。この一面の腐した桜花の色こそ、侘び寂びの世界だぞ」
シン太郎左衛門、うっと言葉に詰まった。
「焼肉弁当は、侘び寂びでござるか」
「そうだ。和の心そのものだ」
「う~む、拙者、幕の内弁当や季節の彩り弁当など、目にも鮮やかであってこそ、旅情を添えると考えてござった。しかし、それは拙者の早合点。その侘び寂び、早速賞翫致したい。拙者をここから出してくだされ」
「断る」
「かくまで焼肉弁当を勧めておきながら、何故断られるか。ここに閉じ込められておっては、侘びも寂びもござらぬ。外の景色も見たい。出してくだされ」
「断る。夜も更けてきた。外の景色もない。ただ暗闇に灯りがポツポツ見えるばかりだ」
「それが見たい。出してくだされ」
「何と言われても断る。お前を出した途端に行き先が変わってしまうからな」
「異なことを。行き先が何処になると」
「それは俺にも分からん。制止されても、お前を出し続けることに執着すれば、鉄格子の向こうになるかも知れん。とにかく一旦電車から降ろされる。せっかく指定までとったのに」
「それでも構わぬ。うん十年来の宿願、ここにて果たす。ここから出せ。この変態オヤジめ」
シン太郎左衛門は、一見手が付けられないほど怒り狂っている。しかし、れもんちゃんのことで怒らせたときは別として、それ以外の原因なら彼の怒りを静めるのは実に容易いことなのだ。
「シン太郎左衛門、お前の浅慮には呆れるぞ。この出張から帰った翌日、誰がお主を待っているか、忘れたか」
この一言に、シン太郎左衛門の怒声はピタリと止んだ。そして、脂下がった、いや鼻の下が伸び切った声で、「忘れる訳がござらぬ。れもんちゃんでござる」
まるでマタタビをもらった猫のように喉をゴロゴロ鳴らしている。
「れもんちゃんは素晴らしいな」
「素晴らしすぎるでござる」
「早く会いたいな」
「今すぐ会いたい」
「そうだ。しりとりをしよう。俺からいくぞ。『れもんちゃんの笑顔』、『お』だぞ」
「『お』?それはいかん。『お』だけは勘弁してくだされ」
「では、『れもんちゃんの髪の毛』、『け』だぞ」
「『髪の毛』?『髪の毛』だけは許してくだされ」
れもんちゃんしりとりは、いつやってもシン太郎左衛門を興奮の坩堝に叩き込む。喜びすぎて、ヒーヒー言っている。
「父上は、まこと、しりとりがお強い。そう初手から大将級を繰り出されては、拙者では、とても相手になり申さぬ」
「参ったか」
「参りました」
「では訊く。れもんちゃんと独り旅、どちらが大事なのだ」
「言うまでもないこと。帰還の翌日、れもんちゃんに会えることを思えば、初めからケチのついたこの旅も楽しいものに思えて参った」
「そうだろう」
「だが父上」と、やり込められたはずのシン太郎左衛門が急に凛々しい表情になり、「れもんちゃんは侘び寂びではござらぬ。雅びでござろう」
「うむ。いかにもその通りだ。我々親子、確かに侘び寂び派ではないな。次から駅弁は、幕の内弁当か季節の彩り弁当にしよう」
「それがようござる。れもんちゃんは、彩りばかりでなく、味わいも格別でござる」
「それは言うな。品格が問われる」
「口が滑り申した」
「向後、気を付けぃ」
「畏まってござる」
「シン太郎左衛門、聴け、レールの上を走る車輪の音を。この電車は今、松江に向かっているのではない。3日後の、れもんちゃんに向かって走るのだ」
「おお、左様でござれば、何があっても行き先を変える訳にはゆきませぬ」
「そういうことだ。肝に銘じておけ」
「確かに承ってござる」
それからシン太郎左衛門は静かになった。車輪の音を聴いているのだろう。それは今、シン太郎左衛門の耳に、「ガタンゴトン、ガタンゴトン」ではなく、「れもん、れもん。れもん、れもん」と響いている。
今回も、れもんちゃんの取り成しにより、親子の絆は保たれた。
一件落着。めでたし、めでたし。
そうこうしているうちに、今回もやはり長くなってしまった。済まぬことでござる。
シン太郎左衛門、出張中様ありがとうございました。
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投稿者:シン太郎左衛門、出張中様
ご来店日 2023年06月11日
我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は自称武士だが、私はそんなこと信じていない。目下、彼の最大の願いは、私とスッパリ縁を切り、れもんちゃんの部屋の置物になることらしい。こんなことを考えている馬鹿が武士である訳がない。
願いと言えば、シン太郎左衛門には、置物願望以外にも、私と縁を切って、電車で独り旅に出るという長年の夢がある。行き先なんて、どこでもいい。駅弁を広げて、車窓を流れる景色をぼんやりと眺めていたい。そんな他愛ない話だ。やっぱり武士らしくない。
さて、昨日まで松江に出張していた。
私は元々旅行が嫌いな上に、独り旅に強い憧れを持つシン太郎左衛門が、その旅行嫌いに拍車をかけてきて、本当に辛い出張だった。
準備を済ませて職場を出たのは夕方6時。大汗かいて飛び乗った新幹線から、岡山駅で「特急やくも」に乗り継いだときには、もう疲れ切っていたのに、席に座って、一息吐いた後、レジ袋から駅弁を取り出す音を聞き付けたシン太郎左衛門が難癖を付けてきた。
「その音、弁当でござるな。座敷牢にも似た暗がりに拙者を押し込めておいて、父上は独り弁当を広げ、旅気分をご満喫とは、まことにもって羨ましい」と嫌味タラタラだ。
食欲がある訳でもなく、ただ何か腹に入れておかねば、と買った弁当だったし、羨望に値する要素は何一つないのだが、それを言って聞かせば理解できるシン太郎左衛門ではない。
「拙者にも弁当をくだされ」
「お主は飲み食いとは無縁だろ」
「駅にて求める弁当は食べ物ではござらぬ。旅に彩りを添えるための飾り物でござる。無事に旅を終えた後は、感謝の気持ちを込めて河に流しまする」
「駅弁って、そんな仏様のお供えみたいなものだったのか。そうとは知らずに、これまで普通に食ってきた。そして、これからも普通に食う」
「なんとも野卑な。父上に買われた弁当が可哀想でござる。心ある旅人に賞られるために生まれて参ったのに、野人の顎にかかって果てようとは」
元々グラついていた食欲が、この一言で根こそぎにされてしまった。
「全く食べたくなくなった。弁当はお前にやろう」
「それは忝ない。父上の幕の内弁当、拙者の旅のお供として大切に致しまする」
「幕の内?違うぞ。焼肉弁当だ」
「焼肉弁当でござるか。なんと、また、これくらい見ていて楽しくない弁当もない。一面に腐した桜花の色でござる」
「そう言われると、風情を感じるなぁ」
「何を愚かな。焼肉弁当に旅情を掻き立てられるなどと、れもんちゃんに言ってはなりませぬぞ。とんだ変態だと思われまする」
シン太郎左衛門に何と言われようと、私は腐した桜花色の焼肉弁当のため、一肌脱ぐ覚悟を決めていた。
「では、この焼肉弁当、要らんのだな。ただ、言っておく。この一面の腐した桜花の色こそ、侘び寂びの世界だぞ」
シン太郎左衛門、うっと言葉に詰まった。
「焼肉弁当は、侘び寂びでござるか」
「そうだ。和の心そのものだ」
「う~む、拙者、幕の内弁当や季節の彩り弁当など、目にも鮮やかであってこそ、旅情を添えると考えてござった。しかし、それは拙者の早合点。その侘び寂び、早速賞翫致したい。拙者をここから出してくだされ」
「断る」
「かくまで焼肉弁当を勧めておきながら、何故断られるか。ここに閉じ込められておっては、侘びも寂びもござらぬ。外の景色も見たい。出してくだされ」
「断る。夜も更けてきた。外の景色もない。ただ暗闇に灯りがポツポツ見えるばかりだ」
「それが見たい。出してくだされ」
「何と言われても断る。お前を出した途端に行き先が変わってしまうからな」
「異なことを。行き先が何処になると」
「それは俺にも分からん。制止されても、お前を出し続けることに執着すれば、鉄格子の向こうになるかも知れん。とにかく一旦電車から降ろされる。せっかく指定までとったのに」
「それでも構わぬ。うん十年来の宿願、ここにて果たす。ここから出せ。この変態オヤジめ」
シン太郎左衛門は、一見手が付けられないほど怒り狂っている。しかし、れもんちゃんのことで怒らせたときは別として、それ以外の原因なら彼の怒りを静めるのは実に容易いことなのだ。
「シン太郎左衛門、お前の浅慮には呆れるぞ。この出張から帰った翌日、誰がお主を待っているか、忘れたか」
この一言に、シン太郎左衛門の怒声はピタリと止んだ。そして、脂下がった、いや鼻の下が伸び切った声で、「忘れる訳がござらぬ。れもんちゃんでござる」
まるでマタタビをもらった猫のように喉をゴロゴロ鳴らしている。
「れもんちゃんは素晴らしいな」
「素晴らしすぎるでござる」
「早く会いたいな」
「今すぐ会いたい」
「そうだ。しりとりをしよう。俺からいくぞ。『れもんちゃんの笑顔』、『お』だぞ」
「『お』?それはいかん。『お』だけは勘弁してくだされ」
「では、『れもんちゃんの髪の毛』、『け』だぞ」
「『髪の毛』?『髪の毛』だけは許してくだされ」
れもんちゃんしりとりは、いつやってもシン太郎左衛門を興奮の坩堝に叩き込む。喜びすぎて、ヒーヒー言っている。
「父上は、まこと、しりとりがお強い。そう初手から大将級を繰り出されては、拙者では、とても相手になり申さぬ」
「参ったか」
「参りました」
「では訊く。れもんちゃんと独り旅、どちらが大事なのだ」
「言うまでもないこと。帰還の翌日、れもんちゃんに会えることを思えば、初めからケチのついたこの旅も楽しいものに思えて参った」
「そうだろう」
「だが父上」と、やり込められたはずのシン太郎左衛門が急に凛々しい表情になり、「れもんちゃんは侘び寂びではござらぬ。雅びでござろう」
「うむ。いかにもその通りだ。我々親子、確かに侘び寂び派ではないな。次から駅弁は、幕の内弁当か季節の彩り弁当にしよう」
「それがようござる。れもんちゃんは、彩りばかりでなく、味わいも格別でござる」
「それは言うな。品格が問われる」
「口が滑り申した」
「向後、気を付けぃ」
「畏まってござる」
「シン太郎左衛門、聴け、レールの上を走る車輪の音を。この電車は今、松江に向かっているのではない。3日後の、れもんちゃんに向かって走るのだ」
「おお、左様でござれば、何があっても行き先を変える訳にはゆきませぬ」
「そういうことだ。肝に銘じておけ」
「確かに承ってござる」
それからシン太郎左衛門は静かになった。車輪の音を聴いているのだろう。それは今、シン太郎左衛門の耳に、「ガタンゴトン、ガタンゴトン」ではなく、「れもん、れもん。れもん、れもん」と響いている。
今回も、れもんちゃんの取り成しにより、親子の絆は保たれた。
一件落着。めでたし、めでたし。
そうこうしているうちに、今回もやはり長くなってしまった。済まぬことでござる。
シン太郎左衛門、出張中様ありがとうございました。