口コミ│神戸・福原 ソープランド Club Royal (クラブロイヤル)
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れもん【VIP】(23)
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投稿者:シン太郎左衛門(あるいは着脱式の武勇伝)様
ご来店日 2023年09月24日
我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は武士を自称している。それが何を意味するのか、私にはよく分かっていないが、立ち入るのは面倒なので、受け流している。
日曜日の朝。
今日も、れもんちゃんに会いにいくから、二人ともニコニコ笑顔で過ごしていた。
と、シン太郎左衛門が、「『シン太郎左衛門シリーズ』も早20回を数えまする」と、なんとなく誇らしげだ。
「20回か・・・もうそんなになるのか・・・」と言ってはみたが、何の感慨もなかった。
「それもこれも読者の皆様のご愛顧の賜物でござる」
「『読者の皆様』って、誰のこと?」
「それは・・・れもんちゃん」
「そうだ、れもんちゃんだ。れもんちゃんだけだ。少なくとも俺は他の読者の存在を感じたことはない。れもんちゃんは、『この前来てくれたお客さんが、シン太郎左衛門、面白いって言ってたよ』とか言ってくれるが、優しいウソに決まってる。こんなもの、面白いはずがない」
「れもんちゃんしか読んでいない上に、唯一の読者であるれもんちゃんにも余計な気を使わせているだけということでござるな」
「そういうこと」
「我々親子、相当にイタい奴らでござる」
「そういうこと。お前、まさか世間で『シン太郎左衛門シリーズ』が人気沸騰で、ファンレターの一つでも来ると期待してたのか?」
「うむ。そのうち『時下益々の御活躍、お慶び申し上げ候。貴殿のシリーズ、毎週、鶴首致しおり候』というメールでも来るかと」
「そんなことあるか」と笑い飛ばしかけたが、苦労左衛門の件が頭を過り、急に不安になった。
「お前、まさか変なことしてないよな?」
「うむ。変なことはしてござらぬが・・・」
「が・・・?」
「クラブロイヤルの待合室で隣りに誰かおられれば、声をかけまする。『もし、お隣の御仁。不躾ながら、貴殿、武士ではござらぬか』と訊いて、『麿は武士ではおじゃらぬ』とあれば、『これはお公家さま。ご無礼致しました』と詫びまする。『いかにも拙者、武士でござる』とのことであれば、れもんちゃんを宣伝するが、決まって『れもん姫のご高名はかねがね聞き及びまするが、確かいつも予約が一杯のはず』との事でござるによって、『シン太郎左衛門シリーズ』を紹介し、『拙者、このシリーズに出演してござる。是非ご一読の上、ご意見・ご要望は、こちらまで』と父上のメールアドレスをお伝えする」
しばし言葉を失った。
「お前・・・そんなことをしてたのか・・・即刻、メアドを変更しよう」
「いや、それには及びますまい。結局、誰も『シン太郎左衛門シリーズ』は読んでない」
「う~ん、それはそうだが・・・いずれにせよ、今後、隣の武士と話すのは止めてね。特に『シン太郎左衛門シリーズ』を勧めるのは絶対止めること。恥ずかしすぎる」
「うむ」
こんな他愛のない会話を交わし、時間になったので、「レッツゴー、れもんちゃん!!」を連呼しながら家を出た。
駅までの道々、隣家の御曹司、ニートの金ちゃんに出会った。正確を期せば、疲労の余り悲壮な表情を浮かべる金ちゃんを引き摺りながら溌剌と散歩するラブラドール・レトリバーのラッピーに出会った。
「ラッピー、いつも元気だね。でも、もう少しお手柔らかにしてあげないと、金ちゃん、死にかけてるよ」と声をかけた。
それから、しばらく一緒に歩いていると、川のそばでラッピーが何を思ったか、突然トップスピードで駆け出した。
「ラッピー、だめ!」
金ちゃんは必死になって追い縋ったが、バタバタとした足取りで今にも倒れそうだった。
「おじさん、助けて!」との叫びに全速力で駆け付けて、金ちゃんの手を離れたリードの端を間一髪掴み取った。
しかし、ラッピーのパワーは、想像を遥かに超えていた。川に向かって猛然と進むラッピーを引き留めることは、私の手に余る難事業だった。
「ラッピー、止まってくれ!」
このまま土手に突き進めば、斜面に足を取られて派手に転び、一気に加速のついた私の身体は、ラッピーさえも追い抜いて、瞬く間に川面に大きな水柱を立てるだろう。
思わず、「シン太郎左衛門、お前も手を貸せ」と叫ぶと、ズボンのチャックがスッと下り、小さな影が宙を舞った。
次の瞬間、シン太郎左衛門は、ラッピーの背に乗り、首輪をしっかりと握り締めていた。ただ「乗りこなしている」と言うのは当たらない。「必死にしがみついている」だけで、何の助けにもならなかった。
「シン太郎左衛門、前言撤回だ。戻れ」
「無理でござる。ラッピーを止めてくだされ」と言ったシン太郎左衛門の声は恐怖に震えていた。
「それができれば、とっくにやっている」
もう土手は目前だった。私の体力も尽きようとしていた。
そのとき、「なんと・・・うむ・・・子猫が・・・畏まってござる。父上、ラッピー曰く、猫が溺れてござる。ラッピーと救出いたす。縄を離してくだされ」
「大丈夫か?」
「心配めさるな。拙者は武士でござる」
「分かった。今日は、れもんちゃんの日だぞ。くれぐれも忘れるな」
「忘れはせぬ。れもんちゃんでござる」シン太郎左衛門は状況度外視で、へへへへと笑った。
私の意思によらず、リードは私の手から離れていた。
黒いラブラドール・レトリバーは、土手の斜面を一気に駆け下ると、静かに流れる川に大跳躍でダイブした。そして、水をくぐって、すぐに頭をもたげた。シン太郎左衛門も一緒だった。二人が目指す先には、確かにキジトラの子猫が流されていた。ラッピーは俊敏な動きで泳ぎ寄り、シン太郎左衛門が手を貸して、子猫をラッピーの背に登らせた。
「拙者が参ったからには、もう心配無用でござる」とネコに語りかけて、シャーと怒られると、シン太郎左衛門はこちらに手を振り、「父上、もう大丈夫でござる。駅で落ち合いましょうぞ。ラッピー殿、忝ないが駅の近くまでお願い致しまする」
私は、土手の遊歩道に立って、彼らを見送った。
穏やかな秋晴れの空の下、子猫とシン太郎左衛門を背に乗せて、悠々と泳ぐラッピーの優美さに、さすがは『チームれもん』のメンバーだと惚れ惚れとしていると、
はあ~、広い世界にただ一輪
可憐に咲いたれもん花・・・
川面を渡る風に乗り、シン太郎左衛門の歌声が聞こえてきたが、ラッピーたちが遠ざかるにつれ、やがて聞こえなくなった。
シン太郎左衛門は駅のベンチにポツンと座っていた。隣に座ると、周囲を見回しながらズボンのチャックを下ろし、「戻れ、シン太郎左衛門」と言うと、ヤツは三段跳びの要領で定位置に戻った。カチッというラッチを掛ける金属性の音がした。
「お前が着脱式だとは知らなかった」
「拙者、着脱式の武士でござる」
「なるほどね。世の中には不思議なことが沢山あるなぁ。でも、最大の神秘は、やっぱり、れもんちゃんだ」
「当然でござる」
「これまで何の武勇伝もなかったお前だが、今日、まったく畑違いのジャンルにせよ、小さな武勇伝を作ったな。これをクチコミで、れもんちゃんに伝えよう」
「そうしてくだされ」
「それと、お前、川の臭いがする」
「神戸に着いたら、外して洗面所で丁寧に洗ってくだされ」
そのとき、ホームに新快速到着のアナウンスが流れた。
言うまでもないことだが、今日も、れもんちゃんは凄まじかった。
そして家に戻ってから、隣家を訪ねると、金ちゃんの家には新しい家族ができていた。私の勧めによって、そのキジトラの名前は、もんちゃんになった。
さる高貴なお方に因む名前だが、そのまま使うと畏れ多いので、少し変えてある。
シン太郎左衛門(あるいは着脱式の武勇伝)様ありがとうございました。
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投稿者:シン太郎左衛門(あるいは着脱式の武勇伝)様
ご来店日 2023年09月24日
日曜日の朝。
今日も、れもんちゃんに会いにいくから、二人ともニコニコ笑顔で過ごしていた。
と、シン太郎左衛門が、「『シン太郎左衛門シリーズ』も早20回を数えまする」と、なんとなく誇らしげだ。
「20回か・・・もうそんなになるのか・・・」と言ってはみたが、何の感慨もなかった。
「それもこれも読者の皆様のご愛顧の賜物でござる」
「『読者の皆様』って、誰のこと?」
「それは・・・れもんちゃん」
「そうだ、れもんちゃんだ。れもんちゃんだけだ。少なくとも俺は他の読者の存在を感じたことはない。れもんちゃんは、『この前来てくれたお客さんが、シン太郎左衛門、面白いって言ってたよ』とか言ってくれるが、優しいウソに決まってる。こんなもの、面白いはずがない」
「れもんちゃんしか読んでいない上に、唯一の読者であるれもんちゃんにも余計な気を使わせているだけということでござるな」
「そういうこと」
「我々親子、相当にイタい奴らでござる」
「そういうこと。お前、まさか世間で『シン太郎左衛門シリーズ』が人気沸騰で、ファンレターの一つでも来ると期待してたのか?」
「うむ。そのうち『時下益々の御活躍、お慶び申し上げ候。貴殿のシリーズ、毎週、鶴首致しおり候』というメールでも来るかと」
「そんなことあるか」と笑い飛ばしかけたが、苦労左衛門の件が頭を過り、急に不安になった。
「お前、まさか変なことしてないよな?」
「うむ。変なことはしてござらぬが・・・」
「が・・・?」
「クラブロイヤルの待合室で隣りに誰かおられれば、声をかけまする。『もし、お隣の御仁。不躾ながら、貴殿、武士ではござらぬか』と訊いて、『麿は武士ではおじゃらぬ』とあれば、『これはお公家さま。ご無礼致しました』と詫びまする。『いかにも拙者、武士でござる』とのことであれば、れもんちゃんを宣伝するが、決まって『れもん姫のご高名はかねがね聞き及びまするが、確かいつも予約が一杯のはず』との事でござるによって、『シン太郎左衛門シリーズ』を紹介し、『拙者、このシリーズに出演してござる。是非ご一読の上、ご意見・ご要望は、こちらまで』と父上のメールアドレスをお伝えする」
しばし言葉を失った。
「お前・・・そんなことをしてたのか・・・即刻、メアドを変更しよう」
「いや、それには及びますまい。結局、誰も『シン太郎左衛門シリーズ』は読んでない」
「う~ん、それはそうだが・・・いずれにせよ、今後、隣の武士と話すのは止めてね。特に『シン太郎左衛門シリーズ』を勧めるのは絶対止めること。恥ずかしすぎる」
「うむ」
こんな他愛のない会話を交わし、時間になったので、「レッツゴー、れもんちゃん!!」を連呼しながら家を出た。
駅までの道々、隣家の御曹司、ニートの金ちゃんに出会った。正確を期せば、疲労の余り悲壮な表情を浮かべる金ちゃんを引き摺りながら溌剌と散歩するラブラドール・レトリバーのラッピーに出会った。
「ラッピー、いつも元気だね。でも、もう少しお手柔らかにしてあげないと、金ちゃん、死にかけてるよ」と声をかけた。
それから、しばらく一緒に歩いていると、川のそばでラッピーが何を思ったか、突然トップスピードで駆け出した。
「ラッピー、だめ!」
金ちゃんは必死になって追い縋ったが、バタバタとした足取りで今にも倒れそうだった。
「おじさん、助けて!」との叫びに全速力で駆け付けて、金ちゃんの手を離れたリードの端を間一髪掴み取った。
しかし、ラッピーのパワーは、想像を遥かに超えていた。川に向かって猛然と進むラッピーを引き留めることは、私の手に余る難事業だった。
「ラッピー、止まってくれ!」
このまま土手に突き進めば、斜面に足を取られて派手に転び、一気に加速のついた私の身体は、ラッピーさえも追い抜いて、瞬く間に川面に大きな水柱を立てるだろう。
思わず、「シン太郎左衛門、お前も手を貸せ」と叫ぶと、ズボンのチャックがスッと下り、小さな影が宙を舞った。
次の瞬間、シン太郎左衛門は、ラッピーの背に乗り、首輪をしっかりと握り締めていた。ただ「乗りこなしている」と言うのは当たらない。「必死にしがみついている」だけで、何の助けにもならなかった。
「シン太郎左衛門、前言撤回だ。戻れ」
「無理でござる。ラッピーを止めてくだされ」と言ったシン太郎左衛門の声は恐怖に震えていた。
「それができれば、とっくにやっている」
もう土手は目前だった。私の体力も尽きようとしていた。
そのとき、「なんと・・・うむ・・・子猫が・・・畏まってござる。父上、ラッピー曰く、猫が溺れてござる。ラッピーと救出いたす。縄を離してくだされ」
「大丈夫か?」
「心配めさるな。拙者は武士でござる」
「分かった。今日は、れもんちゃんの日だぞ。くれぐれも忘れるな」
「忘れはせぬ。れもんちゃんでござる」シン太郎左衛門は状況度外視で、へへへへと笑った。
私の意思によらず、リードは私の手から離れていた。
黒いラブラドール・レトリバーは、土手の斜面を一気に駆け下ると、静かに流れる川に大跳躍でダイブした。そして、水をくぐって、すぐに頭をもたげた。シン太郎左衛門も一緒だった。二人が目指す先には、確かにキジトラの子猫が流されていた。ラッピーは俊敏な動きで泳ぎ寄り、シン太郎左衛門が手を貸して、子猫をラッピーの背に登らせた。
「拙者が参ったからには、もう心配無用でござる」とネコに語りかけて、シャーと怒られると、シン太郎左衛門はこちらに手を振り、「父上、もう大丈夫でござる。駅で落ち合いましょうぞ。ラッピー殿、忝ないが駅の近くまでお願い致しまする」
私は、土手の遊歩道に立って、彼らを見送った。
穏やかな秋晴れの空の下、子猫とシン太郎左衛門を背に乗せて、悠々と泳ぐラッピーの優美さに、さすがは『チームれもん』のメンバーだと惚れ惚れとしていると、
はあ~、広い世界にただ一輪
可憐に咲いたれもん花・・・
川面を渡る風に乗り、シン太郎左衛門の歌声が聞こえてきたが、ラッピーたちが遠ざかるにつれ、やがて聞こえなくなった。
シン太郎左衛門は駅のベンチにポツンと座っていた。隣に座ると、周囲を見回しながらズボンのチャックを下ろし、「戻れ、シン太郎左衛門」と言うと、ヤツは三段跳びの要領で定位置に戻った。カチッというラッチを掛ける金属性の音がした。
「お前が着脱式だとは知らなかった」
「拙者、着脱式の武士でござる」
「なるほどね。世の中には不思議なことが沢山あるなぁ。でも、最大の神秘は、やっぱり、れもんちゃんだ」
「当然でござる」
「これまで何の武勇伝もなかったお前だが、今日、まったく畑違いのジャンルにせよ、小さな武勇伝を作ったな。これをクチコミで、れもんちゃんに伝えよう」
「そうしてくだされ」
「それと、お前、川の臭いがする」
「神戸に着いたら、外して洗面所で丁寧に洗ってくだされ」
そのとき、ホームに新快速到着のアナウンスが流れた。
言うまでもないことだが、今日も、れもんちゃんは凄まじかった。
そして家に戻ってから、隣家を訪ねると、金ちゃんの家には新しい家族ができていた。私の勧めによって、そのキジトラの名前は、もんちゃんになった。
さる高貴なお方に因む名前だが、そのまま使うと畏れ多いので、少し変えてある。
シン太郎左衛門(あるいは着脱式の武勇伝)様ありがとうございました。