口コミ│神戸・福原 ソープランド Club Royal (クラブロイヤル)
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れもん【VIP】(23)
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投稿者:シン太郎左衛門の原点回帰 様
ご来店日 2024年02月04日
我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は武士である。
昨日、土曜日、シン太郎左衛門は何を思ったか、朝早くから布団の中で木刀を振って剣術の稽古を始めた。「えいっ!とぉっ!」と掛け声も勇ましい。ちなみに、シン太郎左衛門の木刀は割り箸である。鉛筆は使わないように厳命してある。「素振りはいいが、布団から出てやってくんないかな。布団が傷む」と言ったら、「寒いからイヤ」と言下に拒まれた。
昼まで寝て過ごす予定を台無しにされ、気分が悪かったものの、シン太郎左衛門は、いつになく凛々しく、心なしか武士らしく見えた。
「今日のお前は、なんかいつもと違っている気がする」
「拙者、本日より原点回帰してござる」
「そうなんだ。最近、出家を仄めかしたり、辞世の句に凝ったりと迷走してたからな」
「うむ。最近、迷走してござった。本日より原点回帰いたしてござる。気合いに満ちて、我ながら怖いほどでござる」
「原点回帰か・・・お前の原点って、木刀を振ることなのか?」
「左様。拙者、れもんちゃんのことを念じて、脇目も振らず、ひたすら木刀を振りまする」
「ふ~ん」と、その場は、それ切りになった。
新聞を取りに玄関を出ると、久しぶりの好天で、空は青く澄んでいた。ふと、傘立てが目に入った。何という考えもなしに、コウモリ傘を一本取り出すと、野球のバッティング練習の要領で軽く2、3回振ってみた。特に何が面白い訳でもない。傘立てに戻そうとしたが、気を取り直して、傘を竹刀に見立てて、中段に構えてみた。小学生の頃、近所の警察署の剣道教室に体験入門したことがあり、たった1時間にせよ、人生で剣道に接したことは皆無とも言えない。取り敢えず振りかぶって、「えいっ」と言いながら、振り下ろした。気恥ずかしくて、気合いなど入っていなかったが、微かな爽快感があった。
(もしかすると、剣道は結構俺に合っているかもしれない。少なくとも野球の素振りよりは楽しい気がする)と勝手なことを考えて、もう一度振りかぶったとき、家の外壁を思い切りひっぱたいてしまった。
(いかん、いかん。古家を破壊するところだった)
私はコウモリ傘をぶら下げて、隣の家の呼び鈴を鳴らした。
玄関のドアの隙間から顔を覗かせた金ちゃんは、私の手元を見て、「雨、降ってます?」と訊いてきた。
「もちろん降ってない。とても良い天気だ。ところで、御両親はお出掛けだな。車がない。駐車場を貸してくれ」
「何を始める気ですか?別にいいけど、母さんがいますよ」
「じゃあ、いらない。お前のママには見られたくない。計画変更だ」
10分後、金ちゃんと私は、それぞれ手にコウモリ傘を持ち、ハーネスを着けたラッピーとモンちゃんを連れて、青空の下、丘の坂道を登っていた。
モンちゃん(キジトラの雌ネコ)は、しばらく見ないうちに、随分大きくなっていた。大きくなり過ぎていた。
「モンちゃんは、何キロだ?」
モンちゃんは、小型のブルドッグのような格好で、ノソノソと嫌そうに歩いていた。
「測ったことないです」
「こんなにデカくする法があるか。このままデカくしたら、キジ柄のライオンになってしまうぞ。れもんちゃんにあやかって、モンちゃんと名付けたのに、こんなデブちんになってしまっては、れもんちゃんに申し訳が立たん」
「れもんちゃん?ああ、例の『宇宙一のれもんちゃん』ですね」
「やっと学習したか。そうだ。れもんちゃんは宇宙一だ。もちろん、れもんちゃんは、スタイルも宇宙一だ。女性的な流麗なボディラインは、必要なところに必要なだけのしなやかで柔らかな肉付きを備えている。足すことも引くことも許されない完璧な肉体美だ。それに比べて、モンちゃんは、お前と一緒でブヨブヨだ」
「モンちゃんは家では食べるか寝るかだし、散歩も嫌いだから」
「てんでなってないな。確実にお前の影響だ。まずお前から原点回帰しろ」
「何ですか、その『原点回帰』って?」
早速疲れてしまったモンちゃんが踞って動かなくなった。ラッピーが心配そうに、様子を伺っている。
「原点回帰は、原点に回帰して、怖いほどの気合いを横溢させることだと、シン太郎左衛門は言っている」
「分かんない・・・」
「だろうな。俺自身よく分からん」
「・・・ところで、何で僕たちはコウモリ傘を持ってるんですか?こんないい天気で、雨なんて降りそうもないのに」
「いや、それよりも・・・」
モンちゃんは、リードを強く引いても、びくともしないばかりか、うっとりと目を閉じて「おやすみモード」に入ろうとしていた。
「これでは今日中に公園までたどり着けそうにない。俺の傘を持て」と、コウモリを金ちゃんに渡すと、私はモンちゃんを抱き上げた。
「うう・・・米俵を担がされた気分だ」
公園に着くと、リードを解かれたラッピーは好きなだけ走り回り、私の肩から降ろされたモンちゃんは日向に踞って、舟を漕ぎ始めた。
「よし。それでは、これから剣道の素振りをする」
「ああ、この傘は竹刀の積もりだったんですね」と、金ちゃんはコウモリ傘をクルクルッと回してみせた。
「オジさん、僕、小学生から剣道やってて、高校のとき、地方大会でベスト8まで行ったんですよ」
そんなこととは知らなかった。
「えっ!そうだったの?」
「その後、すぐに止めちゃったけど・・・ああ、そういうことか。原点回帰の意味が分かりました」と、独り合点して、コウモリ傘を中段に構えた姿は、普段の怠け者のデブとは見違える程、様になっていた。警察署の体験入門ぐらいでマウントが取れる相手ではなかった。
ラッピーは溌剌と走り回り、金ちゃんは楽しそうに素振りをしていた。私は、モンちゃんにチョッカイをかけて怒られたり、空き缶を傘でひっぱたいて飛ばしたりした後、ベンチに座って、ボーッと過ごした。シン太郎左衛門に続いて、金ちゃんまでも原点回帰してしまい、一人取り残された私は、本当にやることもないので、金ちゃんや動物たちを眺めながら、赤胴鈴之助の主題歌を、『赤胴鈴之助』を『隣のニートの金ちゃん』や『富士山シン太郎左衛門』に置き換え、他の歌詞も適当にいじくり、替え歌にして、
剣を取っては日本一に
夢は大きな太ったニート
・・・
とか小声で歌っていた。
れもんちゃんは出勤日だから、宇宙空母が飛来する訳もないが、雲一つない空は抜けるように青く、穏やかな風が爽快だった。なんとも馬鹿げた時間ではあったが、それなりに楽しかった。
帰り道も、モンちゃんは歩くのを嫌がったから、私が抱いて運ぶことになった。
金ちゃんは、これから毎日、朝練をするとか言うので、「それなら、一緒にモンちゃんを連れ出して、少し運動させてやれ。来月までに2キロのダイエットだ。出来なければ、名前を『米俵』に変更する」
そして、翌日。今日は日曜日、れもんちゃんに会う日。
金ちゃんは、モンちゃんと朝練をしたのだろうか。シン太郎左衛門は目覚ましが鳴らなかったことを理由に稽古をサボった。
そして、れもんちゃんに会った。やっぱり、どう考えても宇宙一だった。
「れもんちゃんは、宇宙一だね」と言うと、ニッコリと笑っていた。
シン太郎左衛門の原点回帰 様ありがとうございました。
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投稿者:シン太郎左衛門の原点回帰 様
ご来店日 2024年02月04日
昨日、土曜日、シン太郎左衛門は何を思ったか、朝早くから布団の中で木刀を振って剣術の稽古を始めた。「えいっ!とぉっ!」と掛け声も勇ましい。ちなみに、シン太郎左衛門の木刀は割り箸である。鉛筆は使わないように厳命してある。「素振りはいいが、布団から出てやってくんないかな。布団が傷む」と言ったら、「寒いからイヤ」と言下に拒まれた。
昼まで寝て過ごす予定を台無しにされ、気分が悪かったものの、シン太郎左衛門は、いつになく凛々しく、心なしか武士らしく見えた。
「今日のお前は、なんかいつもと違っている気がする」
「拙者、本日より原点回帰してござる」
「そうなんだ。最近、出家を仄めかしたり、辞世の句に凝ったりと迷走してたからな」
「うむ。最近、迷走してござった。本日より原点回帰いたしてござる。気合いに満ちて、我ながら怖いほどでござる」
「原点回帰か・・・お前の原点って、木刀を振ることなのか?」
「左様。拙者、れもんちゃんのことを念じて、脇目も振らず、ひたすら木刀を振りまする」
「ふ~ん」と、その場は、それ切りになった。
新聞を取りに玄関を出ると、久しぶりの好天で、空は青く澄んでいた。ふと、傘立てが目に入った。何という考えもなしに、コウモリ傘を一本取り出すと、野球のバッティング練習の要領で軽く2、3回振ってみた。特に何が面白い訳でもない。傘立てに戻そうとしたが、気を取り直して、傘を竹刀に見立てて、中段に構えてみた。小学生の頃、近所の警察署の剣道教室に体験入門したことがあり、たった1時間にせよ、人生で剣道に接したことは皆無とも言えない。取り敢えず振りかぶって、「えいっ」と言いながら、振り下ろした。気恥ずかしくて、気合いなど入っていなかったが、微かな爽快感があった。
(もしかすると、剣道は結構俺に合っているかもしれない。少なくとも野球の素振りよりは楽しい気がする)と勝手なことを考えて、もう一度振りかぶったとき、家の外壁を思い切りひっぱたいてしまった。
(いかん、いかん。古家を破壊するところだった)
私はコウモリ傘をぶら下げて、隣の家の呼び鈴を鳴らした。
玄関のドアの隙間から顔を覗かせた金ちゃんは、私の手元を見て、「雨、降ってます?」と訊いてきた。
「もちろん降ってない。とても良い天気だ。ところで、御両親はお出掛けだな。車がない。駐車場を貸してくれ」
「何を始める気ですか?別にいいけど、母さんがいますよ」
「じゃあ、いらない。お前のママには見られたくない。計画変更だ」
10分後、金ちゃんと私は、それぞれ手にコウモリ傘を持ち、ハーネスを着けたラッピーとモンちゃんを連れて、青空の下、丘の坂道を登っていた。
モンちゃん(キジトラの雌ネコ)は、しばらく見ないうちに、随分大きくなっていた。大きくなり過ぎていた。
「モンちゃんは、何キロだ?」
モンちゃんは、小型のブルドッグのような格好で、ノソノソと嫌そうに歩いていた。
「測ったことないです」
「こんなにデカくする法があるか。このままデカくしたら、キジ柄のライオンになってしまうぞ。れもんちゃんにあやかって、モンちゃんと名付けたのに、こんなデブちんになってしまっては、れもんちゃんに申し訳が立たん」
「れもんちゃん?ああ、例の『宇宙一のれもんちゃん』ですね」
「やっと学習したか。そうだ。れもんちゃんは宇宙一だ。もちろん、れもんちゃんは、スタイルも宇宙一だ。女性的な流麗なボディラインは、必要なところに必要なだけのしなやかで柔らかな肉付きを備えている。足すことも引くことも許されない完璧な肉体美だ。それに比べて、モンちゃんは、お前と一緒でブヨブヨだ」
「モンちゃんは家では食べるか寝るかだし、散歩も嫌いだから」
「てんでなってないな。確実にお前の影響だ。まずお前から原点回帰しろ」
「何ですか、その『原点回帰』って?」
早速疲れてしまったモンちゃんが踞って動かなくなった。ラッピーが心配そうに、様子を伺っている。
「原点回帰は、原点に回帰して、怖いほどの気合いを横溢させることだと、シン太郎左衛門は言っている」
「分かんない・・・」
「だろうな。俺自身よく分からん」
「・・・ところで、何で僕たちはコウモリ傘を持ってるんですか?こんないい天気で、雨なんて降りそうもないのに」
「いや、それよりも・・・」
モンちゃんは、リードを強く引いても、びくともしないばかりか、うっとりと目を閉じて「おやすみモード」に入ろうとしていた。
「これでは今日中に公園までたどり着けそうにない。俺の傘を持て」と、コウモリを金ちゃんに渡すと、私はモンちゃんを抱き上げた。
「うう・・・米俵を担がされた気分だ」
公園に着くと、リードを解かれたラッピーは好きなだけ走り回り、私の肩から降ろされたモンちゃんは日向に踞って、舟を漕ぎ始めた。
「よし。それでは、これから剣道の素振りをする」
「ああ、この傘は竹刀の積もりだったんですね」と、金ちゃんはコウモリ傘をクルクルッと回してみせた。
「オジさん、僕、小学生から剣道やってて、高校のとき、地方大会でベスト8まで行ったんですよ」
そんなこととは知らなかった。
「えっ!そうだったの?」
「その後、すぐに止めちゃったけど・・・ああ、そういうことか。原点回帰の意味が分かりました」と、独り合点して、コウモリ傘を中段に構えた姿は、普段の怠け者のデブとは見違える程、様になっていた。警察署の体験入門ぐらいでマウントが取れる相手ではなかった。
ラッピーは溌剌と走り回り、金ちゃんは楽しそうに素振りをしていた。私は、モンちゃんにチョッカイをかけて怒られたり、空き缶を傘でひっぱたいて飛ばしたりした後、ベンチに座って、ボーッと過ごした。シン太郎左衛門に続いて、金ちゃんまでも原点回帰してしまい、一人取り残された私は、本当にやることもないので、金ちゃんや動物たちを眺めながら、赤胴鈴之助の主題歌を、『赤胴鈴之助』を『隣のニートの金ちゃん』や『富士山シン太郎左衛門』に置き換え、他の歌詞も適当にいじくり、替え歌にして、
剣を取っては日本一に
夢は大きな太ったニート
・・・
とか小声で歌っていた。
れもんちゃんは出勤日だから、宇宙空母が飛来する訳もないが、雲一つない空は抜けるように青く、穏やかな風が爽快だった。なんとも馬鹿げた時間ではあったが、それなりに楽しかった。
帰り道も、モンちゃんは歩くのを嫌がったから、私が抱いて運ぶことになった。
金ちゃんは、これから毎日、朝練をするとか言うので、「それなら、一緒にモンちゃんを連れ出して、少し運動させてやれ。来月までに2キロのダイエットだ。出来なければ、名前を『米俵』に変更する」
そして、翌日。今日は日曜日、れもんちゃんに会う日。
金ちゃんは、モンちゃんと朝練をしたのだろうか。シン太郎左衛門は目覚ましが鳴らなかったことを理由に稽古をサボった。
そして、れもんちゃんに会った。やっぱり、どう考えても宇宙一だった。
「れもんちゃんは、宇宙一だね」と言うと、ニッコリと笑っていた。
シン太郎左衛門の原点回帰 様ありがとうございました。