口コミ│神戸・福原 ソープランド Club Royal (クラブロイヤル)
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れもん【VIP】(23)
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投稿者:シン太郎左衛門と弟子の新兵衛 様
ご来店日 2024年03月04日
我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は武士である。正確に言うと、引き続き原点回帰中の武士である。今日も5時に起きて、「やあっ!とおっ!」と気合いに溢れた剣術の稽古をしていた。
そのうち、シン太郎左衛門、「こら、新兵衛、お主、気合いが足らぬぞ!」と怒鳴った。「おい、新兵衛、どこへ行く。戻って参れ!」とも言っていた。(シンベエとは、何者なのだろうか?)と、少しは気になったが、布団の中を覗く気にはならなかった。
今日は日曜日。れもんちゃんに会う日。
多少睡眠不足だったが、概ね清々しい朝だった。新聞を取って、ダイニングに戻ると、シン太郎左衛門に話し掛けた。
「今朝は新兵衛が来てたな」
「うむ。新兵衛が来てござった」
「新兵衛はお前の弟子か?」
「新兵衛は拙者の弟子でござる」
「オチンの幽霊か?」
「オチンの幽霊ではござらぬ」
「そうか」
これ以上訊いても時間の無駄に思えたので、話題を変えた。
「シン太郎左衛門、今朝、郵便受けに封書が入っていた」
「売り込みか請求書でござろう」
「それが違う。普通の手紙だ。本当を言えば、この手紙、先々週には郵便受けにあるのを目にしていた。でも、なんとなく誰が差出人だか想像できたから、『消えてなくなんないかなぁ』と期待しながら放置しておいた。しかし、今朝見ても、まだあった」
「手紙は、新兵衛のようにトコトコ歩いて、どこかに行ったりはせぬものでござる」
話はまた新兵衛に戻ってしまった。
「新兵衛はトコトコ歩くのか?」
「新兵衛はトコトコ歩きまする」
「新兵衛は速く走ることはないのか?」
「新兵衛は足が遅い。トコトコ歩いて、ピタッと止まり、しばらくすると、またトコトコ歩く」
「新兵衛はちゃんと稽古をするのか?」
「新兵衛は一向に稽古をせぬ。怠けてばかりでござる」
「そうか」
しばしの沈黙の後、シン太郎左衛門が、「して、その手紙は誰から来たものでごさるか」と訊いてきた。
「あの手紙は、おそらく・・・いや、この話はやっぱり止めておこう。今は、そんな気分にならない」
私は、一人の知人の顔を意識の外に追い出した。
「うむ。では、新兵衛に話を戻すと致そう」
「うん。結局、新兵衛とは何者だ?」
「布団を捲ってご覧なされ。まだいるはずでござる」
「・・・なんか嫌だな。何が出てくるか教えろ」
「その生き物の名前を忘れた。最近、ボケが進んでござる。小さくて、黒くて・・・」
「ゴキヤンか?」
「ゴキヤンとは、何でござるか」
「ゴキヤンとは・・・」と言いかけたが、面倒臭くなって、布団を捲ってみた。敷き布団の隅っこに雄のコクワガタがじっとしていた。
シン太郎左衛門が「・・・あっ、そうそう、コオロギでござる」
「コオロギ?クワガタだけじゃなく、コオロギまでいるのか?」
「なんと。コオロギだけでなく、クワガタまでおりまするか?」
「・・・シン太郎左衛門、ちょっとズボンから出てこい」
シン太郎左衛門がジャージのズボンを引き下げて、ニュッと顔を出すと、私は布団の上の虫を指差して、「こいつ、お前の知り合いじゃないか?」
「うむ。まさしく新兵衛でござる」
「じゃあ、新兵衛はコオロギではなく、クワガタだ」
「新兵衛め。拙者をたばかりおったな」
「違う。新兵衛はお前をたばかってはいない。お前が勘違いをしただけだ」
「うむ」
「まあいい。可哀想に、何かの拍子で冬眠から目覚めてしまったのだろう。7時に起きればいいのに、5時起きを強いられる俺と境遇が似ている」
「哀れなヤツでござる」
「それなら、お前は6時に起きろ!」と声を荒げると、シン太郎左衛門は何故か急に晴れやかな表情になり、
「クイーンの『ボーン・トゥ・ラブ・ユー』は良い歌でこざるなぁ」と、しみじみと呟いた。
「・・・そんな曲、どこで聞いた?ウチでは流してないぞ」
「昨日、チェーンの牛丼屋で流れてござった」
「昨日の昼御飯のときか・・・それが5時起きと何の関係がある!」
「何の関係もござらぬ。それを言うなら、れもんちゃんのクチコミと称しながら、この話のどこが、れもんちゃんと関係致しまするか。れもんちゃんに会う朝にピッタリの曲でござるゆえ、流してくだされ」
「お前は浅はかなヤツだな。この話は、れもんちゃんと無縁に見えながら、こんな他愛ない会話を交わしている親子の姿を通して、れもんちゃんに会う日の朝は、どんな下らないことをしていても、優しい気持ちで過ごせることを描いているのだ。間接的に、れもんちゃんの偉大さを表現する新企画だ」
「全然伝わらぬ。新しいとも思わぬ」
「そうか・・・じゃあ、失敗作だ」
スマホで動画サイトから『ボーン・トゥ・ラブ・ユー』をループ再生しながら、朝のコーヒーを楽しんだ後、ジャージの上からコートを羽織って出掛けた。丘の上の公園に隣接する林で朽ち木の枝や落ち葉を拾って帰ると、押入れから蓋付きの小さな水槽を出し、砕いた朽ち木や落ち葉を配して、新兵衛を入れてやった。
「しばらく、ここで過ごせ。暖かくなったら、自然に返してやるからな」
台所で、お弁当用の小さなカップに脱脂綿を入れて、砂糖水を染み込ませた。
「父上、何をしてござる」
「新兵衛のご飯を用意している。春になっていないのに起こされた挙げ句、望みもしない剣道の練習をさせられて、気の毒なヤツだ。元気が出るように、今日は特別に蜂蜜も加えてやろう」
「拙者も少し味見してよろしいか」
「ダメだ。これは、お客様用のご馳走だ」
そして、今日も、れもんちゃんに会った。もう言わなくてもいいことかもしれないが、れもんちゃんは当然宇宙一で、宇宙一可愛くて、『可愛かった』。
「今回のクチコミは、ゆる~く書くことをテーマにしてみたけど、どうやら失敗作らしい」と言うと、れもんちゃんは「失敗作でもいいよ」と優しく笑っていた。
この笑顔もまた宇宙一だった。
考えてみれば、雑草たる『シン太郎左衛門』に成功作も失敗作もなかった。
帰りの電車の中で、シン太郎左衛門は、上機嫌で『ボーン・トゥ・ラブ・ユー』を民謡調に歌っていた。とてつもなく様になっていた。
「シン太郎左衛門・・・お前、どうしてそんなに英語が上手で、歌も上手いのだ?」
「拙者、フレディ・マーキュリーの生まれ変わりでござる」
「ふざけたことを言うな!」
「うむ・・・ところで、父上、郵便受けの手紙は、結局、誰からのものでござるか」
「あれは、おそらくBからのものだ。BはA同様、学生時代からの知り合いだが・・・コイツの話はしないことに決めているんだ」
「恐ろしい秘密が隠されてござるか」
「秘密などないが、説明に余りにも多くの時間を要するのだ。コイツに比べれば、まだAの方が理解しやすい。Bは超人的な頭脳の持ち主だが、俺が知る正真正銘の変人の一人だ。風貌も行動も異様すぎて、周りのみんなが怖がっていた」
「うむ。そんな人物からの手紙を放置しても大丈夫でござるか」
「問題ない。俺は昔からずっとBに怨まれているし、ヤツの俺に対する怨みは今更どうこう出来る性質のものではない。それにBの手紙なら、開けても、すぐ読めるものではない。前に受け取った手紙は解読に一年半かかった。まあいい。俺たちには、れもんちゃんがいる。Bなんて、どうでもいい」
家の最寄り駅で降りると、爽やかな夜風が吹いていた。ただ、たとえ今、突然の大雨が降り出しても、私は濡れながら平然と歩き出すのだ。
れもんちゃんがこの世にいれば、他のことは単なるオマケでしかなかった。
シン太郎左衛門と弟子の新兵衛 様ありがとうございました。
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投稿者:シン太郎左衛門と弟子の新兵衛 様
ご来店日 2024年03月04日
そのうち、シン太郎左衛門、「こら、新兵衛、お主、気合いが足らぬぞ!」と怒鳴った。「おい、新兵衛、どこへ行く。戻って参れ!」とも言っていた。(シンベエとは、何者なのだろうか?)と、少しは気になったが、布団の中を覗く気にはならなかった。
今日は日曜日。れもんちゃんに会う日。
多少睡眠不足だったが、概ね清々しい朝だった。新聞を取って、ダイニングに戻ると、シン太郎左衛門に話し掛けた。
「今朝は新兵衛が来てたな」
「うむ。新兵衛が来てござった」
「新兵衛はお前の弟子か?」
「新兵衛は拙者の弟子でござる」
「オチンの幽霊か?」
「オチンの幽霊ではござらぬ」
「そうか」
これ以上訊いても時間の無駄に思えたので、話題を変えた。
「シン太郎左衛門、今朝、郵便受けに封書が入っていた」
「売り込みか請求書でござろう」
「それが違う。普通の手紙だ。本当を言えば、この手紙、先々週には郵便受けにあるのを目にしていた。でも、なんとなく誰が差出人だか想像できたから、『消えてなくなんないかなぁ』と期待しながら放置しておいた。しかし、今朝見ても、まだあった」
「手紙は、新兵衛のようにトコトコ歩いて、どこかに行ったりはせぬものでござる」
話はまた新兵衛に戻ってしまった。
「新兵衛はトコトコ歩くのか?」
「新兵衛はトコトコ歩きまする」
「新兵衛は速く走ることはないのか?」
「新兵衛は足が遅い。トコトコ歩いて、ピタッと止まり、しばらくすると、またトコトコ歩く」
「新兵衛はちゃんと稽古をするのか?」
「新兵衛は一向に稽古をせぬ。怠けてばかりでござる」
「そうか」
しばしの沈黙の後、シン太郎左衛門が、「して、その手紙は誰から来たものでごさるか」と訊いてきた。
「あの手紙は、おそらく・・・いや、この話はやっぱり止めておこう。今は、そんな気分にならない」
私は、一人の知人の顔を意識の外に追い出した。
「うむ。では、新兵衛に話を戻すと致そう」
「うん。結局、新兵衛とは何者だ?」
「布団を捲ってご覧なされ。まだいるはずでござる」
「・・・なんか嫌だな。何が出てくるか教えろ」
「その生き物の名前を忘れた。最近、ボケが進んでござる。小さくて、黒くて・・・」
「ゴキヤンか?」
「ゴキヤンとは、何でござるか」
「ゴキヤンとは・・・」と言いかけたが、面倒臭くなって、布団を捲ってみた。敷き布団の隅っこに雄のコクワガタがじっとしていた。
シン太郎左衛門が「・・・あっ、そうそう、コオロギでござる」
「コオロギ?クワガタだけじゃなく、コオロギまでいるのか?」
「なんと。コオロギだけでなく、クワガタまでおりまするか?」
「・・・シン太郎左衛門、ちょっとズボンから出てこい」
シン太郎左衛門がジャージのズボンを引き下げて、ニュッと顔を出すと、私は布団の上の虫を指差して、「こいつ、お前の知り合いじゃないか?」
「うむ。まさしく新兵衛でござる」
「じゃあ、新兵衛はコオロギではなく、クワガタだ」
「新兵衛め。拙者をたばかりおったな」
「違う。新兵衛はお前をたばかってはいない。お前が勘違いをしただけだ」
「うむ」
「まあいい。可哀想に、何かの拍子で冬眠から目覚めてしまったのだろう。7時に起きればいいのに、5時起きを強いられる俺と境遇が似ている」
「哀れなヤツでござる」
「それなら、お前は6時に起きろ!」と声を荒げると、シン太郎左衛門は何故か急に晴れやかな表情になり、
「クイーンの『ボーン・トゥ・ラブ・ユー』は良い歌でこざるなぁ」と、しみじみと呟いた。
「・・・そんな曲、どこで聞いた?ウチでは流してないぞ」
「昨日、チェーンの牛丼屋で流れてござった」
「昨日の昼御飯のときか・・・それが5時起きと何の関係がある!」
「何の関係もござらぬ。それを言うなら、れもんちゃんのクチコミと称しながら、この話のどこが、れもんちゃんと関係致しまするか。れもんちゃんに会う朝にピッタリの曲でござるゆえ、流してくだされ」
「お前は浅はかなヤツだな。この話は、れもんちゃんと無縁に見えながら、こんな他愛ない会話を交わしている親子の姿を通して、れもんちゃんに会う日の朝は、どんな下らないことをしていても、優しい気持ちで過ごせることを描いているのだ。間接的に、れもんちゃんの偉大さを表現する新企画だ」
「全然伝わらぬ。新しいとも思わぬ」
「そうか・・・じゃあ、失敗作だ」
スマホで動画サイトから『ボーン・トゥ・ラブ・ユー』をループ再生しながら、朝のコーヒーを楽しんだ後、ジャージの上からコートを羽織って出掛けた。丘の上の公園に隣接する林で朽ち木の枝や落ち葉を拾って帰ると、押入れから蓋付きの小さな水槽を出し、砕いた朽ち木や落ち葉を配して、新兵衛を入れてやった。
「しばらく、ここで過ごせ。暖かくなったら、自然に返してやるからな」
台所で、お弁当用の小さなカップに脱脂綿を入れて、砂糖水を染み込ませた。
「父上、何をしてござる」
「新兵衛のご飯を用意している。春になっていないのに起こされた挙げ句、望みもしない剣道の練習をさせられて、気の毒なヤツだ。元気が出るように、今日は特別に蜂蜜も加えてやろう」
「拙者も少し味見してよろしいか」
「ダメだ。これは、お客様用のご馳走だ」
そして、今日も、れもんちゃんに会った。もう言わなくてもいいことかもしれないが、れもんちゃんは当然宇宙一で、宇宙一可愛くて、『可愛かった』。
「今回のクチコミは、ゆる~く書くことをテーマにしてみたけど、どうやら失敗作らしい」と言うと、れもんちゃんは「失敗作でもいいよ」と優しく笑っていた。
この笑顔もまた宇宙一だった。
考えてみれば、雑草たる『シン太郎左衛門』に成功作も失敗作もなかった。
帰りの電車の中で、シン太郎左衛門は、上機嫌で『ボーン・トゥ・ラブ・ユー』を民謡調に歌っていた。とてつもなく様になっていた。
「シン太郎左衛門・・・お前、どうしてそんなに英語が上手で、歌も上手いのだ?」
「拙者、フレディ・マーキュリーの生まれ変わりでござる」
「ふざけたことを言うな!」
「うむ・・・ところで、父上、郵便受けの手紙は、結局、誰からのものでござるか」
「あれは、おそらくBからのものだ。BはA同様、学生時代からの知り合いだが・・・コイツの話はしないことに決めているんだ」
「恐ろしい秘密が隠されてござるか」
「秘密などないが、説明に余りにも多くの時間を要するのだ。コイツに比べれば、まだAの方が理解しやすい。Bは超人的な頭脳の持ち主だが、俺が知る正真正銘の変人の一人だ。風貌も行動も異様すぎて、周りのみんなが怖がっていた」
「うむ。そんな人物からの手紙を放置しても大丈夫でござるか」
「問題ない。俺は昔からずっとBに怨まれているし、ヤツの俺に対する怨みは今更どうこう出来る性質のものではない。それにBの手紙なら、開けても、すぐ読めるものではない。前に受け取った手紙は解読に一年半かかった。まあいい。俺たちには、れもんちゃんがいる。Bなんて、どうでもいい」
家の最寄り駅で降りると、爽やかな夜風が吹いていた。ただ、たとえ今、突然の大雨が降り出しても、私は濡れながら平然と歩き出すのだ。
れもんちゃんがこの世にいれば、他のことは単なるオマケでしかなかった。
シン太郎左衛門と弟子の新兵衛 様ありがとうございました。