口コミ│神戸・福原 ソープランド Club Royal (クラブロイヤル)
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れもん【VIP】(23)
れもん【VIP】の口コミだけ見る
投稿者:シン太郎左衛門と空気の缶詰め 様
ご来店日 2024年03月24日
我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は武士である。5時になると、剣術の稽古を始める。当初、5時起きをみなぎる気合いの為せる業と勘違いしていたようだが、実は加齢の影響以外の何物でもないという現実を馬鹿なりに察したらしく、最近は「眠い、眠い」とボヤキながら、割り箸を至極重たそうに振っている。
今日は日曜日、れもんちゃんに会う日。れもんちゃんに会う日だけは十分睡眠をとりたいので、昨晩の就寝時に明日は8時まで静かにしているように厳に命じていた。
「約束だぞ。5時に目が覚めても、俺の目覚ましが鳴るまでは、静かにしてるんだぞ」
「うむ。天地神明に誓いまする」
そう固く約束していたのに、今朝も、やっぱり夜明け前に叩き起こされた。
「この無礼者め!手討ちに致す!」とか大声で怒鳴っている。布団を捲って、「うるさい!」と一喝すると、シン太郎左衛門、ハッと目を覚ました。
「今、何時でござるか」
手探りでスマホを探し当て、画面を股間に向けてやった。
「見ろ。5時ジャストだ」
「父上は、5時起きの星の下に産まれてござるな」
「そんな星はない。どう考えてもお前のせいだ」
「うむ。拙者、夢を見てござった」
私はモソモソと布団から起き出し、
「そうだろうな。何の脈絡もなく『無礼者』と叫ぶヤツはいない。俺も夢を見ていたはずだが、お前の罵声に叩き起こされて、記憶が飛んでしまった」
と、部屋の電気を点けた。
「拙者、またしても、れもん星の夢を見てござった」
「夢の中で、れもん星に行く話は以前にもあった」
「いかにも。ただ、拙者が今回れもん星に行ったのは遊びではござらぬ。れもん星の観光大臣から依頼を受け、『れもん星ワクワク観光シンポジウム2024 ~夢と希望に溢れる星~』で、れもんちゃんを讃えるスピーチをするため、れもん星に行ったのでござる」
私は、新兵衛(クワガタ)を摘まんで、水槽から出すと、布団の上に置いて、あぐらをかいた。
「それは名誉なことだ。大臣から手紙でも来たのか?」
割り箸を渡してやると、シン太郎左衛門は素振りを始めた。
「うむ。親書が届いた。ディズニーの便箋に『れもん星の観光大臣ちゃんだよ~ん。インバウンド、頑張るよ~ん。イベントするから、れもん星PRのスピーチしてねっ(ハート)』と書いてござった。イベントのチラシが同封されておった」
手の甲で眠い目をゴシゴシ擦りながら、
「もしかして、れもん星の観光大臣は、れもんちゃんか?」
「それは分からぬ。ただ、こういう機会もあろうかと、拙者、前々から、れもんちゃんを讃えるスピーチを用意してござった」
「それは見上げた心掛けだ」
「拙者、手紙を一読、素早くタキシードに着替え、スピーチ原稿を手にすると、次の瞬間には、南港から出発するポンポン船の甲板に立っておった」
「お前、れもん星を舐めてるだろ?何で毎回、船で、れもん星に行くのだ。ちゃんとロケットに乗れ」
シン太郎左衛門は真面目に素振りを続けながら、
「船に乗ったものを、嘘は吐けぬ。『シン太郎左衛門』シリーズは、ドキュメンタリーでござる。出来るものなら、拙者もロケットがよかった。港を出た途端、船が波をかぶり、折角のタキシードはズブ濡れ、原稿もどこかへ行ってしもうた」
「船で行くからだ」
「うむ。そうこうしているうちに、小船は港に入り、早くも、れもん星に到着しておった」
「れもん星って、そんなに近いのか?今の話を聞く限り、れもん星の最寄り駅はユニバーサルシティ駅かもしれない。近畿圏なのは間違いない」
「真面目に考えてもしょうがない。所詮、夢の話でござる」
「そりゃ、そうだ」
シン太郎左衛門は引き続き割り箸を振り回している。
「今回も、周りに何もない殺風景な港に到着いたしたが、波止場には『歓迎 シン太郎左衛門様 ~よく覚えてないけど長い名前のシンポジウムへようこそ~』と横断幕が掲げられておった」
「れもん星人は、かなりいい加減なヤツらだな」
「うむ。船から降りると、いつもクラブロイヤルの入り口で愛想よく出迎えてくれるスタッフさんにそっくりな『れもん星人』が出迎えてくれた。周りには、10人程の小学生のマーチング・バンドが控えておった。彼らも当然『れもん星人』でござる」
「心温まる歓迎風景だ」
「うむ。スタッフさんが、『ようこそお越しくださいました。会場まで約4キロございます』と先導してくれて、歩いて会場に向かった」
「徒歩なの?」と私はあくび混じりに言った。
シン太郎左衛門は益々元気に素振りを続けながら、
「うむ。道々子供たちがリコーダーで『ドナドナ』を吹いてくれた。スタッフさんがバトンを振ってござった」
「リコーダーのみのマーチング・バンドというのは斬新だが、『ドナドナ』とは微妙な選曲だな」
「うむ。悲しいメロディに合わせて、スタッフさんは満面の笑みを浮かべ、陽気にバトンを振っておった。『蛍の光』も演奏してくれた」
「通常、帰宅を促すのに使われる曲だな。『さっさと帰れ』という意味だろう」
「なるほど。とぼとぼ歩いて着いたところが、国を挙げたイベントの会場とは思えぬ場所でござった」
「具体的に言うと?」
「野原にポツンと建った小さな建物。形は駅前の派出所に似ておった」
「イベント会場とは思えん・・・警官が詰めているのを見たことがないし、最近は灯りも点いてない」
「うむ。スタッフさんに促され、派出所にそっくりの建物に入ると、『まあ、座れ』と椅子を勧められ、まるで取り調べが始まりそうな雰囲気になった」
「こんな短い滞在期間で、お前、法に触れることをしたのか?・・・あっ、そうか。お前の姿を小学生の目に晒したのはマズかった。猥褻物陳列罪だ」
「うむ。拙者も、それに気付いて、すっかり観念した。何のために、れもん星まで来たのか、と悲しくなってござる」
「『ドナドナ』の謎が解けた。しっかり逮捕されたか?」
「ところが、結局、取り調べもされなんだ。そこは派出所ではなく、気が付けば、壁際に1台ガシャポンがあった」
「・・・またガシャポンか?ここで、前回れもん星に来た話に合流してしまった。もう後の展開は聞くまでもない」
「うむ。拙者がガシャポンを見詰めているのを察したスタッフさんが『シン太郎左衛門さんの出番までは、まだたっぷり時間がありますから、ガシャポン、どうですか?1回2000円です』と言った」
「前回より値段が上がってる」
シン太郎左衛門は疲れてきたらしく、息を切らして割り箸を重たそうに振っている。
「賞品のグレードが上がっているとのことでござった。拙者が黙っていると、スタッフさんは『豪華なれもんちゃんグッズが当たりますよ。特等は、れもんちゃんの実物大フィギュアだ!!』と叫んでござる」
「それは、気持ちが動くな」
「更に『末等の10等でさえ、これだ!!れもんちゃんトートバッグだ!!』と叫んで、実物を見せてくれた」
「よく叫ぶスタッフさんだ」
「うむ。ただ、その『れもんちゃんトートバッグ』が実に可愛かった!!」
「お前まで叫ばんでいい。当たり前だ。『れもんちゃん』と名前に付いていれば、可愛いに決まってる。丁度、買い物袋が壊れて困っていた。絶対に欲しい」
「拙者も欲しかった」
「特等は無理だ。末等のトートバッグを狙え。当たるまで、お前は、れもん星から帰って来なくていい」
「ところが、そんな甘い話ではござらなんだ」
「だろうな。もし、れもんちゃんグッズが当たっていれば、お前は死んでも、れもん星から持ち帰ってきたはずだ」
「いかにも」
シン太郎左衛門は疲れ果てて、布団の上にペタンと座った。
「で、何が当たった?またモモンガの缶バッジか?」
「今回は缶バッジではござらぬ。れもんちゃんの等身大フィギュアが当たる気は致さなんだが、れもんちゃんトートバッグが当たれば、父上も、さぞやお喜びと思い、スタッフさんに『では、一回やろう。だが、くれぐれも、モモンガの缶バッジではないな?』と確かめた。缶バッジは入っていないとのことでござった。2000円渡して、コインを受け取ったとき、スタッフさんが気になることを言った。『れもん星の素敵な特産品も当たりますよ!!』」
「待て待て、それはマズい。俺たちが欲しいのは、れもんちゃんグッズであって、れもん星の特産品ではない」
「うむ」
「・・・分かった・・・お前が当てたのは、れもん星の特産品だな」
「うむ。ガシャポンを回すと、カプセルが出て来て、中には小さく畳んだ紙が入っておった。開くと『3等』とあった。3等は『れもん星の空気の缶詰め』でござった」
「ラベルに、れもんちゃんの写真が使われていて、メチャクチャ可愛いとか?」
「ラベルなど貼られておらぬ愛想のない缶でござる。マジックで『空気』と手書きされておった」
「要らん要らん。俺は小学生のとき、近所に住む人から『スイスの空気の缶詰め』というものを貰ったことがあるが、開けたら鉄サビの臭いがしただけだった。スイスの印象がかなり悪くなった」
「拙者、元々、缶の類いは好かぬ。スタッフさんに、末等と替えてくれるように頼んだが、断られた。意地になって、追加で2回挑戦したが、残念ながら2回とも1等、『れもん星の空気の缶詰め(特大)』でござった。要は、『空気(特大)』とマジックで書かれた、ただの大きな缶でござる」
「1等のくせに、かさ張るだけで、お土産にしても誰にも喜ばれない」
「嫌われる覚悟がなければ、人には渡せぬ。スタッフさんから、『これ、どうやって持って帰ります?全部まとめて、紐を掛けて、持ち手を付けましょうか?』と訊かれたので、腹の中は煮えくり返っておったが、平静を装い、『いや。そこまでしてもらうのも恐縮。お世話になったお礼に、貴殿に差し上げまする』と言うと、スタッフさん、『こんな変なモノ、要りませ~ん』と大爆笑してござった。それで思わず・・・」
「『無礼者!』と叫んだ訳だな」
「うむ」
「・・・くだらん。なんて下らない話だ。今度こそ、本当に、れもんちゃんに怒られる。『下らないにも程がある』って、真顔で怒られる」
「うむ。では、今回を最終回と致しましょう」
「そんなの、何の意味もない。お前の夢に出てくる『れもん星』には夢も希望もない。こんな話をクチコミに揚げたら、れもんちゃんのイメージを損ないかねない。本当に素晴らしい娘なのに」
「うむ」
「クラブロイヤルのスタッフさんたちにも失礼だ。みんな、いい人ばかりだ」
「うむ・・・ところで、Bの手紙の解読は済んでござるか」
シン太郎左衛門には、旗色が悪くなると、話を逸らす悪い癖があるが、私は話を戻すことさえ面倒くさいと思ってしまう横着者だった。
「まだ手も付けてない」と言うと、新兵衛を摘まんで、おウチに帰してやった。
こんな朝だった。
そして、今日も、れもんちゃんに会った。言うまでもなく宇宙一だった。
「れもんちゃん、今回のクチコミ、すごく下らないけどいい?」と尋ねると、「うん。いいよ」と、宇宙一可愛い笑顔で答えてくれた。普通、こういう場面では、(だって、毎回下らないし)という心の声が聞こえてくるものだが、れもんちゃんに限っては、そういうことさえない。気立てのよさも宇宙一だった。
ついでに「れもん星って、割りとユニバに近かったりする?」と訊いてみようとしたが、無意味なので止めた。
彼女の故郷がどこにあろうと、れもんちゃんの魅力の総体を収めきるには、地球は余りにも小さすぎた。
シン太郎左衛門と空気の缶詰め 様ありがとうございました。
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投稿者:シン太郎左衛門と空気の缶詰め 様
ご来店日 2024年03月24日
今日は日曜日、れもんちゃんに会う日。れもんちゃんに会う日だけは十分睡眠をとりたいので、昨晩の就寝時に明日は8時まで静かにしているように厳に命じていた。
「約束だぞ。5時に目が覚めても、俺の目覚ましが鳴るまでは、静かにしてるんだぞ」
「うむ。天地神明に誓いまする」
そう固く約束していたのに、今朝も、やっぱり夜明け前に叩き起こされた。
「この無礼者め!手討ちに致す!」とか大声で怒鳴っている。布団を捲って、「うるさい!」と一喝すると、シン太郎左衛門、ハッと目を覚ました。
「今、何時でござるか」
手探りでスマホを探し当て、画面を股間に向けてやった。
「見ろ。5時ジャストだ」
「父上は、5時起きの星の下に産まれてござるな」
「そんな星はない。どう考えてもお前のせいだ」
「うむ。拙者、夢を見てござった」
私はモソモソと布団から起き出し、
「そうだろうな。何の脈絡もなく『無礼者』と叫ぶヤツはいない。俺も夢を見ていたはずだが、お前の罵声に叩き起こされて、記憶が飛んでしまった」
と、部屋の電気を点けた。
「拙者、またしても、れもん星の夢を見てござった」
「夢の中で、れもん星に行く話は以前にもあった」
「いかにも。ただ、拙者が今回れもん星に行ったのは遊びではござらぬ。れもん星の観光大臣から依頼を受け、『れもん星ワクワク観光シンポジウム2024 ~夢と希望に溢れる星~』で、れもんちゃんを讃えるスピーチをするため、れもん星に行ったのでござる」
私は、新兵衛(クワガタ)を摘まんで、水槽から出すと、布団の上に置いて、あぐらをかいた。
「それは名誉なことだ。大臣から手紙でも来たのか?」
割り箸を渡してやると、シン太郎左衛門は素振りを始めた。
「うむ。親書が届いた。ディズニーの便箋に『れもん星の観光大臣ちゃんだよ~ん。インバウンド、頑張るよ~ん。イベントするから、れもん星PRのスピーチしてねっ(ハート)』と書いてござった。イベントのチラシが同封されておった」
手の甲で眠い目をゴシゴシ擦りながら、
「もしかして、れもん星の観光大臣は、れもんちゃんか?」
「それは分からぬ。ただ、こういう機会もあろうかと、拙者、前々から、れもんちゃんを讃えるスピーチを用意してござった」
「それは見上げた心掛けだ」
「拙者、手紙を一読、素早くタキシードに着替え、スピーチ原稿を手にすると、次の瞬間には、南港から出発するポンポン船の甲板に立っておった」
「お前、れもん星を舐めてるだろ?何で毎回、船で、れもん星に行くのだ。ちゃんとロケットに乗れ」
シン太郎左衛門は真面目に素振りを続けながら、
「船に乗ったものを、嘘は吐けぬ。『シン太郎左衛門』シリーズは、ドキュメンタリーでござる。出来るものなら、拙者もロケットがよかった。港を出た途端、船が波をかぶり、折角のタキシードはズブ濡れ、原稿もどこかへ行ってしもうた」
「船で行くからだ」
「うむ。そうこうしているうちに、小船は港に入り、早くも、れもん星に到着しておった」
「れもん星って、そんなに近いのか?今の話を聞く限り、れもん星の最寄り駅はユニバーサルシティ駅かもしれない。近畿圏なのは間違いない」
「真面目に考えてもしょうがない。所詮、夢の話でござる」
「そりゃ、そうだ」
シン太郎左衛門は引き続き割り箸を振り回している。
「今回も、周りに何もない殺風景な港に到着いたしたが、波止場には『歓迎 シン太郎左衛門様 ~よく覚えてないけど長い名前のシンポジウムへようこそ~』と横断幕が掲げられておった」
「れもん星人は、かなりいい加減なヤツらだな」
「うむ。船から降りると、いつもクラブロイヤルの入り口で愛想よく出迎えてくれるスタッフさんにそっくりな『れもん星人』が出迎えてくれた。周りには、10人程の小学生のマーチング・バンドが控えておった。彼らも当然『れもん星人』でござる」
「心温まる歓迎風景だ」
「うむ。スタッフさんが、『ようこそお越しくださいました。会場まで約4キロございます』と先導してくれて、歩いて会場に向かった」
「徒歩なの?」と私はあくび混じりに言った。
シン太郎左衛門は益々元気に素振りを続けながら、
「うむ。道々子供たちがリコーダーで『ドナドナ』を吹いてくれた。スタッフさんがバトンを振ってござった」
「リコーダーのみのマーチング・バンドというのは斬新だが、『ドナドナ』とは微妙な選曲だな」
「うむ。悲しいメロディに合わせて、スタッフさんは満面の笑みを浮かべ、陽気にバトンを振っておった。『蛍の光』も演奏してくれた」
「通常、帰宅を促すのに使われる曲だな。『さっさと帰れ』という意味だろう」
「なるほど。とぼとぼ歩いて着いたところが、国を挙げたイベントの会場とは思えぬ場所でござった」
「具体的に言うと?」
「野原にポツンと建った小さな建物。形は駅前の派出所に似ておった」
「イベント会場とは思えん・・・警官が詰めているのを見たことがないし、最近は灯りも点いてない」
「うむ。スタッフさんに促され、派出所にそっくりの建物に入ると、『まあ、座れ』と椅子を勧められ、まるで取り調べが始まりそうな雰囲気になった」
「こんな短い滞在期間で、お前、法に触れることをしたのか?・・・あっ、そうか。お前の姿を小学生の目に晒したのはマズかった。猥褻物陳列罪だ」
「うむ。拙者も、それに気付いて、すっかり観念した。何のために、れもん星まで来たのか、と悲しくなってござる」
「『ドナドナ』の謎が解けた。しっかり逮捕されたか?」
「ところが、結局、取り調べもされなんだ。そこは派出所ではなく、気が付けば、壁際に1台ガシャポンがあった」
「・・・またガシャポンか?ここで、前回れもん星に来た話に合流してしまった。もう後の展開は聞くまでもない」
「うむ。拙者がガシャポンを見詰めているのを察したスタッフさんが『シン太郎左衛門さんの出番までは、まだたっぷり時間がありますから、ガシャポン、どうですか?1回2000円です』と言った」
「前回より値段が上がってる」
シン太郎左衛門は疲れてきたらしく、息を切らして割り箸を重たそうに振っている。
「賞品のグレードが上がっているとのことでござった。拙者が黙っていると、スタッフさんは『豪華なれもんちゃんグッズが当たりますよ。特等は、れもんちゃんの実物大フィギュアだ!!』と叫んでござる」
「それは、気持ちが動くな」
「更に『末等の10等でさえ、これだ!!れもんちゃんトートバッグだ!!』と叫んで、実物を見せてくれた」
「よく叫ぶスタッフさんだ」
「うむ。ただ、その『れもんちゃんトートバッグ』が実に可愛かった!!」
「お前まで叫ばんでいい。当たり前だ。『れもんちゃん』と名前に付いていれば、可愛いに決まってる。丁度、買い物袋が壊れて困っていた。絶対に欲しい」
「拙者も欲しかった」
「特等は無理だ。末等のトートバッグを狙え。当たるまで、お前は、れもん星から帰って来なくていい」
「ところが、そんな甘い話ではござらなんだ」
「だろうな。もし、れもんちゃんグッズが当たっていれば、お前は死んでも、れもん星から持ち帰ってきたはずだ」
「いかにも」
シン太郎左衛門は疲れ果てて、布団の上にペタンと座った。
「で、何が当たった?またモモンガの缶バッジか?」
「今回は缶バッジではござらぬ。れもんちゃんの等身大フィギュアが当たる気は致さなんだが、れもんちゃんトートバッグが当たれば、父上も、さぞやお喜びと思い、スタッフさんに『では、一回やろう。だが、くれぐれも、モモンガの缶バッジではないな?』と確かめた。缶バッジは入っていないとのことでござった。2000円渡して、コインを受け取ったとき、スタッフさんが気になることを言った。『れもん星の素敵な特産品も当たりますよ!!』」
「待て待て、それはマズい。俺たちが欲しいのは、れもんちゃんグッズであって、れもん星の特産品ではない」
「うむ」
「・・・分かった・・・お前が当てたのは、れもん星の特産品だな」
「うむ。ガシャポンを回すと、カプセルが出て来て、中には小さく畳んだ紙が入っておった。開くと『3等』とあった。3等は『れもん星の空気の缶詰め』でござった」
「ラベルに、れもんちゃんの写真が使われていて、メチャクチャ可愛いとか?」
「ラベルなど貼られておらぬ愛想のない缶でござる。マジックで『空気』と手書きされておった」
「要らん要らん。俺は小学生のとき、近所に住む人から『スイスの空気の缶詰め』というものを貰ったことがあるが、開けたら鉄サビの臭いがしただけだった。スイスの印象がかなり悪くなった」
「拙者、元々、缶の類いは好かぬ。スタッフさんに、末等と替えてくれるように頼んだが、断られた。意地になって、追加で2回挑戦したが、残念ながら2回とも1等、『れもん星の空気の缶詰め(特大)』でござった。要は、『空気(特大)』とマジックで書かれた、ただの大きな缶でござる」
「1等のくせに、かさ張るだけで、お土産にしても誰にも喜ばれない」
「嫌われる覚悟がなければ、人には渡せぬ。スタッフさんから、『これ、どうやって持って帰ります?全部まとめて、紐を掛けて、持ち手を付けましょうか?』と訊かれたので、腹の中は煮えくり返っておったが、平静を装い、『いや。そこまでしてもらうのも恐縮。お世話になったお礼に、貴殿に差し上げまする』と言うと、スタッフさん、『こんな変なモノ、要りませ~ん』と大爆笑してござった。それで思わず・・・」
「『無礼者!』と叫んだ訳だな」
「うむ」
「・・・くだらん。なんて下らない話だ。今度こそ、本当に、れもんちゃんに怒られる。『下らないにも程がある』って、真顔で怒られる」
「うむ。では、今回を最終回と致しましょう」
「そんなの、何の意味もない。お前の夢に出てくる『れもん星』には夢も希望もない。こんな話をクチコミに揚げたら、れもんちゃんのイメージを損ないかねない。本当に素晴らしい娘なのに」
「うむ」
「クラブロイヤルのスタッフさんたちにも失礼だ。みんな、いい人ばかりだ」
「うむ・・・ところで、Bの手紙の解読は済んでござるか」
シン太郎左衛門には、旗色が悪くなると、話を逸らす悪い癖があるが、私は話を戻すことさえ面倒くさいと思ってしまう横着者だった。
「まだ手も付けてない」と言うと、新兵衛を摘まんで、おウチに帰してやった。
こんな朝だった。
そして、今日も、れもんちゃんに会った。言うまでもなく宇宙一だった。
「れもんちゃん、今回のクチコミ、すごく下らないけどいい?」と尋ねると、「うん。いいよ」と、宇宙一可愛い笑顔で答えてくれた。普通、こういう場面では、(だって、毎回下らないし)という心の声が聞こえてくるものだが、れもんちゃんに限っては、そういうことさえない。気立てのよさも宇宙一だった。
ついでに「れもん星って、割りとユニバに近かったりする?」と訊いてみようとしたが、無意味なので止めた。
彼女の故郷がどこにあろうと、れもんちゃんの魅力の総体を収めきるには、地球は余りにも小さすぎた。
シン太郎左衛門と空気の缶詰め 様ありがとうございました。