口コミ│神戸・福原 ソープランド Club Royal (クラブロイヤル)
078-512-0011
トップ
TOP
料金システム
SYSTEM
在籍一覧
LIST
新人情報
NEW FACE
出勤情報
SCHEDULE
待ち時間
REAL TIME
新着情報
TOPICS
イベント
EVENT
口コミ
REVIEW
写メ日記
PHOTO DIARY
求人情報
RECRUIT
男子求人
RECRUIT
アクセス
ACCESS
動画
MOVIE
メルマガ
MAIL MAGAZINE
クレジット決済
CTREDIT
営業時間9:00 ~ 24:00前
口コミ
REVIEW
口コミを投稿する
れもん【VIP】(23)
れもん【VIP】の口コミだけ見る
投稿者:シン太郎左衛門と下品な話 様
ご来店日 2024年12月22日
我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は武士である。来年から、また剣術の稽古に励むことに決めたと言っている。怪しいもんだ。ホントにやる気があれば、今日からすぐ始めるはずだ。
昨日は土曜日。れもんちゃんイブ。親子揃って、終日ゴロゴロと過ごした。
何もしていないのに、お腹は減るので、朝昼兼ねて明太子ご飯を食べ、このままだと夕飯も明太子ご飯になってしまうなぁと考えていると、シン太郎左衛門が話し掛けてきた。
「父上、年の瀬も迫ってござる。年越し準備をいたしましょう」
「年越しの準備って何?」
「注連縄を飾るとか」
「そんなことして楽しいか?」
「餅搗きをするとか」
「一人でやることじゃないよ」
「しかし、こんなふうに終日ゴロゴロしておれば、脳ミソが腐りまする」
「なるほど、そうか。道理でさっきから変な臭いがすると思った。俺の脳ミソが腐りかかってるのだな」
「それは違う。さっき拙者が屁をこいた」
「何だ、お前か」
「うむ。朝から屁が止まらぬ」
「道理で朝から変な臭いがすると思った。れもんちゃんのクチコミの収録中に緊張感が足らんな」
「そう言う父上も朝から数回屁をこいてござる」
「もう、この話は止めよう。れもんちゃんのクチコミにこんな話題は相応しくない」
「うむ」と言いながら、シン太郎左衛門が屁をこいた。
「お前、いい加減にしろ!こんなクチコミがあるか!れもんちゃんに怒られるぞ」
「れもんちゃんは至って気立てがよい。こんなことで腹を立てる娘ではござらぬ」と言いながら、シン太郎左衛門が、また屁をこいた。
「お前、胃腸の病気じゃないか?」
「拙者、胃も腸も持たぬ」
「じゃあ、何のために尻の穴だけは持ってるんだよ」
「屁をこくためでござる」
そんな救いようのない会話をしているうちに、いつの間にか布団の上に居場所を移し、うたた寝をしてしまっていた。
目覚めたら、昼の2時だった。
「まだ、こんな時間か・・・どうせなら日曜日の朝であって欲しかった」
「父上、話をいたしましょう」
「もう屁の話は要らんぞ」
「違いまする。Bという御仁が父上を恨んでいると度々聞いたが、父上、一体どんなことを仕出かしましたか」
「その話はしたくない」
「語れぬような禍々しい事でござるか」
「違う。そんなんじゃない。別に俺は悪い事なんてしていない。完璧な逆恨みだ」
「では話してくだされ」
「屁の話よりは若干マシかもしれんが、大して面白い話ではない。それに、あれこれと前もって説明しなければならないことが多すぎて面倒臭い」
「時間はたっぷりござる。拙者が昼寝を続けている間、一人で喋っておいてくだされ」
「そんな馬鹿みたいなこと、できるか!」
「まあよい。ささ、『なぜ父上はBに恨まれているか』を語ってくだされ」
「よし。では、ダイジェスト版でお届けしよう」
「うむ」と、シン太郎左衛門は枕を引き寄せて、布団を引き被った。
「お前、寝る気満々じゃないか」
「聞くに堪えぬ退屈な話でござる」
「まだ話してない!」
それは、40年ほど前、私が大学に入学した直後のことだった。キャンパスの近くを歩いていると、学ランを着た、見た目40歳を超える、酒臭い人物が近寄ってきて・・・
「それがK先輩で、そのままK先輩が主宰する部活のメンバーにされてしまった。そのクラブの新歓コンパで・・・」
「そのクラブは、何部でござるか」
「知らん。1年在籍していたが、最後まで分からんかった。そういう細部に拘ると、1日かけても話し終わらないから、無視してくれ」
「うむ」と言いながら、シン太郎左衛門は屁をこいた。
「新歓コンパは、K先輩が不法占拠していた茶道部の部室で開かれた。ボロボロの畳が敷かれた和室の真ん中に、どこかで拾ってきたと思われるチャブ台が置かれていた。K先輩のほかに、影の薄い先輩が3、4人いて、全員ベロンベロンに酔っていた。新入生はABCと俺の4人。狭い部屋に男ばかりだ」
「この話、やはり聞くに堪えませぬな」
「うん。K先輩が俺たち4人に『新入生、一人一芸やってみろ』と言った。俺はABCとは、その日が初対面だったから、どういう連中なのか全然分からんかった。すると、最初にAが『では、自分は面白い話をします』と、彼の出身高校の名物教師の話をした。Aは話が上手いから、みんな、腹を抱えて笑った。どんな話だったかは思い出せん。Aはホラ吹きだから、ウソに決まってるしな」
「Aは、くだらんヤツでござる」
「うん。で、Aが話し終わると、Cがニコニコしながら手を上げた」
「先日会った、無口な御仁でござるな」
「そうだ。K先輩に『次はお前か?何をする』って訊かれても、何も言わない。ニコニコしながら、大きな鞄からビーカーやらアルコールランプやら理科実験の道具を取り出して、チャブ台の上に並べた。その次に、やっぱりニコニコしながら、無色透明の液体が入った、小さな蓋付き瓶をズラッと並べると、黙ってニコニコしている」
「うむ」と言いながら、シン太郎左衛門は屁をこいた。
「若い頃のCはホントに凄い美少年だった。歴史上の人物で言うと、森蘭丸みたいなモンだ。それまで爽やかにニコニコしていた18歳の美少年が、急にキリッとした顔になり白衣を纏うと、真剣な面持ちでビーカーに無色透明の2種類の液体を注いだ。透明の液体が混ざると、さ〜っと赤くなった」
「うむ」と言いながら、シン太郎左衛門は屁をこいた。
「続けて、次のビーカーに別の液体を組み合わせて注ぐと、今度はオレンジ色になった。次々と同じことを繰り返して、虹の七色の液体が並ぶと、Cは無言のまま『どうです、凄いでしょ。心ゆくまで御覧ください』という感じで両手を拡げて、得意げにニコニコしていた」
「それは感心するほどのことでござるか」
「分からん。そこにいたC以外の誰も化学に詳しくなかったから、皆ポカンとしてしまっていた。気まずい沈黙を破るようにK先輩が『分かった。次に行こう』と言ったが、Cは『次の実験をやってくれ』と解釈したのか、アルコールランプに火を点けて、真剣な表情で金属片を翳した。炎が真っ赤になった。別の金属片を翳すと、鮮やかなオレンジ色になった。そうやって、我々は望みもしないのに、虹の七色の炎を順番に見せられた。Cはやっぱり得意満面で、さも凄いことをやり遂げたかのように両手を拡げてニコニコしていた」
「Cは空気が読めぬ御仁でござる」
「そうなんだ。K先輩は呆れて、Cに『お前はもういい』と言って、Bに『次は、お前、なんかやれ』と言った。指名されたBがスクッと立ち上がると、身長2メートルの無表情な男が発する威圧感にみんな圧倒された。Bはボソッと『怖い話をする』と言ったが、その隣ではCがまだ理科実験を続けていて、またビーカーを7つ並べて、それぞれに無色透明の液体を入れていった」
「ニコニコしてござったか」と言いながら、シン太郎左衛門は屁をこいた。
「当然だ。Cは一人だけ楽しそうだった。Bが無表情でボソボソと話し始めたが、何を言っているか、まるで聞き取れん。そのうち、Cは真剣な表情になり、ビーカーの液体に、それぞれ違う固形物を入れていった。モクモクと七色の煙が立ち昇った。虹色の煙の中で、ノメッとして表情のない大男がボソボソと訳の分からんことを喋ってる。それは、とっても気持ち悪い光景だった。K先輩は『お前、気持ち悪い!もういい。座れ!』とBを怒鳴りつけて座らせると、俺の方を向いて『お前は大丈夫だろうな?』と訊いたらしい」
「・・・『らしい』とは、どういうことでござるか」
「記憶がない。後で、Aから聞かされた」
「記憶がないとは、どういうことでござるか」
「Cが発生させたガスが有毒だったんだと思う。俺は急にメチャメチャ気分がハイになっていくのを感じたが、そこから先、何が起きたか、まったく覚えていない。Aが言うには、俺はスクッと立ち上がって、『僕も怖い話をします』と宣言して、当時流行っていた『口裂け女』の話を始めたらしい」
「マスクを着けた女の都市伝説でござるな」と言いながら、シン太郎左衛門は屁をこいた。
「うん。ただ、そのとき俺が語ったのは、巷で流布されているモノとは全く違う展開で、Cを除いた全員がパニックに陥るほど怖い話だったらしい。壁際まで後ずさりしたK先輩は涙目になって『お前、いい加減にしろ!こんな怖い話をする馬鹿があるか!』って怒ったらしい。でも、俺は『止める訳にはいかないな。最後まで話してやるから、黙って聴け!お前ら全員、呪い殺す!』と、恐ろしい形相で応じたらしい。それで、俺は先輩たちに押さえ付けられて、タオルで口を塞がれたとのことだ。その間、Aはヘラヘラ笑っていて、Bは茫然自失としていて、Cはニコニコしながら理科実験の後片付けをしていたらしい。これが、Bが俺を恨んでいる理由だ」
「・・・まるで分からぬ」と言いながら、シン太郎左衛門は屁をこいた。
「だろうな。説明してやる。Bは子供の頃から怪談好きで、怪談を語れば自分の右に出る者はいないと思い込んでいた。数学や外国語の天才である以上に、怪談師としての誇りを持っていた。そのプライドが、俺の『口裂け女』によってズタズタにされたらしい。そうAが言っていた」
「Aの言うことなど当てにならぬ」
「まあな。でも本当に怖い話だったらしい。K先輩も、その後しばらく俺の顔を見ると、話の続きを始めるんじゃないかと、ビクビクしてた。我々の間では『伝説の怪談』だ。話した当人には全く記憶がないがな」
「ところで、『伝説』と言えば、れもんちゃんでござるな」
「そうだ。れもんちゃんは、現役バリバリの、人を幸せにする『伝説』だ。それはそれは貴いよ。オマケだが、Bは怪談好きのくせに根っからの怖がりで、その日以降、数ヶ月、独りぼっちの下宿に戻ることが出来なくなって、AやCの所で世話になってたらしい。その後もマスクを着けた人を見ると、居ても立ってもおれず、逃げ出すようになったという事だ」
「それは、いわゆる『リラックマ』・・・いや、『トラウマ』というものでござるな」と言いながら、シン太郎左衛門は屁をこいた。
「そうだ。それが、この前の新型コロナ騒ぎだろ。街中、老若男女を問わず、全員マスク着用だ。Bは怖くて家から出られなくなって、仕事を辞めたらしい」
「それはAの作り話でござろう」
「いや。B自身の手紙に書いてあった。『俺は、お前を許さない』と書いてあった。ただ追伸として『ところで、あの口裂け女の話、最後がどうなるのか気になってしょうがない。よかったら書いて送ってほしい』とあった」
「Bは、確かに変なヤツでござる」
「とにかく、俺にはBに恨まれる理由がない」
「うむ。悪いのはCでござる。Cは毒ガス野郎でござる」と言いながら、シン太郎左衛門は屁をこいた。
「いい加減にしろ!毒ガス野郎は、お前だ!人が話してる間、ずっとプスプス屁をこき続けやがって」
「うむ。今回のクチコミは、実に下品で、くだらぬ。れもんちゃんは宇宙一に宇宙一の麗人でござるぞ。こんな下品でくだらぬクチコミを投稿するわけにはいかぬ。削除いたしましょう」
「こんなに長々書いて、今更消せるか!全部お前のせいだ!」
ということで、今回、とんでもなくヒドいクチコミが出来上がってしまった。
そして、今日は日曜日、れもんちゃんデー。このクチコミは最低だが、れもんは、そんなことお構い無しに宇宙一に宇宙一だった。
帰り際、れもんちゃんにお見送りをしてもらいながら、
「ゴメンね。今回のクチコミは、ヒドいんだ」
「そうなんだね。でも大丈夫だよ〜」
「くだらないし、下品だし」
「うん。でも大丈夫だよ〜」
れもんちゃんの笑顔には、極寒のシベリアの吹雪さえ、爽やかな春風に変える力がある。クチコミのことなど、どうでもよくなってしまった。
我々親子は、こういう次第で、クリスマス・シーズンも、なくてはならぬのは、やっぱり、れもんちゃんなのだ、と改めて痛感したのであった。
シン太郎左衛門と下品な話 様ありがとうございました。
Club Royal (クラブロイヤル)
トップ
口コミ
投稿者:シン太郎左衛門と下品な話 様
ご来店日 2024年12月22日
昨日は土曜日。れもんちゃんイブ。親子揃って、終日ゴロゴロと過ごした。
何もしていないのに、お腹は減るので、朝昼兼ねて明太子ご飯を食べ、このままだと夕飯も明太子ご飯になってしまうなぁと考えていると、シン太郎左衛門が話し掛けてきた。
「父上、年の瀬も迫ってござる。年越し準備をいたしましょう」
「年越しの準備って何?」
「注連縄を飾るとか」
「そんなことして楽しいか?」
「餅搗きをするとか」
「一人でやることじゃないよ」
「しかし、こんなふうに終日ゴロゴロしておれば、脳ミソが腐りまする」
「なるほど、そうか。道理でさっきから変な臭いがすると思った。俺の脳ミソが腐りかかってるのだな」
「それは違う。さっき拙者が屁をこいた」
「何だ、お前か」
「うむ。朝から屁が止まらぬ」
「道理で朝から変な臭いがすると思った。れもんちゃんのクチコミの収録中に緊張感が足らんな」
「そう言う父上も朝から数回屁をこいてござる」
「もう、この話は止めよう。れもんちゃんのクチコミにこんな話題は相応しくない」
「うむ」と言いながら、シン太郎左衛門が屁をこいた。
「お前、いい加減にしろ!こんなクチコミがあるか!れもんちゃんに怒られるぞ」
「れもんちゃんは至って気立てがよい。こんなことで腹を立てる娘ではござらぬ」と言いながら、シン太郎左衛門が、また屁をこいた。
「お前、胃腸の病気じゃないか?」
「拙者、胃も腸も持たぬ」
「じゃあ、何のために尻の穴だけは持ってるんだよ」
「屁をこくためでござる」
そんな救いようのない会話をしているうちに、いつの間にか布団の上に居場所を移し、うたた寝をしてしまっていた。
目覚めたら、昼の2時だった。
「まだ、こんな時間か・・・どうせなら日曜日の朝であって欲しかった」
「父上、話をいたしましょう」
「もう屁の話は要らんぞ」
「違いまする。Bという御仁が父上を恨んでいると度々聞いたが、父上、一体どんなことを仕出かしましたか」
「その話はしたくない」
「語れぬような禍々しい事でござるか」
「違う。そんなんじゃない。別に俺は悪い事なんてしていない。完璧な逆恨みだ」
「では話してくだされ」
「屁の話よりは若干マシかもしれんが、大して面白い話ではない。それに、あれこれと前もって説明しなければならないことが多すぎて面倒臭い」
「時間はたっぷりござる。拙者が昼寝を続けている間、一人で喋っておいてくだされ」
「そんな馬鹿みたいなこと、できるか!」
「まあよい。ささ、『なぜ父上はBに恨まれているか』を語ってくだされ」
「よし。では、ダイジェスト版でお届けしよう」
「うむ」と、シン太郎左衛門は枕を引き寄せて、布団を引き被った。
「お前、寝る気満々じゃないか」
「聞くに堪えぬ退屈な話でござる」
「まだ話してない!」
それは、40年ほど前、私が大学に入学した直後のことだった。キャンパスの近くを歩いていると、学ランを着た、見た目40歳を超える、酒臭い人物が近寄ってきて・・・
「それがK先輩で、そのままK先輩が主宰する部活のメンバーにされてしまった。そのクラブの新歓コンパで・・・」
「そのクラブは、何部でござるか」
「知らん。1年在籍していたが、最後まで分からんかった。そういう細部に拘ると、1日かけても話し終わらないから、無視してくれ」
「うむ」と言いながら、シン太郎左衛門は屁をこいた。
「新歓コンパは、K先輩が不法占拠していた茶道部の部室で開かれた。ボロボロの畳が敷かれた和室の真ん中に、どこかで拾ってきたと思われるチャブ台が置かれていた。K先輩のほかに、影の薄い先輩が3、4人いて、全員ベロンベロンに酔っていた。新入生はABCと俺の4人。狭い部屋に男ばかりだ」
「この話、やはり聞くに堪えませぬな」
「うん。K先輩が俺たち4人に『新入生、一人一芸やってみろ』と言った。俺はABCとは、その日が初対面だったから、どういう連中なのか全然分からんかった。すると、最初にAが『では、自分は面白い話をします』と、彼の出身高校の名物教師の話をした。Aは話が上手いから、みんな、腹を抱えて笑った。どんな話だったかは思い出せん。Aはホラ吹きだから、ウソに決まってるしな」
「Aは、くだらんヤツでござる」
「うん。で、Aが話し終わると、Cがニコニコしながら手を上げた」
「先日会った、無口な御仁でござるな」
「そうだ。K先輩に『次はお前か?何をする』って訊かれても、何も言わない。ニコニコしながら、大きな鞄からビーカーやらアルコールランプやら理科実験の道具を取り出して、チャブ台の上に並べた。その次に、やっぱりニコニコしながら、無色透明の液体が入った、小さな蓋付き瓶をズラッと並べると、黙ってニコニコしている」
「うむ」と言いながら、シン太郎左衛門は屁をこいた。
「若い頃のCはホントに凄い美少年だった。歴史上の人物で言うと、森蘭丸みたいなモンだ。それまで爽やかにニコニコしていた18歳の美少年が、急にキリッとした顔になり白衣を纏うと、真剣な面持ちでビーカーに無色透明の2種類の液体を注いだ。透明の液体が混ざると、さ〜っと赤くなった」
「うむ」と言いながら、シン太郎左衛門は屁をこいた。
「続けて、次のビーカーに別の液体を組み合わせて注ぐと、今度はオレンジ色になった。次々と同じことを繰り返して、虹の七色の液体が並ぶと、Cは無言のまま『どうです、凄いでしょ。心ゆくまで御覧ください』という感じで両手を拡げて、得意げにニコニコしていた」
「それは感心するほどのことでござるか」
「分からん。そこにいたC以外の誰も化学に詳しくなかったから、皆ポカンとしてしまっていた。気まずい沈黙を破るようにK先輩が『分かった。次に行こう』と言ったが、Cは『次の実験をやってくれ』と解釈したのか、アルコールランプに火を点けて、真剣な表情で金属片を翳した。炎が真っ赤になった。別の金属片を翳すと、鮮やかなオレンジ色になった。そうやって、我々は望みもしないのに、虹の七色の炎を順番に見せられた。Cはやっぱり得意満面で、さも凄いことをやり遂げたかのように両手を拡げてニコニコしていた」
「Cは空気が読めぬ御仁でござる」
「そうなんだ。K先輩は呆れて、Cに『お前はもういい』と言って、Bに『次は、お前、なんかやれ』と言った。指名されたBがスクッと立ち上がると、身長2メートルの無表情な男が発する威圧感にみんな圧倒された。Bはボソッと『怖い話をする』と言ったが、その隣ではCがまだ理科実験を続けていて、またビーカーを7つ並べて、それぞれに無色透明の液体を入れていった」
「ニコニコしてござったか」と言いながら、シン太郎左衛門は屁をこいた。
「当然だ。Cは一人だけ楽しそうだった。Bが無表情でボソボソと話し始めたが、何を言っているか、まるで聞き取れん。そのうち、Cは真剣な表情になり、ビーカーの液体に、それぞれ違う固形物を入れていった。モクモクと七色の煙が立ち昇った。虹色の煙の中で、ノメッとして表情のない大男がボソボソと訳の分からんことを喋ってる。それは、とっても気持ち悪い光景だった。K先輩は『お前、気持ち悪い!もういい。座れ!』とBを怒鳴りつけて座らせると、俺の方を向いて『お前は大丈夫だろうな?』と訊いたらしい」
「・・・『らしい』とは、どういうことでござるか」
「記憶がない。後で、Aから聞かされた」
「記憶がないとは、どういうことでござるか」
「Cが発生させたガスが有毒だったんだと思う。俺は急にメチャメチャ気分がハイになっていくのを感じたが、そこから先、何が起きたか、まったく覚えていない。Aが言うには、俺はスクッと立ち上がって、『僕も怖い話をします』と宣言して、当時流行っていた『口裂け女』の話を始めたらしい」
「マスクを着けた女の都市伝説でござるな」と言いながら、シン太郎左衛門は屁をこいた。
「うん。ただ、そのとき俺が語ったのは、巷で流布されているモノとは全く違う展開で、Cを除いた全員がパニックに陥るほど怖い話だったらしい。壁際まで後ずさりしたK先輩は涙目になって『お前、いい加減にしろ!こんな怖い話をする馬鹿があるか!』って怒ったらしい。でも、俺は『止める訳にはいかないな。最後まで話してやるから、黙って聴け!お前ら全員、呪い殺す!』と、恐ろしい形相で応じたらしい。それで、俺は先輩たちに押さえ付けられて、タオルで口を塞がれたとのことだ。その間、Aはヘラヘラ笑っていて、Bは茫然自失としていて、Cはニコニコしながら理科実験の後片付けをしていたらしい。これが、Bが俺を恨んでいる理由だ」
「・・・まるで分からぬ」と言いながら、シン太郎左衛門は屁をこいた。
「だろうな。説明してやる。Bは子供の頃から怪談好きで、怪談を語れば自分の右に出る者はいないと思い込んでいた。数学や外国語の天才である以上に、怪談師としての誇りを持っていた。そのプライドが、俺の『口裂け女』によってズタズタにされたらしい。そうAが言っていた」
「Aの言うことなど当てにならぬ」
「まあな。でも本当に怖い話だったらしい。K先輩も、その後しばらく俺の顔を見ると、話の続きを始めるんじゃないかと、ビクビクしてた。我々の間では『伝説の怪談』だ。話した当人には全く記憶がないがな」
「ところで、『伝説』と言えば、れもんちゃんでござるな」
「そうだ。れもんちゃんは、現役バリバリの、人を幸せにする『伝説』だ。それはそれは貴いよ。オマケだが、Bは怪談好きのくせに根っからの怖がりで、その日以降、数ヶ月、独りぼっちの下宿に戻ることが出来なくなって、AやCの所で世話になってたらしい。その後もマスクを着けた人を見ると、居ても立ってもおれず、逃げ出すようになったという事だ」
「それは、いわゆる『リラックマ』・・・いや、『トラウマ』というものでござるな」と言いながら、シン太郎左衛門は屁をこいた。
「そうだ。それが、この前の新型コロナ騒ぎだろ。街中、老若男女を問わず、全員マスク着用だ。Bは怖くて家から出られなくなって、仕事を辞めたらしい」
「それはAの作り話でござろう」
「いや。B自身の手紙に書いてあった。『俺は、お前を許さない』と書いてあった。ただ追伸として『ところで、あの口裂け女の話、最後がどうなるのか気になってしょうがない。よかったら書いて送ってほしい』とあった」
「Bは、確かに変なヤツでござる」
「とにかく、俺にはBに恨まれる理由がない」
「うむ。悪いのはCでござる。Cは毒ガス野郎でござる」と言いながら、シン太郎左衛門は屁をこいた。
「いい加減にしろ!毒ガス野郎は、お前だ!人が話してる間、ずっとプスプス屁をこき続けやがって」
「うむ。今回のクチコミは、実に下品で、くだらぬ。れもんちゃんは宇宙一に宇宙一の麗人でござるぞ。こんな下品でくだらぬクチコミを投稿するわけにはいかぬ。削除いたしましょう」
「こんなに長々書いて、今更消せるか!全部お前のせいだ!」
ということで、今回、とんでもなくヒドいクチコミが出来上がってしまった。
そして、今日は日曜日、れもんちゃんデー。このクチコミは最低だが、れもんは、そんなことお構い無しに宇宙一に宇宙一だった。
帰り際、れもんちゃんにお見送りをしてもらいながら、
「ゴメンね。今回のクチコミは、ヒドいんだ」
「そうなんだね。でも大丈夫だよ〜」
「くだらないし、下品だし」
「うん。でも大丈夫だよ〜」
れもんちゃんの笑顔には、極寒のシベリアの吹雪さえ、爽やかな春風に変える力がある。クチコミのことなど、どうでもよくなってしまった。
我々親子は、こういう次第で、クリスマス・シーズンも、なくてはならぬのは、やっぱり、れもんちゃんなのだ、と改めて痛感したのであった。
シン太郎左衛門と下品な話 様ありがとうございました。