口コミ│神戸・福原 ソープランド Club Royal (クラブロイヤル)
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れもん【VIP】(23)
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投稿者:シン太郎左衛門とカッパのぬいぐるみ 様
ご来店日 2025年02月02日
我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は武士である。ただ今回のクチコミに限り、カッパになる。
昨日は土曜日。れもんちゃんイブ。
昼前に目を覚ましたが、仕事は休みだったので、丸一日、家でゴロゴロ過ごすと決意を固め、新聞の折込広告の裏に筆ペンで「初志貫徹」と書き、セロテープで壁に貼り付けた。
「シン太郎左衛門、今日、俺は一歩たりとも家から出ないことに決めた」
「うむ。それはよいことを決めなさった。拙者もご一緒いたそう」
「よし。そうと決まれば、まずは二度寝だ」と、今出てきたばかりの布団に逆戻りした。
「実にヌクくて、気持ちいいなぁ」
「冬は、布団と風呂と、そしてもちろん、れもんちゃんが気持ちよい」
「そうだ。春は布団と散歩と、そして、何より、れもんちゃんが気持ちいい」
「夏に気持ちよいのは、エアコンとブランケットと、そして、何をおいても、れもんちゃんでござる」
「秋は、全てにおいて気持ちのよい季節だが、取り分け、れもんちゃんが気持ちいいよな」
「うむ。春夏秋冬、季節を問わず気持ちいいのが、れもんちゃんでござる」
「そういうことだ。ところで、こうして布団の中にいると、ホントに気持ちいいんだが、実は腹が減ってきてしまった」
「もう昼前ゆえ、自然と腹も減りましょう」
「うん。腹が減りすぎて、気分が悪くなってきた」
「さっさと起きて、何ぞ食されよ」
「うん。そうする」と、私はモソモソと布団から抜け出すと、ドテラを着込んで、台所に向かった。
冷蔵庫のドアを開けて驚いた。ケチャップしか入っていなかった。
野菜室も冷凍庫も空だった。
「おい、シン太郎左衛門。昨夜のうちに泥棒が来たようだ。食い物泥棒だ」
「それは全く気が付きませなんだ」
「ケチャップ嫌いの泥棒だ」
「なんと」
「食品棚にあったはずのカップ麺も全てなくなっている。お菓子も全部取られた。きっと米も・・・」
米びつの蓋を開けてみると、米もなくなっていて、代わりに何やら緑色のモノが入っていた。
「米も一粒残らずなくなっている。代わりに・・・米びつに、こんなものが入っていた」
と私は米びつに残されていたモノを手に取って、シン太郎左衛門に向かって突き出した。
「それは、カッパでござるな」
「そうだ。カッパのぬいぐるみだ」
私の掌の上で、小さなカッパのぬいぐるみが、グッタリと項垂れて、両手両足をブラ〜ンと垂らしていた。
「そのカッパ、大変お疲れでござる」
「ダレきっとる。グニャグニャだ」
「つまり昨晩、ケチャップが嫌いな泥棒さんが、この家に侵入し、ケチャップを除く全ての食材と調味料を奪った上に、カッパのぬいぐるみを置いて去っていったと。さらに、そのカッパのぬいぐるみがグニャグニャであると・・・そういうことでござるな」
「・・・ほぼ俺が言ったままのことを繰り返す理由が分からんが、そのとおりだ」
「つまり、今回のクチコミのテーマは、その犯人を捜す、つまり、『名探偵コナン』的な推理モノでござるな」
「違う。捜すまでもない」
「なんと!それは、また何ゆえ」
「犯人はもう分かっている。金ちゃんだ」
「金ちゃん?それはさすがになかろう」
「いや、ホシは金ちゃんだ。金ちゃんはトマトが嫌いだからな。必然的にケチャップも嫌いだ。それに、かなり以前のクチコミに書いた通り、俺は金ちゃんに、玄関のドアのスペアキーを金ちゃん邸のレモンの木の下に埋めてあると教えてあるからな」
「なるほど・・・では、今回、れもんちゃんからの提案を受けて、『劇場版シン太郎左衛門』第二弾、名探偵コナン的な推理モノとする積りはないということでござるな」
「そうだ。推理する余地がないからな。犯人は金ちゃんで決まりだし、この件については、これ以上話すことがない」
「うむ。しかし金ちゃんが犯人とは意外でござる」
「うん。まあ、それは、いいとして・・・見ろ、このカッパのぬいぐるみ。背中にジッパーが付いていて、開けると・・・ほら、お前にピッタリの空洞になっている」
「なるほど・・・入ってみてもよろしいか」
「入ってみろ」
ダイニングテーブルの上に飛び乗ったシン太郎左衛門にカッパのぬいぐるみを差し出した。その中に、シン太郎左衛門は実にピッタリと収まって、器用にジッパーを引き上げた。
「これはよい。ピッタリでござる。暖かくて、着心地がよい」
「確かにピッタリだが・・・」
ぬいぐるみの目の部分が覗き窓になっていて、ちょうどそこにシン太郎左衛門の目が当たっていた。
「おい!キョロキョロと目を動かすな!実に気色悪い・・・まるでホラー映画だ」
シン太郎左衛門は、カッパの格好でクネクネとダンスを踊ってみせた。
「止めろ!ますます怖い・・・」
小さなカッパが、テーブルの上から嬉しそうに私を見ていた。
「父上、拙者、この着ぐるみが気に入った。ささ、父上も着替えてくだされ。駅前スーパーまで買い物に参りましょう」
「お前、まさか、その格好で人前に出るつもりか?」
「うむ。何か不都合でも?」
「・・・少しだけ不都合だから、ちょっと手を加えさせてくれ」
外に出ると思ったほど寒くなかった。
「日が照ってて、散歩には悪くない天気だな」
私は右の肩にはエコバッグを掛け、カッパのぬいぐるみに安全ピンで紐を付け、ネックポーチのように首からぶら下げていた。
「うむ。では、参りましょう」
「人前に出たら、断りなしにエコバッグに仕舞わせてもらうぞ。出来るかぎりのことを試してみたが、結局何をしてもカッパはカッパだ。いい年をして、カッパのぬいぐるみを首から掛けて、人前に出るのは恥ずかしい」
「心得てござる」
昼飯時だったせいか、通りには全く人影がなかった。胸の前で左右に揺れるシン太郎左衛門と四方山話をしながらテクテクと坂道を下り、国道を渡る横断歩道で信号待ちをしていると、いきなり背後から、「あっ、オジさん!」と声がした。
振り向くと、目の前で明太子ちゃんが自転車を停めた。二人乗りで、後ろには妹ちゃんを乗せていた。
「ああ、誰かと思えば、明太子シスターズか」
「明太子シスターズ!?オジさんのネーミングセンス、最低!」と、明太子ちゃんは大喜びだった。妹の方は、姉の背後からチラチラとこちらの様子を窺っていた。
「今日は非番なのか?これから、君たちのスーパーに買い物に行こうと思ってたのに」
「今日、わたしたち、お休みだよ。これから、大型スーパーの偵察に行くの」
「なるほどね。君たちがいないなら、スーパーには行かず、中華屋で麻婆丼を食べて、帰ろうかなぁ」
「そんなこと言わずに買い物に行ってあげてよ。今日はオデンの日だよ」
「じゃあ、あの青白くて、幽霊みたいなオジさんが売り場に立ってるんだな」
「そうなの」
そのとき、妹の方が、明太子ちゃんの肩を突いてから、私の胸元あたりを指差した。
「あっ、カッパだ!」と、明太子ちゃんは笑い出した。
しまった、と慌てて、カッパのシン太郎左衛門を首から外して、エコバッグに放り込もうとしたが、紐が首に絡まって、取れなかった。
「オジさんのファッション、斬新〜!カッパ、可愛い〜!触らせて〜!」と明太子ちゃんが手を伸ばしてきた。
「ダメだ!女子高生が、こんなものに触っちゃダメだ!」
私は真顔で拒絶したが、それを明太子ちゃんは冗談だと受け取って、ますますカッパに触りたがった。
「カッパに触らせて〜!」
「止めてくれ〜!犯罪になってしまう!」
「オジさんのカッパに触る〜!カッパ〜!」
信号が青になったので、私は駆け出した。
「あ〜、オジさん、待て〜!」
全速力で走って、明太子シスターズをまいてしまうと、駅の近くの小さな公園でベンチに座って一息吐いた。
「明太子シスターズにカッパの中身がバレたら、大変なことになっていた」
「うむ。二度と駅前スーパーに出入りが出来なくなるところでござった。いわゆる出禁でござる」
「お前のせいだ」
カッパのシン太郎左衛門を首から外して、エコバッグに投げ入れた。
その後、私は駅前の中華料理屋で半チャンラーメンを食べ、スーパーで夕食のオデンを買って家に帰ったのであるが、坂道を登りながら十年来我が家の米びつは空っぽで、カップ麺もお菓子も先週末食べ切った上に、一昨日封を切っていないケチャップ以外の調味料を冷蔵庫から一掃したことを思い出した。
「犯人は俺自身だったんだ」
そして、今日は日曜日。れもんちゃんデー。JR新快速を飛ばして、れもんちゃんに会いに行った。
もう言わなくても分かるだろうが、れもんちゃんは宇宙一に宇宙一であり、親子共々、ステキな時間に酔い痴れた。
帰り際、れもんちゃんにお見送りをしてもらいながら、
「最近、危険なぐらいボケまくってるんだ。ホントに記憶が怪しくなってきたよ」
「そうなんだね」
「うん、そうなんだよ。クラブロイヤルに来るのは大丈夫だと思うんだけど、帰りが怪しいよ。そのうち帰り道を忘れて、家に帰れなくなるんじゃないかなぁ」
「でも、大丈夫だよ〜」
「どうして大丈夫って分かるの?」
「だって・・・」
「だって?」
「だって・・・れもんのお客さんだから?」
疑問形で返されたので、一瞬戸惑いを感じはしたが、確かに、れもんちゃんのお客さんになってから、いいことがホントに沢山あった。れもんちゃんのリピーター特典の一つとして、「決定的にはボケない」というのがあっても別に変ではないと思った。
「そうだね。れもんちゃんのお客さんだから大丈夫だね」
そう言うと、れもんちゃんは、それはそれは可愛い笑顔で頷いたのであった。
シン太郎左衛門とカッパのぬいぐるみ 様ありがとうございました。
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投稿者:シン太郎左衛門とカッパのぬいぐるみ 様
ご来店日 2025年02月02日
昨日は土曜日。れもんちゃんイブ。
昼前に目を覚ましたが、仕事は休みだったので、丸一日、家でゴロゴロ過ごすと決意を固め、新聞の折込広告の裏に筆ペンで「初志貫徹」と書き、セロテープで壁に貼り付けた。
「シン太郎左衛門、今日、俺は一歩たりとも家から出ないことに決めた」
「うむ。それはよいことを決めなさった。拙者もご一緒いたそう」
「よし。そうと決まれば、まずは二度寝だ」と、今出てきたばかりの布団に逆戻りした。
「実にヌクくて、気持ちいいなぁ」
「冬は、布団と風呂と、そしてもちろん、れもんちゃんが気持ちよい」
「そうだ。春は布団と散歩と、そして、何より、れもんちゃんが気持ちいい」
「夏に気持ちよいのは、エアコンとブランケットと、そして、何をおいても、れもんちゃんでござる」
「秋は、全てにおいて気持ちのよい季節だが、取り分け、れもんちゃんが気持ちいいよな」
「うむ。春夏秋冬、季節を問わず気持ちいいのが、れもんちゃんでござる」
「そういうことだ。ところで、こうして布団の中にいると、ホントに気持ちいいんだが、実は腹が減ってきてしまった」
「もう昼前ゆえ、自然と腹も減りましょう」
「うん。腹が減りすぎて、気分が悪くなってきた」
「さっさと起きて、何ぞ食されよ」
「うん。そうする」と、私はモソモソと布団から抜け出すと、ドテラを着込んで、台所に向かった。
冷蔵庫のドアを開けて驚いた。ケチャップしか入っていなかった。
野菜室も冷凍庫も空だった。
「おい、シン太郎左衛門。昨夜のうちに泥棒が来たようだ。食い物泥棒だ」
「それは全く気が付きませなんだ」
「ケチャップ嫌いの泥棒だ」
「なんと」
「食品棚にあったはずのカップ麺も全てなくなっている。お菓子も全部取られた。きっと米も・・・」
米びつの蓋を開けてみると、米もなくなっていて、代わりに何やら緑色のモノが入っていた。
「米も一粒残らずなくなっている。代わりに・・・米びつに、こんなものが入っていた」
と私は米びつに残されていたモノを手に取って、シン太郎左衛門に向かって突き出した。
「それは、カッパでござるな」
「そうだ。カッパのぬいぐるみだ」
私の掌の上で、小さなカッパのぬいぐるみが、グッタリと項垂れて、両手両足をブラ〜ンと垂らしていた。
「そのカッパ、大変お疲れでござる」
「ダレきっとる。グニャグニャだ」
「つまり昨晩、ケチャップが嫌いな泥棒さんが、この家に侵入し、ケチャップを除く全ての食材と調味料を奪った上に、カッパのぬいぐるみを置いて去っていったと。さらに、そのカッパのぬいぐるみがグニャグニャであると・・・そういうことでござるな」
「・・・ほぼ俺が言ったままのことを繰り返す理由が分からんが、そのとおりだ」
「つまり、今回のクチコミのテーマは、その犯人を捜す、つまり、『名探偵コナン』的な推理モノでござるな」
「違う。捜すまでもない」
「なんと!それは、また何ゆえ」
「犯人はもう分かっている。金ちゃんだ」
「金ちゃん?それはさすがになかろう」
「いや、ホシは金ちゃんだ。金ちゃんはトマトが嫌いだからな。必然的にケチャップも嫌いだ。それに、かなり以前のクチコミに書いた通り、俺は金ちゃんに、玄関のドアのスペアキーを金ちゃん邸のレモンの木の下に埋めてあると教えてあるからな」
「なるほど・・・では、今回、れもんちゃんからの提案を受けて、『劇場版シン太郎左衛門』第二弾、名探偵コナン的な推理モノとする積りはないということでござるな」
「そうだ。推理する余地がないからな。犯人は金ちゃんで決まりだし、この件については、これ以上話すことがない」
「うむ。しかし金ちゃんが犯人とは意外でござる」
「うん。まあ、それは、いいとして・・・見ろ、このカッパのぬいぐるみ。背中にジッパーが付いていて、開けると・・・ほら、お前にピッタリの空洞になっている」
「なるほど・・・入ってみてもよろしいか」
「入ってみろ」
ダイニングテーブルの上に飛び乗ったシン太郎左衛門にカッパのぬいぐるみを差し出した。その中に、シン太郎左衛門は実にピッタリと収まって、器用にジッパーを引き上げた。
「これはよい。ピッタリでござる。暖かくて、着心地がよい」
「確かにピッタリだが・・・」
ぬいぐるみの目の部分が覗き窓になっていて、ちょうどそこにシン太郎左衛門の目が当たっていた。
「おい!キョロキョロと目を動かすな!実に気色悪い・・・まるでホラー映画だ」
シン太郎左衛門は、カッパの格好でクネクネとダンスを踊ってみせた。
「止めろ!ますます怖い・・・」
小さなカッパが、テーブルの上から嬉しそうに私を見ていた。
「父上、拙者、この着ぐるみが気に入った。ささ、父上も着替えてくだされ。駅前スーパーまで買い物に参りましょう」
「お前、まさか、その格好で人前に出るつもりか?」
「うむ。何か不都合でも?」
「・・・少しだけ不都合だから、ちょっと手を加えさせてくれ」
外に出ると思ったほど寒くなかった。
「日が照ってて、散歩には悪くない天気だな」
私は右の肩にはエコバッグを掛け、カッパのぬいぐるみに安全ピンで紐を付け、ネックポーチのように首からぶら下げていた。
「うむ。では、参りましょう」
「人前に出たら、断りなしにエコバッグに仕舞わせてもらうぞ。出来るかぎりのことを試してみたが、結局何をしてもカッパはカッパだ。いい年をして、カッパのぬいぐるみを首から掛けて、人前に出るのは恥ずかしい」
「心得てござる」
昼飯時だったせいか、通りには全く人影がなかった。胸の前で左右に揺れるシン太郎左衛門と四方山話をしながらテクテクと坂道を下り、国道を渡る横断歩道で信号待ちをしていると、いきなり背後から、「あっ、オジさん!」と声がした。
振り向くと、目の前で明太子ちゃんが自転車を停めた。二人乗りで、後ろには妹ちゃんを乗せていた。
「ああ、誰かと思えば、明太子シスターズか」
「明太子シスターズ!?オジさんのネーミングセンス、最低!」と、明太子ちゃんは大喜びだった。妹の方は、姉の背後からチラチラとこちらの様子を窺っていた。
「今日は非番なのか?これから、君たちのスーパーに買い物に行こうと思ってたのに」
「今日、わたしたち、お休みだよ。これから、大型スーパーの偵察に行くの」
「なるほどね。君たちがいないなら、スーパーには行かず、中華屋で麻婆丼を食べて、帰ろうかなぁ」
「そんなこと言わずに買い物に行ってあげてよ。今日はオデンの日だよ」
「じゃあ、あの青白くて、幽霊みたいなオジさんが売り場に立ってるんだな」
「そうなの」
そのとき、妹の方が、明太子ちゃんの肩を突いてから、私の胸元あたりを指差した。
「あっ、カッパだ!」と、明太子ちゃんは笑い出した。
しまった、と慌てて、カッパのシン太郎左衛門を首から外して、エコバッグに放り込もうとしたが、紐が首に絡まって、取れなかった。
「オジさんのファッション、斬新〜!カッパ、可愛い〜!触らせて〜!」と明太子ちゃんが手を伸ばしてきた。
「ダメだ!女子高生が、こんなものに触っちゃダメだ!」
私は真顔で拒絶したが、それを明太子ちゃんは冗談だと受け取って、ますますカッパに触りたがった。
「カッパに触らせて〜!」
「止めてくれ〜!犯罪になってしまう!」
「オジさんのカッパに触る〜!カッパ〜!」
信号が青になったので、私は駆け出した。
「あ〜、オジさん、待て〜!」
全速力で走って、明太子シスターズをまいてしまうと、駅の近くの小さな公園でベンチに座って一息吐いた。
「明太子シスターズにカッパの中身がバレたら、大変なことになっていた」
「うむ。二度と駅前スーパーに出入りが出来なくなるところでござった。いわゆる出禁でござる」
「お前のせいだ」
カッパのシン太郎左衛門を首から外して、エコバッグに投げ入れた。
その後、私は駅前の中華料理屋で半チャンラーメンを食べ、スーパーで夕食のオデンを買って家に帰ったのであるが、坂道を登りながら十年来我が家の米びつは空っぽで、カップ麺もお菓子も先週末食べ切った上に、一昨日封を切っていないケチャップ以外の調味料を冷蔵庫から一掃したことを思い出した。
「犯人は俺自身だったんだ」
そして、今日は日曜日。れもんちゃんデー。JR新快速を飛ばして、れもんちゃんに会いに行った。
もう言わなくても分かるだろうが、れもんちゃんは宇宙一に宇宙一であり、親子共々、ステキな時間に酔い痴れた。
帰り際、れもんちゃんにお見送りをしてもらいながら、
「最近、危険なぐらいボケまくってるんだ。ホントに記憶が怪しくなってきたよ」
「そうなんだね」
「うん、そうなんだよ。クラブロイヤルに来るのは大丈夫だと思うんだけど、帰りが怪しいよ。そのうち帰り道を忘れて、家に帰れなくなるんじゃないかなぁ」
「でも、大丈夫だよ〜」
「どうして大丈夫って分かるの?」
「だって・・・」
「だって?」
「だって・・・れもんのお客さんだから?」
疑問形で返されたので、一瞬戸惑いを感じはしたが、確かに、れもんちゃんのお客さんになってから、いいことがホントに沢山あった。れもんちゃんのリピーター特典の一つとして、「決定的にはボケない」というのがあっても別に変ではないと思った。
「そうだね。れもんちゃんのお客さんだから大丈夫だね」
そう言うと、れもんちゃんは、それはそれは可愛い笑顔で頷いたのであった。
シン太郎左衛門とカッパのぬいぐるみ 様ありがとうございました。