口コミ│神戸・福原 ソープランド Club Royal (クラブロイヤル)
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れもん【VIP】(23)
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投稿者:シン太郎左衛門とお花見(あるいは「父上、突然真面目になる」) 様
ご来店日 2025年04月06日
我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は武士である。
随分と暖かくなってきた。どこも桜が満開だ。先日、家の前で金ちゃんママに出会ったときにも、丘の上の公園が花盛りだと言っていた。ただ、私は桜にも花見にも関心がないし、生まれてこの方、マトモに花見をしたことがない。
先週火曜日は4月1日。朝、出社したとき、建物の入り口で旧福岡支店の連中と出くわした。
「今日からこっち?」と訊くと、
「昨日からだよ~。昨日は引っ越しだったよ〜」
「そうなんだ。で、みんな揃ってどこ行くの?」
「僕たちは旧社屋の1階でお仕事だよ〜」
私の勤め先は、昨年新しい自社ビルを建てて移転したが、すぐそばにある旧社屋、地上3階地下1階のオンボロのビルを倉庫代わりに使っていた。
「それじゃ、引っ越しは、まずガラクタの移動からだったんだね。大変だったね」
「大変だったよ〜。頑張ったよ〜」
「・・・ねえ、その『よ〜』って付けるの止めない?」
「でも、みんな、こうしてるよ〜」
「そうなんだけど・・・みんなでやると、やっぱり会社としては異様だよ〜」
飛んでもないものを流行らせてしまったと少し後悔した。
出社して席に着くまでもなく、社長から呼び出された。先週のクチコミに書かれている一件で、お詫びの高級和菓子の贈呈式かと思い、喜んで社長室に入っていくと、社長は「よく来たよ〜。僕は社長ちゃんだよ〜。君は今日から新しい部署に異動だよ〜」と、どうでもいい話を始めた。
「そんなことより和菓子ちゃんだよ〜」と言い返すと、
「和菓子はまだ買ってないよ〜。今日の夜、買いに行ってあげるよ〜」
「じゃあ、今日は、もう家に帰るよ〜。また明日だよ〜」と言って、部屋を出ようとすると、
「帰っちゃダメだよ〜。君は今日から旧福岡支店メンバーのリーダーちゃんとして頑張るんだよ~。福岡組の組長だよ〜。その肩書きで名刺も作り直してあげたよ〜」
「そんな名刺、人に渡しにくいよ〜」
「とにかく、新しいお仕事ちゃんを頑張るんだよ~」
「どんな仕事か聞いてないよ〜」
「福岡組ちゃんは『秘密のお仕事ちゃん』をするよ〜」
「意味分かんないよ〜。可愛い秘密がいっぱいなのは、れもんちゃんだよ〜。れもんちゃんは可愛いよ〜。スゴ腕だよ〜。〇〇〇(自主検閲済)だよ〜。宇宙一に宇宙一だよ〜」
「お仕事ちゃんの中身は、そのうち話すよ〜。とにかく早く旧社屋に行って、福岡組ちゃんのみんなと仲良くするんだよ〜」
みんなで昼ご飯でも食べるようにと1万円札を渡されたが、これじゃ少ないと、もう1枚巻き上げた。
旧社屋に行くと、計11人のオッサンが暇そうにしていた。
知ってる顔も二、三人はいたが、取り敢えず自己紹介をし合って、
「で、どういう仕事か聞いてる?」と尋ねたが、みんな首を振って、「知らないよ〜。『秘密だよ〜』って言われたよ〜。何をするのか分からないけど、頑張るよ〜」
「何やるか知らないのに、どう頑張んの?ヒドい話だな・・・ところで、みんな、その『よ〜』って言うの止めない?」
「イヤだよ〜。止めないよ〜」
「いやいや。よく考えたら、実物のれもんちゃんは『よ〜』なんて滅多に言わないし、ましてや、いい年したオッサンが『よ〜』なんて、おかしいよ」
「止めないよ〜。それよりお仕事ちゃんが分からないから、暇すぎるよ〜」
「・・・その『ちゃん』づけも止めない?『ちゃん』は可愛い人や可愛い動物にだけにしようよ。れもんちゃんとかワンちゃんとか、ホントに可愛い人や動物だけに・・・」
「イヤだよ〜。それより暇すぎて死にそうだよ〜」
勝手に死んどけ、と言いたくなったが、グッと堪えた。
「よし、こうしよう。天気もいいし、この近くの川の土手には桜が咲いてる。これから、みんなでお花見をして親睦を深めよう」
「『わ〜い』だよ〜。それがいいよ〜。お花見ちゃんで、親睦ちゃんだよ〜」と、福岡組の面々は大はしゃぎだった(念の為に言っておくと、福岡組に福岡県出身者は一人もいない)。
「嬉しいよ〜。僕たち、朝御飯を食べてないから、お腹ペコペコちゃんだよ〜」
「喉もカラカラちゃんだよ〜」
「2階にブルーシートちゃんがあったから持ってくるよ〜」
(コイツらメチャメチャだな・・・)と思ったが、口には出さなかった。
爽やかな春の日、河原までの道々、彼らは誰から教わったのか、『元祖れもんちゃん音頭』の一番を大声で歌っていた。私は彼らのノリに全く付いていけなくて、妙な孤独感を味わった。
土手の桜並木は満開だった。
彼らは口々に「桜ちゃんがキレイだよ〜」と感心していた。
適当な所にブルーシートと広げると、「ここに2万円あるから、コンビニで君たちの好きなモノを買ってきたらいいよ。私は朝御飯をちゃんと食べてきたから、缶コーヒーだけでいいからね。ブラックでね」
「僕は、おにぎりちゃんがほしいよ〜。お菓子ちゃんもほしいよ〜」と誰かが言うので、
「好きなモノを買ったらいいよ」と返すと、
「僕はお弁当ちゃんがほしいよ〜。チーカマちゃんもほしいよ〜」と別の誰かが言うので、
「いいよ」と答える。
また、別の誰かが、「僕は唐揚げちゃんがいいよ〜」
「好きなモノ、買えって言ってんだろ!」
「じゃあ行ってくるよ〜」
11人のオッサンたちは嬉しそうに出掛けていった。
彼らが行ってしまうと、私は一人ブルーシートの上に横になって、桜を見上げた。これが何桜なのか知らなかったし、桜に関してなんの蘊蓄も持ち合わせていなかった。確かにキレイなモノだとは思ったが、
「それでも、れもんちゃんの方がずっとずっとキレイだよ〜」と独り言を言っていた。
しばらくウトウトと居眠りをしてしまっていたが、やがて福岡組のみんなが大声で話しながら帰ってくる物音に目を覚ました。声の方向に視線をやると、全員、両手に500mlの缶ビールを持って、グビグビ飲みながら歩いてくる。
「ビールちゃん、美味しいよ〜」とか言っている。中にはすでに足元が怪しいヤツもいる。
思わず「おい、お前ら、こんな朝から飲むヤツがあるか!」
「ここに合計11人いるよ〜。組長ちゃんも飲んだら12人に増えるよ〜」
何故か『ビールのようなアルコールの入ってるものは買っちゃダメ』と言っておかなかった自分の方が悪い気がしてきた。それに全員すでに取り返しがつかないぐらい酔っ払っていた。
「まあいいや。それでビール以外は何を買ったの?」
「ビールちゃんの他にはビールちゃんだよ〜」
「おにぎりとお菓子は?」
「買ってないよ〜」
「俺のコーヒーは?」
「買ってないよ〜。自分で買ってくればいいよ〜」
こんなマヌケなことを言いながらニコニコしている彼らを見ていると、もう何でもよくなってきてしまって、
「・・・僕もビールちゃん、飲むよ〜。一本ちょうだいだよ〜」
「沢山あるよ〜。はい、これ、あげるよ〜。美味しいよ〜」
よく冷えた缶ビールを受け取り、プルタブをグイッと引き上げ、グビグビっと一呑みすると、「苦いよ〜。美味しくないよ〜」
「そんなことないよ〜。美味しいよ〜」とみんなはグビグビグビっと喉にビールを流し込み、「美味しいよ〜」と声を揃え、その勢いのまま、
はぁ〜、広い世界にただ一輪
可憐に咲いたレモン花
甘い香りに誘われて
出来た行列、五万キロ
と合唱を始めた。
・・・
優しい、可愛い、美しい
宇宙で一番、れもんちゃん
「その歌は『元祖れもんちゃん音頭』だよ〜」
「知ってるよ〜。名曲だよ〜。小さなカッパに教わったよ〜」
「作詞・作曲シン太郎左衛門だよ〜」
「そんなヤツ知らないよ〜」
そんなやり取りをしながら、普段アルコールを口にしない私は急に気分が悪くなっていった。
「『おえ〜』だよ〜。気分が悪くなってきたよ〜」
「ブルーシートに横になってたらいいよ〜」
「そうするよ~。『おえ〜』だよ〜」
ブルーシートに横になった途端、私は気を失ってしまった。
「組長ちゃん・・・組長ちゃん・・・」
揺り起こされてしばらくは、事態が呑み込めずボーッとして黙っていた。
何で俺は川の土手にいるのか、このオッサンたちが誰なのか、なかなか記憶は甦らなかった。
「もう夕方だよ〜。おウチに帰る時間だよ〜」と、福岡組の一人に抱き起こしてもらった。爽やかな春風に満開の桜から花びらがハラハラと散っている。
まだ微かに頭が痛かったが、私は福岡組のみんなと『元祖れもんちゃん音頭』を元気に歌いながら、旧社屋に帰っていったのであった。
そして今日は日曜日。れもんちゃんデー。
JR新快速で、れもんちゃんに会いに行った。
福岡組のメンバーたちでさえ知っていて、今更言うまでもないことではあるが、れもんちゃんは宇宙一に宇宙一だった。それに、れもんちゃんは宇宙一の〇〇〇(自主検閲済)だった。
帰り際、れもんちゃんにお見送りしてもらいながら、「この前、お花見に行ったよ」
「お花見、楽しいよね」
「ところが全然楽しくなかったんだ。ほとんど気を失ってたし」
「大変だったね」
「そうなんだ。4月になってから無意味に大変なんだ。仕事もせずに9時5時で親睦だからね。ずっと『元祖れもんちゃん音頭』を歌っているし」
「だから声が枯れてるんだね」
「そういうこと」
「身体に気を付けてね」と、れもんちゃんは優しく微笑んだ。
れもんちゃんは『よ〜』なんて本当に稀にしか言わないし、本当にステキで真面目な頑張り屋さんだ。
これまで散々ふざけ散らした私だが、根は大変真面目な人間だったことを今更ながら思い出した。
そして、今回のクチコミにシン太郎左衛門をタダの一度も登場させていなかったことに今になって気付いたのであった。
シン太郎左衛門とお花見(あるいは「父上、突然真面目になる」) 様ありがとうございました。
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投稿者:シン太郎左衛門とお花見(あるいは「父上、突然真面目になる」) 様
ご来店日 2025年04月06日
随分と暖かくなってきた。どこも桜が満開だ。先日、家の前で金ちゃんママに出会ったときにも、丘の上の公園が花盛りだと言っていた。ただ、私は桜にも花見にも関心がないし、生まれてこの方、マトモに花見をしたことがない。
先週火曜日は4月1日。朝、出社したとき、建物の入り口で旧福岡支店の連中と出くわした。
「今日からこっち?」と訊くと、
「昨日からだよ~。昨日は引っ越しだったよ〜」
「そうなんだ。で、みんな揃ってどこ行くの?」
「僕たちは旧社屋の1階でお仕事だよ〜」
私の勤め先は、昨年新しい自社ビルを建てて移転したが、すぐそばにある旧社屋、地上3階地下1階のオンボロのビルを倉庫代わりに使っていた。
「それじゃ、引っ越しは、まずガラクタの移動からだったんだね。大変だったね」
「大変だったよ〜。頑張ったよ〜」
「・・・ねえ、その『よ〜』って付けるの止めない?」
「でも、みんな、こうしてるよ〜」
「そうなんだけど・・・みんなでやると、やっぱり会社としては異様だよ〜」
飛んでもないものを流行らせてしまったと少し後悔した。
出社して席に着くまでもなく、社長から呼び出された。先週のクチコミに書かれている一件で、お詫びの高級和菓子の贈呈式かと思い、喜んで社長室に入っていくと、社長は「よく来たよ〜。僕は社長ちゃんだよ〜。君は今日から新しい部署に異動だよ〜」と、どうでもいい話を始めた。
「そんなことより和菓子ちゃんだよ〜」と言い返すと、
「和菓子はまだ買ってないよ〜。今日の夜、買いに行ってあげるよ〜」
「じゃあ、今日は、もう家に帰るよ〜。また明日だよ〜」と言って、部屋を出ようとすると、
「帰っちゃダメだよ〜。君は今日から旧福岡支店メンバーのリーダーちゃんとして頑張るんだよ~。福岡組の組長だよ〜。その肩書きで名刺も作り直してあげたよ〜」
「そんな名刺、人に渡しにくいよ〜」
「とにかく、新しいお仕事ちゃんを頑張るんだよ~」
「どんな仕事か聞いてないよ〜」
「福岡組ちゃんは『秘密のお仕事ちゃん』をするよ〜」
「意味分かんないよ〜。可愛い秘密がいっぱいなのは、れもんちゃんだよ〜。れもんちゃんは可愛いよ〜。スゴ腕だよ〜。〇〇〇(自主検閲済)だよ〜。宇宙一に宇宙一だよ〜」
「お仕事ちゃんの中身は、そのうち話すよ〜。とにかく早く旧社屋に行って、福岡組ちゃんのみんなと仲良くするんだよ〜」
みんなで昼ご飯でも食べるようにと1万円札を渡されたが、これじゃ少ないと、もう1枚巻き上げた。
旧社屋に行くと、計11人のオッサンが暇そうにしていた。
知ってる顔も二、三人はいたが、取り敢えず自己紹介をし合って、
「で、どういう仕事か聞いてる?」と尋ねたが、みんな首を振って、「知らないよ〜。『秘密だよ〜』って言われたよ〜。何をするのか分からないけど、頑張るよ〜」
「何やるか知らないのに、どう頑張んの?ヒドい話だな・・・ところで、みんな、その『よ〜』って言うの止めない?」
「イヤだよ〜。止めないよ〜」
「いやいや。よく考えたら、実物のれもんちゃんは『よ〜』なんて滅多に言わないし、ましてや、いい年したオッサンが『よ〜』なんて、おかしいよ」
「止めないよ〜。それよりお仕事ちゃんが分からないから、暇すぎるよ〜」
「・・・その『ちゃん』づけも止めない?『ちゃん』は可愛い人や可愛い動物にだけにしようよ。れもんちゃんとかワンちゃんとか、ホントに可愛い人や動物だけに・・・」
「イヤだよ〜。それより暇すぎて死にそうだよ〜」
勝手に死んどけ、と言いたくなったが、グッと堪えた。
「よし、こうしよう。天気もいいし、この近くの川の土手には桜が咲いてる。これから、みんなでお花見をして親睦を深めよう」
「『わ〜い』だよ〜。それがいいよ〜。お花見ちゃんで、親睦ちゃんだよ〜」と、福岡組の面々は大はしゃぎだった(念の為に言っておくと、福岡組に福岡県出身者は一人もいない)。
「嬉しいよ〜。僕たち、朝御飯を食べてないから、お腹ペコペコちゃんだよ〜」
「喉もカラカラちゃんだよ〜」
「2階にブルーシートちゃんがあったから持ってくるよ〜」
(コイツらメチャメチャだな・・・)と思ったが、口には出さなかった。
爽やかな春の日、河原までの道々、彼らは誰から教わったのか、『元祖れもんちゃん音頭』の一番を大声で歌っていた。私は彼らのノリに全く付いていけなくて、妙な孤独感を味わった。
土手の桜並木は満開だった。
彼らは口々に「桜ちゃんがキレイだよ〜」と感心していた。
適当な所にブルーシートと広げると、「ここに2万円あるから、コンビニで君たちの好きなモノを買ってきたらいいよ。私は朝御飯をちゃんと食べてきたから、缶コーヒーだけでいいからね。ブラックでね」
「僕は、おにぎりちゃんがほしいよ〜。お菓子ちゃんもほしいよ〜」と誰かが言うので、
「好きなモノを買ったらいいよ」と返すと、
「僕はお弁当ちゃんがほしいよ〜。チーカマちゃんもほしいよ〜」と別の誰かが言うので、
「いいよ」と答える。
また、別の誰かが、「僕は唐揚げちゃんがいいよ〜」
「好きなモノ、買えって言ってんだろ!」
「じゃあ行ってくるよ〜」
11人のオッサンたちは嬉しそうに出掛けていった。
彼らが行ってしまうと、私は一人ブルーシートの上に横になって、桜を見上げた。これが何桜なのか知らなかったし、桜に関してなんの蘊蓄も持ち合わせていなかった。確かにキレイなモノだとは思ったが、
「それでも、れもんちゃんの方がずっとずっとキレイだよ〜」と独り言を言っていた。
しばらくウトウトと居眠りをしてしまっていたが、やがて福岡組のみんなが大声で話しながら帰ってくる物音に目を覚ました。声の方向に視線をやると、全員、両手に500mlの缶ビールを持って、グビグビ飲みながら歩いてくる。
「ビールちゃん、美味しいよ〜」とか言っている。中にはすでに足元が怪しいヤツもいる。
思わず「おい、お前ら、こんな朝から飲むヤツがあるか!」
「ここに合計11人いるよ〜。組長ちゃんも飲んだら12人に増えるよ〜」
何故か『ビールのようなアルコールの入ってるものは買っちゃダメ』と言っておかなかった自分の方が悪い気がしてきた。それに全員すでに取り返しがつかないぐらい酔っ払っていた。
「まあいいや。それでビール以外は何を買ったの?」
「ビールちゃんの他にはビールちゃんだよ〜」
「おにぎりとお菓子は?」
「買ってないよ〜」
「俺のコーヒーは?」
「買ってないよ〜。自分で買ってくればいいよ〜」
こんなマヌケなことを言いながらニコニコしている彼らを見ていると、もう何でもよくなってきてしまって、
「・・・僕もビールちゃん、飲むよ〜。一本ちょうだいだよ〜」
「沢山あるよ〜。はい、これ、あげるよ〜。美味しいよ〜」
よく冷えた缶ビールを受け取り、プルタブをグイッと引き上げ、グビグビっと一呑みすると、「苦いよ〜。美味しくないよ〜」
「そんなことないよ〜。美味しいよ〜」とみんなはグビグビグビっと喉にビールを流し込み、「美味しいよ〜」と声を揃え、その勢いのまま、
はぁ〜、広い世界にただ一輪
可憐に咲いたレモン花
甘い香りに誘われて
出来た行列、五万キロ
と合唱を始めた。
・・・
優しい、可愛い、美しい
宇宙で一番、れもんちゃん
「その歌は『元祖れもんちゃん音頭』だよ〜」
「知ってるよ〜。名曲だよ〜。小さなカッパに教わったよ〜」
「作詞・作曲シン太郎左衛門だよ〜」
「そんなヤツ知らないよ〜」
そんなやり取りをしながら、普段アルコールを口にしない私は急に気分が悪くなっていった。
「『おえ〜』だよ〜。気分が悪くなってきたよ〜」
「ブルーシートに横になってたらいいよ〜」
「そうするよ~。『おえ〜』だよ〜」
ブルーシートに横になった途端、私は気を失ってしまった。
「組長ちゃん・・・組長ちゃん・・・」
揺り起こされてしばらくは、事態が呑み込めずボーッとして黙っていた。
何で俺は川の土手にいるのか、このオッサンたちが誰なのか、なかなか記憶は甦らなかった。
「もう夕方だよ〜。おウチに帰る時間だよ〜」と、福岡組の一人に抱き起こしてもらった。爽やかな春風に満開の桜から花びらがハラハラと散っている。
まだ微かに頭が痛かったが、私は福岡組のみんなと『元祖れもんちゃん音頭』を元気に歌いながら、旧社屋に帰っていったのであった。
そして今日は日曜日。れもんちゃんデー。
JR新快速で、れもんちゃんに会いに行った。
福岡組のメンバーたちでさえ知っていて、今更言うまでもないことではあるが、れもんちゃんは宇宙一に宇宙一だった。それに、れもんちゃんは宇宙一の〇〇〇(自主検閲済)だった。
帰り際、れもんちゃんにお見送りしてもらいながら、「この前、お花見に行ったよ」
「お花見、楽しいよね」
「ところが全然楽しくなかったんだ。ほとんど気を失ってたし」
「大変だったね」
「そうなんだ。4月になってから無意味に大変なんだ。仕事もせずに9時5時で親睦だからね。ずっと『元祖れもんちゃん音頭』を歌っているし」
「だから声が枯れてるんだね」
「そういうこと」
「身体に気を付けてね」と、れもんちゃんは優しく微笑んだ。
れもんちゃんは『よ〜』なんて本当に稀にしか言わないし、本当にステキで真面目な頑張り屋さんだ。
これまで散々ふざけ散らした私だが、根は大変真面目な人間だったことを今更ながら思い出した。
そして、今回のクチコミにシン太郎左衛門をタダの一度も登場させていなかったことに今になって気付いたのであった。
シン太郎左衛門とお花見(あるいは「父上、突然真面目になる」) 様ありがとうございました。