口コミ│神戸・福原 ソープランド Club Royal (クラブロイヤル)
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れもん【VIP】(23)
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投稿者:シン太郎左衛門と金ちゃん(あるいは「夢のマトリョーシカ」) 様
ご来店日 2025年05月04日
我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は武士である。今回、前回に続き、れもんちゃんにもらったお題で書く。今回のテーマは、「金ちゃんやラッピーに会う」だから、特に用事もないし、会いたいとも思わない金ちゃんに会いに行くことにした。
その日は、たぶん土曜日。れもんちゃんイブ。
昼前まで寝ていた。そして、起きるやいなや、パジャマのまま外に飛び出した。
シン太郎左衛門は、「父上、いきなりパジャマで外に飛び出すとは、火事でも起きましたか」
「いや。ここしばらくガスコンロを使ってないし、火事が起こるとは思えんが、家の隅々までチェックして出てきたわけじゃないから、余り自信はない」
隣の家の呼び鈴を鳴らすと、金ちゃんママが出てきた。
「どうされたんですか?」と私の格好を見て、ビックリした様子だった。
「もしかしたら、私の家が火事かもしれない」
「大変!119番はされましたか?」
「それには及ばん。金ち・・・いや、ご子息はご在宅かな?」
「今日は出掛けてますが・・・」
「『出掛けた』だと!クソ〜。ヤツに出掛けられたら困るから、服も着替えず飛び出してきたのに・・・」
金ちゃんママは「はぁ」とか言っている。
「どうしよう、困ったなぁ。お母さん、私は、れもんちゃんから『金ちゃんとラッピーに会う話』を書くように言われてるんですぞ!」と、焦りの余り語気を強めた。
金ちゃんママは、全く事態が理解できない様子で、またもや「はぁ」とか言っている。
「しょうがない。せめてラッピーに会っておこう。お母さん、ラッピーをお願いします」
「ラッピーは幸則が連れていきました」
「えっ、なんてことだ・・・『ユキノリが連れていった』って?ユキノリ・・・ユキノリって誰だっけ?」
金ちゃんママは当惑した顔で、
「幸則はウチの息子です」
「あっ、そうだ、そうだ」と言った後、思惑が外れた苛立ちもあって、私は思わず、
「ご子息に相応しい名前は、ユキノリではなく、金ちゃんですぞ。今からでも遅くないから、改名させなさい」と口走っていた。
その一言に金ちゃんママの表情が一変した。唖然とした表情を浮かべ、両目に溢れた涙が一気に頬を伝った。
余計なことを言って、泣くほど怒らせてしまったかと慌てたが、金ちゃんママの口から出た言葉は私が想像していたものではなかった。
「私の亡くなった祖母が同じことを言っていました。『この子は金太郎の金ちゃんだよ。ユキノリなんて似合わないよ』って。祖母は、それはそれは曾孫の幸則を可愛がって、私が嫌がっても、ずっと『金ちゃん』と呼んで・・・実は今日、その祖母の命日なんです」
金ちゃんママは、両目を手で覆い、泣き崩れた。
私は人の涙を見るのが大の苦手で、どうしていいか分からず、オロオロしてしまい、「そうだ。家が燃えてるかもしれないので帰ります」と、慌ててその場を立ち去った。
家に戻っても、動揺が止まらなかった。
「シン太郎左衛門、金ちゃんママを泣かせてしまった。実に気分が悪い」
「なんと!そんなことをしては、もうここには住めませぬぞ!」
「・・・お前の言う『そんなこと』がどんなことを想像しての言葉かは知らないが、俺は別に大それたことをしでかしたわけではない」
事情を説明してやると、シン太郎左衛門は、
「なるほど。金ちゃんママの御祖母殿の霊が父上の口を借りて話されたと、そういうことでござるな」
「そんなことがあるのかね」
「うむ。よくあることでござる。拙者も父上の口を借りて、れもんちゃんとオチン語で話を致した。父上の口は、借りやすい口でござる」
「そんな口があるか!」
そんな馬鹿なことを話していると、インターホンが鳴った。モニターに映る金ちゃんママの姿を、『貞子』を見るような怯えた目で見詰めながら、私は居留守を使おうか迷っていたが、結局、玄関に向かった。
またもやパジャマのままで家の外に出て、門まで歩いていくと、金ちゃんママが、
「先程は取り乱して申し訳ありませんでした。これ、祖母の仏前にお供えしていたオハギです。どうぞ召し上がってください」と、ズッシリ重いプラパックを渡してくれた。
「どうもありがとうございます」
オハギをもらった私は手のひらを返したようにご機嫌になっていた。和菓子好きの私は、オハギも大好物だった。
思わず『オハギちゃん、美味しいよ〜』と言いそうになったが、かろうじて理性が働いた。
「ところで、金ちゃんは今日何時に帰る予定ですか?」
「それが・・・実は今日はデートに行っていまして・・・」
「デート?ラッピーと?」
「いいえ。勤め先の会社の方のご紹介で、最近、彼女が出来まして・・・」
「いやいやいや、いくらなんでも冗談が過ぎる」
「それが冗談ではなく、先日、彼女さんをウチに連れてきて、『結婚を前提に付き合っている』と言っておりました」
「ウソだろ。そんなセリフ、金ちゃんが言うはずがない。明らかに幸則だ。アイツ、俺に何の断りもなく、幸則になりやがったな・・・ところで相手の女性は?」
「はい。幸則にはもったいないほど可愛い方で」
「えっ!そんなに可愛いのか?名前は?まさか『れもんちゃん』じゃないだろうな?」
「いいえ、違います」
「ふ〜ん。じゃあ、いいや。『おめでとう』と伝えておいてくだされ、とシン太郎左衛門が言っている」
私は、オハギの詰まったプラパックを手に意気揚々と、スキップをしながら家に戻っていった。
台所で緑茶を淹れるためにお湯を沸かしながら、
「いやぁ、世の中の変化に付いていけないよ。シン太郎左衛門、聞いたか?金ちゃんが結婚するってよ」
「うむ。聞いておった。金ちゃんは『ヤルときはヤル男』でござったな」
「それ、どういう意味?」
「そのまんまでござる。金ちゃんは『ヤルときはヤル男』でござる」
「いや〜、二次元の女の子しか愛せないアニメ好きだと偽り、相手を油断させておいて、ヤルときはヤルんだから、あくどいヤツだよな」
お茶を入れた湯飲みを片手に、オハギの待つダイニングテーブルに着き、プラパックを開けた。
「『わ〜い』だよ〜。オハギちゃんだよ〜。嬉しいよ〜」と言った直後に、変な匂いを嗅ぎ取った。
「なんだ、このオハギ。お線香の匂いがするぞ」
「御仏壇に供えてあったというからやむを得ないことでござる」
「いや、そんなレベルじゃない。まるでお線香でいぶしたぐらいスゴイお線香の匂いだ。金ちゃんの家では、どれだけ大量の線香を焚いてるんだ。火事になるとしたら、ウチじゃなくて、隣の家だ」
箸で口元に持っていくと、むせるほどモノ凄いお線香の匂いに思わず顔を背けた。
「どういう食べ物なんだ。こんなもん、食えねえよ」
そう呻いた自分の声で目を覚ました。
「・・・なんだ、夢だったのか・・・クソ〜、オハギを食べそこねた」
涙が出そうだった。
スマホを見たら、7時前だった。オハギを食べ損ねたショックから再び眠れる気がしなかったので、新聞を取りに表に出ると、ラッピーを連れた金ちゃんに出くわした。
「ああ、オジさん、お久しぶりです」
ラッピーも金ちゃんも理由は分からないが異様に楽しそうに見えた。
郵便受けから新聞を取り出すと、
「お前が結婚する夢を見た」
「ホントですか?相手は誰ですか?」
「俺は知らん。お母さんに訊いてくれ。俺はオハギを食べそこねて、不機嫌なんだ」
「相変わらず意味不明だなぁ」
「ところで、お前の母方の曾祖母さんは、お前を『金ちゃん』と呼んでなかったか?」
「それはないですね。僕が生まれる前に亡くなってたから。でも、僕の父方の曾祖父さんが僕を『金ちゃん』と呼んでましたよ」
「ふ〜ん」
ふと、金ちゃんの着ている黒いTシャツの胸元に目が行った。そこには、白い文字で、I'm a liar. と書かれていた。
「・・・それは嘘だな」
「嘘じゃないですよ」
金ちゃんが連れている犬は、いつの間にかマルチーズに変わっていた。
「じゃあ夢だ」
「そうなんです・・・」金ちゃんは巨大なプードルに変わっていた。「これも夢なんです」
私は相変わらず布団の中にいた。
私は夢の中で夢を見て、その夢から覚めて、また覚めたのだった。今がまだ夢の中なのか、そうでないのか分からない。変にジタバタしても、実はまだ夢の中で、またしても夢から覚めるだけかもしれない。そう思って、布団の中でジッとしていた。そのうち、また眠りに落ちていた。
そして今日は日曜日。れもんちゃんデー。
あるいは、まだ夢の中を彷徨っているのかもしれない。
これも夢の続きかもしれないと、訝りながら、JR新快速、正式名称『スーパーれもんちゃん号(ゴールデンウィーク・バージョン)』に乗って、れもんちゃんに会いに行った。
れもんちゃんは、どんな形容詞でも表現できないぐらい宇宙一に宇宙一で、『やっぱり俺はまだ夢の中なんだろうか』と感じるほどであった。
帰り際、れもんちゃんにお見送りをしてもらいながら、
「福岡組は、相変わらず懇親ばかりしてるんだよ。一ヶ月近く、毎日歌って騒いでるから、とっても疲れてて、どれだけ寝ても寝たりないんだ」
「懇親疲れなんだね。身体に気を付けてね」
「ありがとう。ホント、懇親のしすぎで、福岡組の連中が嫌いになりそうだよ。それと今回でまたクチコミのネタが切れちゃったから、新しいアイデアくれない?」
「そうなんだね」と、れもんちゃんは可愛く首を傾げ、「・・・そうだ。『通勤時間が長くなったから電車でウトウトして、れもん星にワープしてしまう』とかどうかなぁ?」
「・・・ステキなアイデアをありがとう。それで考えてみるよ」
れもんちゃんは、それはそれは可愛く微笑んだ。
いつもの愛想のよいスタッフさんに送られて、お店の外に出た私は、「『通勤時間が長くなった』って言われてもなぁ・・・」と呟いた。
確かに仕事場は新社屋から旧社屋に変わったが、言っても目と鼻の先で、最寄り駅も同じだから、通勤時間は全く変わっていないのだが、れもんちゃんの言うことだから、逆らえない。
『こうなったら、通勤時間が長くなるように、JR西日本にダイヤを改正してもらうしかないなぁ』、そんなことを考えながら、クラブロイヤルを後にするのであった。
シン太郎左衛門と金ちゃん(あるいは「夢のマトリョーシカ」) 様ありがとうございました。
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投稿者:シン太郎左衛門と金ちゃん(あるいは「夢のマトリョーシカ」) 様
ご来店日 2025年05月04日
その日は、たぶん土曜日。れもんちゃんイブ。
昼前まで寝ていた。そして、起きるやいなや、パジャマのまま外に飛び出した。
シン太郎左衛門は、「父上、いきなりパジャマで外に飛び出すとは、火事でも起きましたか」
「いや。ここしばらくガスコンロを使ってないし、火事が起こるとは思えんが、家の隅々までチェックして出てきたわけじゃないから、余り自信はない」
隣の家の呼び鈴を鳴らすと、金ちゃんママが出てきた。
「どうされたんですか?」と私の格好を見て、ビックリした様子だった。
「もしかしたら、私の家が火事かもしれない」
「大変!119番はされましたか?」
「それには及ばん。金ち・・・いや、ご子息はご在宅かな?」
「今日は出掛けてますが・・・」
「『出掛けた』だと!クソ〜。ヤツに出掛けられたら困るから、服も着替えず飛び出してきたのに・・・」
金ちゃんママは「はぁ」とか言っている。
「どうしよう、困ったなぁ。お母さん、私は、れもんちゃんから『金ちゃんとラッピーに会う話』を書くように言われてるんですぞ!」と、焦りの余り語気を強めた。
金ちゃんママは、全く事態が理解できない様子で、またもや「はぁ」とか言っている。
「しょうがない。せめてラッピーに会っておこう。お母さん、ラッピーをお願いします」
「ラッピーは幸則が連れていきました」
「えっ、なんてことだ・・・『ユキノリが連れていった』って?ユキノリ・・・ユキノリって誰だっけ?」
金ちゃんママは当惑した顔で、
「幸則はウチの息子です」
「あっ、そうだ、そうだ」と言った後、思惑が外れた苛立ちもあって、私は思わず、
「ご子息に相応しい名前は、ユキノリではなく、金ちゃんですぞ。今からでも遅くないから、改名させなさい」と口走っていた。
その一言に金ちゃんママの表情が一変した。唖然とした表情を浮かべ、両目に溢れた涙が一気に頬を伝った。
余計なことを言って、泣くほど怒らせてしまったかと慌てたが、金ちゃんママの口から出た言葉は私が想像していたものではなかった。
「私の亡くなった祖母が同じことを言っていました。『この子は金太郎の金ちゃんだよ。ユキノリなんて似合わないよ』って。祖母は、それはそれは曾孫の幸則を可愛がって、私が嫌がっても、ずっと『金ちゃん』と呼んで・・・実は今日、その祖母の命日なんです」
金ちゃんママは、両目を手で覆い、泣き崩れた。
私は人の涙を見るのが大の苦手で、どうしていいか分からず、オロオロしてしまい、「そうだ。家が燃えてるかもしれないので帰ります」と、慌ててその場を立ち去った。
家に戻っても、動揺が止まらなかった。
「シン太郎左衛門、金ちゃんママを泣かせてしまった。実に気分が悪い」
「なんと!そんなことをしては、もうここには住めませぬぞ!」
「・・・お前の言う『そんなこと』がどんなことを想像しての言葉かは知らないが、俺は別に大それたことをしでかしたわけではない」
事情を説明してやると、シン太郎左衛門は、
「なるほど。金ちゃんママの御祖母殿の霊が父上の口を借りて話されたと、そういうことでござるな」
「そんなことがあるのかね」
「うむ。よくあることでござる。拙者も父上の口を借りて、れもんちゃんとオチン語で話を致した。父上の口は、借りやすい口でござる」
「そんな口があるか!」
そんな馬鹿なことを話していると、インターホンが鳴った。モニターに映る金ちゃんママの姿を、『貞子』を見るような怯えた目で見詰めながら、私は居留守を使おうか迷っていたが、結局、玄関に向かった。
またもやパジャマのままで家の外に出て、門まで歩いていくと、金ちゃんママが、
「先程は取り乱して申し訳ありませんでした。これ、祖母の仏前にお供えしていたオハギです。どうぞ召し上がってください」と、ズッシリ重いプラパックを渡してくれた。
「どうもありがとうございます」
オハギをもらった私は手のひらを返したようにご機嫌になっていた。和菓子好きの私は、オハギも大好物だった。
思わず『オハギちゃん、美味しいよ〜』と言いそうになったが、かろうじて理性が働いた。
「ところで、金ちゃんは今日何時に帰る予定ですか?」
「それが・・・実は今日はデートに行っていまして・・・」
「デート?ラッピーと?」
「いいえ。勤め先の会社の方のご紹介で、最近、彼女が出来まして・・・」
「いやいやいや、いくらなんでも冗談が過ぎる」
「それが冗談ではなく、先日、彼女さんをウチに連れてきて、『結婚を前提に付き合っている』と言っておりました」
「ウソだろ。そんなセリフ、金ちゃんが言うはずがない。明らかに幸則だ。アイツ、俺に何の断りもなく、幸則になりやがったな・・・ところで相手の女性は?」
「はい。幸則にはもったいないほど可愛い方で」
「えっ!そんなに可愛いのか?名前は?まさか『れもんちゃん』じゃないだろうな?」
「いいえ、違います」
「ふ〜ん。じゃあ、いいや。『おめでとう』と伝えておいてくだされ、とシン太郎左衛門が言っている」
私は、オハギの詰まったプラパックを手に意気揚々と、スキップをしながら家に戻っていった。
台所で緑茶を淹れるためにお湯を沸かしながら、
「いやぁ、世の中の変化に付いていけないよ。シン太郎左衛門、聞いたか?金ちゃんが結婚するってよ」
「うむ。聞いておった。金ちゃんは『ヤルときはヤル男』でござったな」
「それ、どういう意味?」
「そのまんまでござる。金ちゃんは『ヤルときはヤル男』でござる」
「いや〜、二次元の女の子しか愛せないアニメ好きだと偽り、相手を油断させておいて、ヤルときはヤルんだから、あくどいヤツだよな」
お茶を入れた湯飲みを片手に、オハギの待つダイニングテーブルに着き、プラパックを開けた。
「『わ〜い』だよ〜。オハギちゃんだよ〜。嬉しいよ〜」と言った直後に、変な匂いを嗅ぎ取った。
「なんだ、このオハギ。お線香の匂いがするぞ」
「御仏壇に供えてあったというからやむを得ないことでござる」
「いや、そんなレベルじゃない。まるでお線香でいぶしたぐらいスゴイお線香の匂いだ。金ちゃんの家では、どれだけ大量の線香を焚いてるんだ。火事になるとしたら、ウチじゃなくて、隣の家だ」
箸で口元に持っていくと、むせるほどモノ凄いお線香の匂いに思わず顔を背けた。
「どういう食べ物なんだ。こんなもん、食えねえよ」
そう呻いた自分の声で目を覚ました。
「・・・なんだ、夢だったのか・・・クソ〜、オハギを食べそこねた」
涙が出そうだった。
スマホを見たら、7時前だった。オハギを食べ損ねたショックから再び眠れる気がしなかったので、新聞を取りに表に出ると、ラッピーを連れた金ちゃんに出くわした。
「ああ、オジさん、お久しぶりです」
ラッピーも金ちゃんも理由は分からないが異様に楽しそうに見えた。
郵便受けから新聞を取り出すと、
「お前が結婚する夢を見た」
「ホントですか?相手は誰ですか?」
「俺は知らん。お母さんに訊いてくれ。俺はオハギを食べそこねて、不機嫌なんだ」
「相変わらず意味不明だなぁ」
「ところで、お前の母方の曾祖母さんは、お前を『金ちゃん』と呼んでなかったか?」
「それはないですね。僕が生まれる前に亡くなってたから。でも、僕の父方の曾祖父さんが僕を『金ちゃん』と呼んでましたよ」
「ふ〜ん」
ふと、金ちゃんの着ている黒いTシャツの胸元に目が行った。そこには、白い文字で、I'm a liar. と書かれていた。
「・・・それは嘘だな」
「嘘じゃないですよ」
金ちゃんが連れている犬は、いつの間にかマルチーズに変わっていた。
「じゃあ夢だ」
「そうなんです・・・」金ちゃんは巨大なプードルに変わっていた。「これも夢なんです」
私は相変わらず布団の中にいた。
私は夢の中で夢を見て、その夢から覚めて、また覚めたのだった。今がまだ夢の中なのか、そうでないのか分からない。変にジタバタしても、実はまだ夢の中で、またしても夢から覚めるだけかもしれない。そう思って、布団の中でジッとしていた。そのうち、また眠りに落ちていた。
そして今日は日曜日。れもんちゃんデー。
あるいは、まだ夢の中を彷徨っているのかもしれない。
これも夢の続きかもしれないと、訝りながら、JR新快速、正式名称『スーパーれもんちゃん号(ゴールデンウィーク・バージョン)』に乗って、れもんちゃんに会いに行った。
れもんちゃんは、どんな形容詞でも表現できないぐらい宇宙一に宇宙一で、『やっぱり俺はまだ夢の中なんだろうか』と感じるほどであった。
帰り際、れもんちゃんにお見送りをしてもらいながら、
「福岡組は、相変わらず懇親ばかりしてるんだよ。一ヶ月近く、毎日歌って騒いでるから、とっても疲れてて、どれだけ寝ても寝たりないんだ」
「懇親疲れなんだね。身体に気を付けてね」
「ありがとう。ホント、懇親のしすぎで、福岡組の連中が嫌いになりそうだよ。それと今回でまたクチコミのネタが切れちゃったから、新しいアイデアくれない?」
「そうなんだね」と、れもんちゃんは可愛く首を傾げ、「・・・そうだ。『通勤時間が長くなったから電車でウトウトして、れもん星にワープしてしまう』とかどうかなぁ?」
「・・・ステキなアイデアをありがとう。それで考えてみるよ」
れもんちゃんは、それはそれは可愛く微笑んだ。
いつもの愛想のよいスタッフさんに送られて、お店の外に出た私は、「『通勤時間が長くなった』って言われてもなぁ・・・」と呟いた。
確かに仕事場は新社屋から旧社屋に変わったが、言っても目と鼻の先で、最寄り駅も同じだから、通勤時間は全く変わっていないのだが、れもんちゃんの言うことだから、逆らえない。
『こうなったら、通勤時間が長くなるように、JR西日本にダイヤを改正してもらうしかないなぁ』、そんなことを考えながら、クラブロイヤルを後にするのであった。
シン太郎左衛門と金ちゃん(あるいは「夢のマトリョーシカ」) 様ありがとうございました。