口コミ│神戸・福原 ソープランド Club Royal (クラブロイヤル)
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れもん【VIP】(23)
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投稿者:シン太郎左衛門とシマリスとでっかいプードル 様
ご来店日 2025年06月01日
我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は武士である。れもんちゃんから、最近のクチコミはシン太郎左衛門の出番が少ないね、と指摘された。私自身、気が付いてはいたものの、れもんちゃんから指摘を受けては、反省しない訳にはいかなかった。
先週の月曜日。つまり、普通の出勤日。
旧社屋の『ミックスグミ』のメンバーたちは朝からオバケちゃんゴッコを始めた。
「オバケちゃんゴッコ、楽しいよ〜。れもんグミちゃんも一緒にやった方がいいよ〜」と誘われたが、「俺はいい。ルールが理解できないから」と断った。
「簡単だよ〜。見てたら分かるよ〜。楽しいよ〜」
「いや、いい」
私自身、毎日、暇を持て余していたので、度々『オバケちゃんゴッコ』の様子は観察してきた。誰かが「オバケちゃんだぞ〜」と言うと、他のグミたちはそれに応えて、「僕もオバケちゃんだよ〜」とか、「オバケちゃん、怖いよ〜」とか、好き勝手なことを言って、勝ち負けを競うのだが、何度見ても、勝敗のルールが理解できなかった。
『オバケちゃんゴッコ』から一人距離を置いて、私はオフィスの窓から外の景色を眺めていた。すると、新社屋の方から歩いてくる一人の老いた男性の姿が目に入った。我が社の社長だった。
「また、イチゴグミちゃんの勝ちだよ〜」
「7連勝だよ〜」
「イチゴグミちゃんは『オバケちゃんゴッコ』の名人だよ〜」
とか言い交わしながら、楽しそうにしていたグミたちだったが、ドアが開き、社長が入ってくると、大慌てで「社長ちゃんが来たよ〜!怖いよ〜!」と叫びながらオフィスの中を逃げ惑った。
社長は威厳に満ちた表情で、他のグミを無視して、私の方に寄ってくると、
「僕は社長ちゃんだよ〜。助けてほしいよ〜」
「私は、仮面ライダーV3ちゃんだよ〜。『あ〜かい、あか〜い、赤い仮面のV3。ダブルハリケーン、命のベルト・・・』がテーマソングのV3ちゃんだよ〜」
「知ってるよ〜。助けてほしいよ〜」
「『敵は地獄のデストロン』だよ〜」
「それも知ってるよ〜。でも、助けてほしい理由は、デストロンとは関係ないよ〜」
「じゃあ、助けないよ〜」
「そんなこと言わず、助けてほしいよ〜」
社長の話は、以下のようなことだった。
社長の奥さんが知り合いからプードルを1週間預かって欲しいと頼まれ、トイプードルを想像して気軽に引き受けたが・・・
「昨日、ゴルフから家に帰ってビックリしたよ〜。想像したのと違う、黒くて、でっかいプードルちゃんが家にいたよ〜」
「それはきっとスタンダード・プードルだよ〜。可愛いよ~」
「可愛いけど、馬鹿デカいよ〜。散歩が大変過ぎるよ〜。助けてほしいよ〜」
聞けば、昨夜、社長の奥さんが、初日の散歩で、いきなり駆け出したプードルに高級住宅街の並木道を引き摺り回されて、かなりの怪我を負ったらしい。1日、2回、各1時間の散歩が欠かせないと聞くが、夫婦二人暮らしだから、奥さんが『二度とこの子の散歩はイヤです』と言っている以上、今日から社長自らが散歩させるしかなく、そんなことが出来る自信は微塵もない・・・
社長は当初の威厳はどこへやら、訴えるような目で私を見つめていた。
「ふ〜ん。つまり、社長は俺たち『ミックスグミ』に犬の散歩を頼みたいと、そういうことだな?」
「そうだよ〜。助けてほしいよ〜」
「分かった。助けてやろう。れもんグミちゃんは優しいよ〜。れもんちゃんは宇宙一優しいよ〜」
「ありがとうだよ〜。御礼はするよ~」
「気にしないでいいよ〜。『ミックスグミ』は暇人ぞろいだよ〜。早速連れてきていいよ〜。一緒にシマリスちゃんも連れてきたらいいよ〜」
社長が嬉しそうに出ていくと、それまでオフィスの隅で小さくなっていたグミたちは、ワラワラと私の周りに集まってきて、
「社長ちゃんを怖がらないなんて、れもんグミちゃんは凄いよ〜」と尊敬の眼差しを向けた。
「当然だ。それはそうと、我ら『ミックスグミ』に一つのミッションが与えられた」
「『わ〜い』だよ〜。暇過ぎて死にそうだったよ〜」
「犬の散歩だ」
「ワンちゃんは可愛いよ~。頑張るよ〜」
「よし、頑張れ。俺はシマリスの相手をする」
1時間ほどして、社長がシマリスとプードルを連れて戻ってきた。旧社屋の前に停められた車から勢いよく跳び出してきた黒いスタンダード・プードルにグミたちは大喜びだった。
シェリーちゃん(メス3歳)の愛らしい姿に、
「可愛いよ~」「モコモコだよ〜」「フワフワだよ〜」などの歓声をもって迎え、ドッグフードやオヤツなども受け取って、グミたちはオフィスに帰っていった。社長は、シマリスのケージを私に渡すと、シマリスの飼育上の注意点をくどいぐらい丁寧に説明した。そして、シェリーちゃんの飼い主が書いたと思われるプードルのお世話に関する簡易なマニュアルを差し出して、「これを『ミックスグミ』のみんなによく読ませておいて欲しいよ〜。5時過ぎに迎えに来るから、絶対にシェリーちゃんに1時間の散歩を2回させておいて欲しいよ〜」
「分かった。安心しな」
私がシマリスを観察している間にグミたちは、手際よく餌入れや水の器をセットした。シェリーちゃんもあっと言う間に彼等と馴染んだ様子だった。
私はシマリスに「君には、何か芸の1つもないのか?」と尋ねたが、特に何もしようとはしなかった。確かに可愛かったが、それだけだった。
グミたちは、シェリーちゃんにリードを着けると、「お散歩に行ってくるよ~。お留守番ちゃんを頼んだよ~」と11人がゾロゾロと揃って出ていった。
一人で部屋に残されると、シン太郎左衛門に話しかけた。
「おい。一緒にシマリスを観察しないか?」
ズボンのチャックが内側からスルスルと開いて、シン太郎左衛門が飛び出してきた。
「なるほど。これが、シマリスという生き物でござるか」
「そうだ。社長の自慢のシマリスだ」
「なるほど・・・日頃、れもんちゃんと懇意にしてもらっているゆえ、拙者、シマリスぐらいでは特に可愛いとも思えぬ。シマリスサイズのれもんちゃんなら大いに喜べたと思いまする」
「シマリスサイズのれもんちゃんか・・・それはステキだ。家に豪華なドールハウスを作って、三食ご馳走を用意して、もてなそう」
「それより、家全体をシマリスサイズのれもんちゃんにお使いいただき、父上は玄関先に段ボールの家を作り、そこで暮らしなされ」
「それでもいいよ」
シマリスにヒマワリの種をやると、嬉しそうに頬袋に貯めていった。
「これぐらいにしておこう。『ヒマワリの種をあげ過ぎちゃダメだよ〜』と社長が言っていたからな」
そんな他愛のない時間を過ごしていると、入り口の方から慌しい足音が響いてきて、コーラグミがオフィスに駆け込んできた。
「大変だよ〜!イチゴグミちゃんが、ワンちゃんにリードでグルグル巻きにされて、道を引き摺られてるよ〜!」
「ふ〜ん。俺は今シマリスの観察に忙しいから後にしてくれないかなぁ」
コーラグミは、その場でハアハアと荒い息を整えると、
「大変だよ〜!イチゴグミちゃんが、ワンちゃんにリードでグルグル巻きにされて、道を引き摺られてるよ〜!」
「それ、さっきも聞いた」
「ワンちゃん、牛みたいな力持ちだよ〜。大変だよ〜」
「それは何よりだ。みんなで力を合わせて頑張ってくれ」
コーラグミは、それでもしばらく私をジッと見つめていたが、まったく頼りにならないと諦めて、「大変だよ〜」と言いながら、オフィスから去っていった。
「まったく使えん奴らだよ」
シマリスの観察にも飽きたので、椅子に座って、ウツラウツラしていると、またドタバタと靴音を響かせて、コーラグミが駆け込んできた。
「大変だよ〜!メロングミ1号ちゃん・2号ちゃん、二人まとめて、リードに巻かれて引き摺られてるよ〜!」
「お前ら、大の大人が11人もいて、なんてザマだ!みんなで協力して頑張れって言ってんだろ!」と怒鳴り付けて追い返した。
きっとまた戻ってくるんだろうなぁと考えていると、案の定5分と経たぬ間に、コーラグミが駆け込んできて、
「大変だよ〜!僕以外のグミちゃんたちが全員リードに巻かれて引き摺り回されてるよ〜!もう誰にも止められないよ〜!黒くてデカいプードルちゃん、怖いよ〜!」
「お前ら、何をやってるんだ!少しは頭を使えよ。例の歌は試したのか?」
「・・・『例の歌』って言われても分からないよ〜」
「『元祖れもんちゃん音頭』に決まってるだろ。お前らも、この前歌ってたじゃないか。宇宙一に宇宙一のれもんちゃんの力を借りて、シン太郎左衛門大先生が世界平和と五穀豊穣を願って作った尊い歌だぞ。『元祖れもんちゃん音頭』を歌って聴かせれば、昂ったシェリーちゃんも穏やかな心持ちになるに決まってる」
「・・・」
「キサマ、信じてないな!この無礼者め!困ったときの『れもんちゃん頼み』だ。さっさと戻って、確かめてみろ!」
「分かったよ〜。やってみるよ〜」
それから1時間以上経ったが、連中は戻ってこない。2時間近く経って、いよいよ『ミックスグミ』は全滅したのかと思っていると、遠くの方から『元祖れもんちゃん音頭』の大合唱が聞こえてきた。窓の外を眺めると、シェリーちゃんを先頭に、『ミックスグミ』のメンバーたちが楽しそうに歌いながら帰ってくるのが見えた。
「楽しかったよ〜」とオフィスに入ってきたグミたちは、コーラグミを除いて、全員スーツがボロボロになっていた。
楽しく過ごした1週間。そして、金曜日の夕方、シェリーちゃんとの最後の日、グミたちは大泣きに泣いて、別れを惜しんでいた。そして、シェリーちゃんとシマリスの乗った車を、泣きながら『元祖れもんちゃん音頭』で見送った。
そして、今日は日曜日。世に言うところの、れもんちゃんデー。JR新快速で、れもんちゃんに会いに行った。
当然れもんちゃんは宇宙一に宇宙一だった。
帰り際、れもんちゃんにお見送りしてもらいながら、
「ああ、そうだ。ちょっとした事件があったせいで、やっと職場の同僚たちが、れもんちゃんの偉大さを理解したんだよ」
「そうだったんだね」
「うん。お陰で我々の部署の名前は、当初の私の希望どおり『れもん組』に変更されたよ」
「希望どおりになって、よかったね」
「うん。でも、いいことばかりでもないんだよ。これまで、『イチゴグミ』とか『メロングミ』と名乗っていたヤツらが全員『れもんグミ』に名前を変えるって言い出して、12人全員が同じ名前になったから、とっても紛らわしいんだ」
私の職場の状況が飲み込めなかったのか、れもんちゃんは一瞬困惑した表情になったが、「・・・それは、きっと大変だね」と、それはそれは優しく微笑んだのだった。
この話に結論めいたものがあるとすれば、『嫌なことがあったら、れもんちゃんに会いに行ったらいい。嬉しいことがあったら、やはり、れもんちゃんに会いに行くのがよい』、きっとそういうことなのだと思う。
そして、今回もシン太郎左衛門は出番が少なかった。
シン太郎左衛門とシマリスとでっかいプードル 様ありがとうございました。
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投稿者:シン太郎左衛門とシマリスとでっかいプードル 様
ご来店日 2025年06月01日
先週の月曜日。つまり、普通の出勤日。
旧社屋の『ミックスグミ』のメンバーたちは朝からオバケちゃんゴッコを始めた。
「オバケちゃんゴッコ、楽しいよ〜。れもんグミちゃんも一緒にやった方がいいよ〜」と誘われたが、「俺はいい。ルールが理解できないから」と断った。
「簡単だよ〜。見てたら分かるよ〜。楽しいよ〜」
「いや、いい」
私自身、毎日、暇を持て余していたので、度々『オバケちゃんゴッコ』の様子は観察してきた。誰かが「オバケちゃんだぞ〜」と言うと、他のグミたちはそれに応えて、「僕もオバケちゃんだよ〜」とか、「オバケちゃん、怖いよ〜」とか、好き勝手なことを言って、勝ち負けを競うのだが、何度見ても、勝敗のルールが理解できなかった。
『オバケちゃんゴッコ』から一人距離を置いて、私はオフィスの窓から外の景色を眺めていた。すると、新社屋の方から歩いてくる一人の老いた男性の姿が目に入った。我が社の社長だった。
「また、イチゴグミちゃんの勝ちだよ〜」
「7連勝だよ〜」
「イチゴグミちゃんは『オバケちゃんゴッコ』の名人だよ〜」
とか言い交わしながら、楽しそうにしていたグミたちだったが、ドアが開き、社長が入ってくると、大慌てで「社長ちゃんが来たよ〜!怖いよ〜!」と叫びながらオフィスの中を逃げ惑った。
社長は威厳に満ちた表情で、他のグミを無視して、私の方に寄ってくると、
「僕は社長ちゃんだよ〜。助けてほしいよ〜」
「私は、仮面ライダーV3ちゃんだよ〜。『あ〜かい、あか〜い、赤い仮面のV3。ダブルハリケーン、命のベルト・・・』がテーマソングのV3ちゃんだよ〜」
「知ってるよ〜。助けてほしいよ〜」
「『敵は地獄のデストロン』だよ〜」
「それも知ってるよ〜。でも、助けてほしい理由は、デストロンとは関係ないよ〜」
「じゃあ、助けないよ〜」
「そんなこと言わず、助けてほしいよ〜」
社長の話は、以下のようなことだった。
社長の奥さんが知り合いからプードルを1週間預かって欲しいと頼まれ、トイプードルを想像して気軽に引き受けたが・・・
「昨日、ゴルフから家に帰ってビックリしたよ〜。想像したのと違う、黒くて、でっかいプードルちゃんが家にいたよ〜」
「それはきっとスタンダード・プードルだよ〜。可愛いよ~」
「可愛いけど、馬鹿デカいよ〜。散歩が大変過ぎるよ〜。助けてほしいよ〜」
聞けば、昨夜、社長の奥さんが、初日の散歩で、いきなり駆け出したプードルに高級住宅街の並木道を引き摺り回されて、かなりの怪我を負ったらしい。1日、2回、各1時間の散歩が欠かせないと聞くが、夫婦二人暮らしだから、奥さんが『二度とこの子の散歩はイヤです』と言っている以上、今日から社長自らが散歩させるしかなく、そんなことが出来る自信は微塵もない・・・
社長は当初の威厳はどこへやら、訴えるような目で私を見つめていた。
「ふ〜ん。つまり、社長は俺たち『ミックスグミ』に犬の散歩を頼みたいと、そういうことだな?」
「そうだよ〜。助けてほしいよ〜」
「分かった。助けてやろう。れもんグミちゃんは優しいよ〜。れもんちゃんは宇宙一優しいよ〜」
「ありがとうだよ〜。御礼はするよ~」
「気にしないでいいよ〜。『ミックスグミ』は暇人ぞろいだよ〜。早速連れてきていいよ〜。一緒にシマリスちゃんも連れてきたらいいよ〜」
社長が嬉しそうに出ていくと、それまでオフィスの隅で小さくなっていたグミたちは、ワラワラと私の周りに集まってきて、
「社長ちゃんを怖がらないなんて、れもんグミちゃんは凄いよ〜」と尊敬の眼差しを向けた。
「当然だ。それはそうと、我ら『ミックスグミ』に一つのミッションが与えられた」
「『わ〜い』だよ〜。暇過ぎて死にそうだったよ〜」
「犬の散歩だ」
「ワンちゃんは可愛いよ~。頑張るよ〜」
「よし、頑張れ。俺はシマリスの相手をする」
1時間ほどして、社長がシマリスとプードルを連れて戻ってきた。旧社屋の前に停められた車から勢いよく跳び出してきた黒いスタンダード・プードルにグミたちは大喜びだった。
シェリーちゃん(メス3歳)の愛らしい姿に、
「可愛いよ~」「モコモコだよ〜」「フワフワだよ〜」などの歓声をもって迎え、ドッグフードやオヤツなども受け取って、グミたちはオフィスに帰っていった。社長は、シマリスのケージを私に渡すと、シマリスの飼育上の注意点をくどいぐらい丁寧に説明した。そして、シェリーちゃんの飼い主が書いたと思われるプードルのお世話に関する簡易なマニュアルを差し出して、「これを『ミックスグミ』のみんなによく読ませておいて欲しいよ〜。5時過ぎに迎えに来るから、絶対にシェリーちゃんに1時間の散歩を2回させておいて欲しいよ〜」
「分かった。安心しな」
私がシマリスを観察している間にグミたちは、手際よく餌入れや水の器をセットした。シェリーちゃんもあっと言う間に彼等と馴染んだ様子だった。
私はシマリスに「君には、何か芸の1つもないのか?」と尋ねたが、特に何もしようとはしなかった。確かに可愛かったが、それだけだった。
グミたちは、シェリーちゃんにリードを着けると、「お散歩に行ってくるよ~。お留守番ちゃんを頼んだよ~」と11人がゾロゾロと揃って出ていった。
一人で部屋に残されると、シン太郎左衛門に話しかけた。
「おい。一緒にシマリスを観察しないか?」
ズボンのチャックが内側からスルスルと開いて、シン太郎左衛門が飛び出してきた。
「なるほど。これが、シマリスという生き物でござるか」
「そうだ。社長の自慢のシマリスだ」
「なるほど・・・日頃、れもんちゃんと懇意にしてもらっているゆえ、拙者、シマリスぐらいでは特に可愛いとも思えぬ。シマリスサイズのれもんちゃんなら大いに喜べたと思いまする」
「シマリスサイズのれもんちゃんか・・・それはステキだ。家に豪華なドールハウスを作って、三食ご馳走を用意して、もてなそう」
「それより、家全体をシマリスサイズのれもんちゃんにお使いいただき、父上は玄関先に段ボールの家を作り、そこで暮らしなされ」
「それでもいいよ」
シマリスにヒマワリの種をやると、嬉しそうに頬袋に貯めていった。
「これぐらいにしておこう。『ヒマワリの種をあげ過ぎちゃダメだよ〜』と社長が言っていたからな」
そんな他愛のない時間を過ごしていると、入り口の方から慌しい足音が響いてきて、コーラグミがオフィスに駆け込んできた。
「大変だよ〜!イチゴグミちゃんが、ワンちゃんにリードでグルグル巻きにされて、道を引き摺られてるよ〜!」
「ふ〜ん。俺は今シマリスの観察に忙しいから後にしてくれないかなぁ」
コーラグミは、その場でハアハアと荒い息を整えると、
「大変だよ〜!イチゴグミちゃんが、ワンちゃんにリードでグルグル巻きにされて、道を引き摺られてるよ〜!」
「それ、さっきも聞いた」
「ワンちゃん、牛みたいな力持ちだよ〜。大変だよ〜」
「それは何よりだ。みんなで力を合わせて頑張ってくれ」
コーラグミは、それでもしばらく私をジッと見つめていたが、まったく頼りにならないと諦めて、「大変だよ〜」と言いながら、オフィスから去っていった。
「まったく使えん奴らだよ」
シマリスの観察にも飽きたので、椅子に座って、ウツラウツラしていると、またドタバタと靴音を響かせて、コーラグミが駆け込んできた。
「大変だよ〜!メロングミ1号ちゃん・2号ちゃん、二人まとめて、リードに巻かれて引き摺られてるよ〜!」
「お前ら、大の大人が11人もいて、なんてザマだ!みんなで協力して頑張れって言ってんだろ!」と怒鳴り付けて追い返した。
きっとまた戻ってくるんだろうなぁと考えていると、案の定5分と経たぬ間に、コーラグミが駆け込んできて、
「大変だよ〜!僕以外のグミちゃんたちが全員リードに巻かれて引き摺り回されてるよ〜!もう誰にも止められないよ〜!黒くてデカいプードルちゃん、怖いよ〜!」
「お前ら、何をやってるんだ!少しは頭を使えよ。例の歌は試したのか?」
「・・・『例の歌』って言われても分からないよ〜」
「『元祖れもんちゃん音頭』に決まってるだろ。お前らも、この前歌ってたじゃないか。宇宙一に宇宙一のれもんちゃんの力を借りて、シン太郎左衛門大先生が世界平和と五穀豊穣を願って作った尊い歌だぞ。『元祖れもんちゃん音頭』を歌って聴かせれば、昂ったシェリーちゃんも穏やかな心持ちになるに決まってる」
「・・・」
「キサマ、信じてないな!この無礼者め!困ったときの『れもんちゃん頼み』だ。さっさと戻って、確かめてみろ!」
「分かったよ〜。やってみるよ〜」
それから1時間以上経ったが、連中は戻ってこない。2時間近く経って、いよいよ『ミックスグミ』は全滅したのかと思っていると、遠くの方から『元祖れもんちゃん音頭』の大合唱が聞こえてきた。窓の外を眺めると、シェリーちゃんを先頭に、『ミックスグミ』のメンバーたちが楽しそうに歌いながら帰ってくるのが見えた。
「楽しかったよ〜」とオフィスに入ってきたグミたちは、コーラグミを除いて、全員スーツがボロボロになっていた。
楽しく過ごした1週間。そして、金曜日の夕方、シェリーちゃんとの最後の日、グミたちは大泣きに泣いて、別れを惜しんでいた。そして、シェリーちゃんとシマリスの乗った車を、泣きながら『元祖れもんちゃん音頭』で見送った。
そして、今日は日曜日。世に言うところの、れもんちゃんデー。JR新快速で、れもんちゃんに会いに行った。
当然れもんちゃんは宇宙一に宇宙一だった。
帰り際、れもんちゃんにお見送りしてもらいながら、
「ああ、そうだ。ちょっとした事件があったせいで、やっと職場の同僚たちが、れもんちゃんの偉大さを理解したんだよ」
「そうだったんだね」
「うん。お陰で我々の部署の名前は、当初の私の希望どおり『れもん組』に変更されたよ」
「希望どおりになって、よかったね」
「うん。でも、いいことばかりでもないんだよ。これまで、『イチゴグミ』とか『メロングミ』と名乗っていたヤツらが全員『れもんグミ』に名前を変えるって言い出して、12人全員が同じ名前になったから、とっても紛らわしいんだ」
私の職場の状況が飲み込めなかったのか、れもんちゃんは一瞬困惑した表情になったが、「・・・それは、きっと大変だね」と、それはそれは優しく微笑んだのだった。
この話に結論めいたものがあるとすれば、『嫌なことがあったら、れもんちゃんに会いに行ったらいい。嬉しいことがあったら、やはり、れもんちゃんに会いに行くのがよい』、きっとそういうことなのだと思う。
そして、今回もシン太郎左衛門は出番が少なかった。
シン太郎左衛門とシマリスとでっかいプードル 様ありがとうございました。