福原ソープランド 神戸で人気の風俗店【クラブロイヤル】
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れもん【VIP】(23)
投稿者:シン太郎左衛門(あるいは妖精ランジェリー)様
ご利用日時:2023年10月29日
我が馬鹿息子シン太郎左衛門は武士である。疑えばキリがないので、信じることにしている。
昨日の昼休み、職場の近くのラーメン屋で食券販売機の下に釣り銭を落としてしまって、しゃがんだ拍子にトランクスが股の部分で音を立てて裂けてしまった。
シン太郎左衛門が「父上、ビリっといきましたな」
「大丈夫だ。被害はズボンまで及んでいない。パンツだけだ。随分と履き古したからな。いわゆる寿命というヤツだ」
「とは言え、拙者、早速すきま風に晒されてござる」
「武士のくせに、すきま風ごときで泣き言を言うな」
カウンターに座って、店員に食券を渡した。
「父上は、この象さんのパンツがお気に入りでござったな。週に2、3回は履いておられた」
「気に入っていた訳ではない。偶々そうなったのだ。確か5年前、ショッピングモールの衣料品コーナーで買ったのだ。象さんは『このワゴンの商品、どれでも3点で500円』とは思えない精勤ぶりだった」
「寂しくなりまする」
「大丈夫。まだキリンもペンギンとライオンもいる。ラッコもアシカもカバもいる。シマウマもいる」
「父上のパンツは、実に揃いも揃って動物が描かれてござる」
「あのとき、いくらあっても困るものでないと、動物のプリント柄のパンツをワゴンごと買い占めてしまったからな。こんなに丈夫だとは思いもよらず、一生分どころか人生3回分の動物パンツを買ってしまった。そいつらが押し入れで大きな段ボール箱に山盛りになって出番を待ってるのを見ると、気分が悪くなる。象さんだけでもまだ10頭はいる。みんな、丈夫で長持ちの優れモノだが、デザインが雑すぎて、まじまじ見てるとイライラしてくるのが珠に傷だ」
「父上は基本的にマヌケでござる」
「そのとおりだ」
ラーメンが出てきたので、胡椒を振った。
「父上は、着るものに頓着がなさすぎでござる」
「それは少し違う。着ている自分に興味がないだけだ。モノの良し悪しは大体分かる。れもんちゃんの着ているモノは、しっかり賞翫している」
シン太郎左衛門は、へへへへとだらしなく笑い出し、「『れもんちゃん』と聞くと、身体がポカポカして、すきま風の冷たさを忘れまする」
「れもんちゃんは、冬の日のお日様のような有難いお方だ」
「うむ。それに、れもんちゃんのパンツは可愛い」
「ブラジャーも可愛い」
「いや、拙者は断然パンツ派でござる」
「そういう派閥的な発想を持ち込むべきではない。パンツとブラジャーは一致団結して、れもんちゃんの魅力を引き立てているのだ」
「うむ。れもんちゃんの身体は、それは美しいものでござる」
「そうだ。だから、下着たちにも引き立て甲斐があるというものだ。れもんちゃんの下着は、有名メーカーの高級ブランドだぞ」
「なんと。それって、お高いんじゃない?」
「・・・なんだ、その武士らしくない物言いは?いつもの『マジで?』よりも悪質だぞ」
「では、もとい。さぞ値の張るものでござろう」
「当然だ。我が家の動物パンツが束になって掛かっても、れもんちゃんのブラジャー1つに敵わぬのだ。比較するのも畏れ多い」
「なるほど、れもんちゃんは、そんな高級な下着を数多所持しておられるのでござるな」
「そうだ。毎回違うのを身に着けている。新作が出るたびに買い揃えていると思われる。ドッサリと買うんだろう」
「ドッサリとは、どれくらいでござるか」
「ショップに入って、ほぼ店ごと買う」
「店ごとでござるか。それは大変な荷物になりましょうぞ。まさか、れもんちゃんが背負って帰るとも思われませぬ」
「当たり前だ。れもんちゃんは、会計が済んだパンティやブラジャーを魔法の杖で叩いていくのだ。そうすると、羽が生えて、蝶々や小鳥のようにパタパタと飛び立って、店の外に出ていく。三ノ宮の街の上に広がる青空に、羽の生えた、色とりどりのパンティやブラジャーが大群となって飛んでいる」
「美しい景気でござる」
「そして、その向かう先は・・・」
「その向かう先は?」
「例の空飛ぶ空母だ」
「おお、れもんちゃんの自家用車。先日のアレでござるな」
「そう。あの空飛ぶ空母の中に吸い込まれるように消えていく」
「・・・見てきたような嘘でござるな」
「いや、目撃者も多数いる正真正銘の真実だ。ただ、全員その直後に記憶を消されてしまった」
「うむ。それであれば真実でござろう。ただ誰が彼等の記憶を消したかは謎として残りまするな」
「当然れもんちゃんだ」
「れもんちゃん、恐るべしでござる」
「うむ。それはそうと、空母の中には巨大なウォークイン・クローゼットがあって、パンティとブラジャーは、その体育館のように広い空間で楽しく飛び回って暮らすのだ」
「なるほど」
「そして、出勤前になると、れもんちゃんは、伸縮自在の長い柄を持つ虫取網を持って、そのウォークイン・クローゼットに入る。その日の予約の数に合わせて、またお客の好みを考えて、キャッキャと、はしゃぎながら、飛んでるパンティとブラジャーを追い掛け回し、ペアで捕獲して優しくバッグにしまうのだ。こういう感じだから、れもんちゃんの下着はとても活きがよい」
「ぶっ飛んだ話でござる。さすがに誰も信じますまい」
「イメージだ。信じなくていい。感じるんだ」
シン太郎左衛門は、大きく頷き、「うむ。確かに、れもんちゃんにピッタリの話でござる。そして、れもんちゃんには、可愛い秘密が一杯でござる」
「そうだ。よし、では、行こう・・・おネエさん、お愛想」
「父上、ここは食券による前払い制でござる」
「そうだ。忘れていた。毎回、これをやってしまう」
「父上は、根っ子の部分でマヌケでござる」
店を出て、職場への帰り道、シン太郎左衛門が性懲りもなくラップを始めた。
Yo, yo, yo, yo, yo, yo, yo, yo
ラーメン食べたら、パンツが破けて、
股間に木枯し吹き荒れる。でも、
丸いお尻にTバック、へへ、真ん丸お尻にTバック、へへ
れもんちゃんたら Yo, say パンツ、れもんちゃんたら Yo, say ブラジャー
アカギレ、シモヤケ、なんでも治るぜ
凍れる冬に欠かせない yo
ラブリー・フェアリーれもんちゃん
全く意味不明に思えたが、風は股間を中央に冷たくとも、見上げた空が青かったから、スルーした。
そして、今日れもんちゃんに会った。
れもんちゃんは、当然凄すぎたし、れもんちゃんの下着には、やっぱり可愛い羽が生えていた。
シン太郎左衛門(あるいは妖精ランジェリー)様ありがとうございました。
れもん【VIP】(23)
投稿者:シン太郎左衛門と沈黙の武士たち様
ご利用日時:2023年10月22日
我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は自らを武士だと言う。別に武士でも武士でなくても、結局は大した問題ではない。
先々週の日曜日、左の乳首に触れられると妙に気持ちよかったので、れもんちゃんにそう言ったら、「チクビ左衛門だね」と笑われた。
先週の日曜日は、左右どちらの乳首も触れられると妙に気持ちよかったので、れもんちゃんにそう言ったら、また「チクビ左衛門だね」と笑われた。
今日もまた日曜日。れもんちゃんに会う日の朝は、私もシン太郎左衛門も気持ちがハイになっているので、何をやっても大抵とても盛り上がる。ただ、盛り上がらないことも稀にある。
朝食を済ませた後、出発までまだかなり時間があったので、「昨日、押し入れを掃除していて、ポータブルの将棋セットを見付けた。シン太郎左衛門、お前、将棋は指せるか?」
「指せまする」
「では、やろう」
「実は、拙者、かなりの腕前でござる」と、妙に見下すような態度を見せるので、駒を並べながら、「何をおっしゃるウサギさん、だ。捻り潰してやる。さあ、かかって来い」
大して指し進めるまでもなく分かった、シン太郎左衛門は「マジもの」だった。
「シン太郎左衛門、止めよう。お前が藤井八冠に見えてきた」
「うむ。拙者、藤井聡太の棋譜は全て記憶してござる」
「完全に相手を間違えた」
「藤井聡太に勝てるのは、れもんちゃんだけでござる」
「将棋で?」
「流石にそれはない。拙者の『人間キラキラ・ランキング2023』の話でござる。れもんちゃんが、断トツ1位。その後、9位までは空位で、10位で藤井聡太と井上尚弥が並んでござる」
「なるほど、妥当な線だな」
「キラキラ・ランキングは、その後もず~っと続いて、何番とは言わぬが、父上も出てくる。岸田首相と競い合ってこざる」
「ノー・コメント。その話は止めておこう」
ポータブル将棋セットは、ゴミ箱に放り込んだ。
「話はガラッと変わるが、先週、先々週と続けて、『乳首に触られると気持ちいい』と俺が言うと、れもんちゃんが『チクビ左衛門だね』と応じたことを覚えているか?」
シン太郎左衛門は首を傾げた。
「覚えているだろ?」
「覚えてない」
「説明が手間だから、覚えていることにしてくれ」
「あっ、思い出してござる」
「うむ。それでよい」
「いや、脅しに屈したのではござらぬ。本当に突然思い出したのでござる。れもんちゃん、いきなり何を言い出すのかと訝しく感じたが、れもんちゃんは、ちょくちょく突拍子もないことを言い出しまするゆえ、恐らくそういったことかと合点してござった」
「うん。俺もそんな印象を持った。でも、本当にそうなのか?」
「と言いますると・・・」
「つまり・・・この部屋には、俺とお前以外にも誰かがいるのではないか?」
「ほほう、季節外れの怪談でござるな」
「違う。怪談はもう懲り懲りだ。つまり、俺の乳首が武士化しつつあるとか・・・」
「マジで?」
「毎回言っている気がするが、そういう口のきき方は止めろ。俺もまさかとは思うが、れもんちゃんには不思議なパワーが詰まっている。れもんちゃんは何か異変を感じ取っているのかもしれない」
「う~む。父上の乳首が武士であるとのお疑いでござるな。そもそも身体の一部が武士化するとは嘘臭い」
「お前がそれを言うな。お前が突然、『拙者、シン太郎左衛門』と名乗り出たのも約10年前、そんなに昔のことではない」
「おぉ、そうでござった。気が付いたら、こんな所で、こんな風になっておったのでござる」
「ちなみに、それに先立つ記憶はないのか?」
「それが、その前となると、アヤフヤで断片的で脈絡のない記憶しかござらぬ」
「言ってみろ。お前の前世に関わるものであれば、今こそシン太郎左衛門が誰なのか明かされるかもしれん」
「う~む・・・例えば、若いドクターやインターン、看護師たちを大勢引き連れて大学病院の廊下を歩いている記憶。祭りの出店でお好み焼きを焼いてる記憶。裏長屋で赤子をあやしながら傘張りをしている記憶。腰簑だけを身に纏い、石の鏃を着けた槍を手に猪を追う記憶。東京スカイツリーの見える場所にキッチンカーを停めてクレープを焼いている記憶。夜泣き蕎麦の屋台を引いている記憶。カレー専門店でバイトをしている記憶・・・」
「お前、誰だよ?そのごちゃごちゃした記憶の数々、一つの人生に収めるには時代的にも振幅が激しすぎるし、後半はほとんど飲食業だ」
「食は大切でござる」
「当然だ。ただ俺は、今、食の重要性を問題にしていない。お前が武士だということの尤もらしい説明を期待して聞いてたら、辛うじて武士を感じさせるのは裏長屋に住む傘張り浪人だけだ。お前の記憶を信じれば、次回からクチコミの出だしは、『我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は武士(おそらく浪人)の生まれ変わりなのだが、財前教授や縄文人、またクレープ屋さん等であった可能性も否定できない』としなければならん」
「記憶などというものは所詮頼りないものでござる」
「それはそうだ」
「加えて、拙者、誰かの生まれ変わりではござらぬ」
「そうか・・・まあいい。目下最大の問題はそんなことではない。俺の乳首が武士化しているかどうかだ。俺たち二人だけなら、クチコミのセリフもどっちが言ったかか一目瞭然だが、今後『ござる』調のヤツが増えてしまったら、誰の発言なのか一々書き記さなければならなくなる。とても煩わしい。大問題だ」
「うむ。拙者は賑やかになって嬉しい」
「シン太郎左衛門、話し掛けてみろ」
「ん?」
「チクビ左衛門だか知らんが、いるとすればお前の同類だ。お前の呼び掛けには応えるだろう」
「うむ。承ってござる」
シン太郎左衛門は立て続けに咳払いをすると、「では、参りまする」
「頼んだぞ」
「頼もう・・・頼もう・・・」
応えはなかった。
「・・・誰もおらぬようでござる」
「シン太郎左衛門、そんな遠慮がちにやっては埒が明かん。ズカズカと家に上がり込む感じでいけ」
「無礼ではござりませぬか」
「問題ない。俺が大家だ」
「うむ。では・・・御免つかまつる・・・もし、入りまするぞ・・・ガラガラガラ・・・これは玄関を開けた音でござる」
「察してる。続けてくれ」
「うむ・・・誰かおられませぬか。拙者、シン太郎左衛門と申す武士でござる。チクビ左衛門殿、ちと話がござる・・・チクビ左衛門殿・・・」
やはり応えはなかった。
「誰も答えないな。シ~ンとしている」
「留守でござる」
「念のため、もう一度やってみろ」
シン太郎左衛門は「チクビ左衛門殿、おられませぬか!チクビ左衛門殿~!!」と声を張ったが、やはり返事はなかった。
「何の気配もない。ただシ~ンとしてござる。シ~ン太郎左衛門でござる」
「・・・オヤジギャグだ」
「うむ。オヤジギャグでござる」
「実は、れもんちゃんはオヤジギャグが好きなのだ」
「拙者も存じておりまする。以前、れもんちゃん自身が、そう仰せでござった」
「つまり『シ~ン太郎左衛門』は、れもんちゃんに受けると思って言ったんだな」
「この場面は、れもんちゃんにバカ受けでござる」
「俺には、とても詰まらなく思えた。念のために、もう一度言ってみろ」
「シ~ン太郎左衛門」
「いや、俺は、もう一度チクビ左衛門に呼び掛けてみろという意味で言ったんだ。でもいい。この話、これ以上展開しそうな気がしない」
「うむ。そもそも、チクビ左衛門のいる・いないは、れもんちゃんに確認すれば分かることでござる」
「・・・本当だね」
そして、れもんちゃんに会ってきた。分かっていたが、れもんちゃんは、やはり凄すぎた。
帰り際、「れもんちゃんには、チクビ左衛門が見えるの?」と尋ねたら、れもんちゃんは可愛く首を傾げて、「それは言えない。ヒミツだもん」とのことだった。
帰りの電車で、シン太郎左衛門に、
「チクビ左衛門については秘密だと言われた」
「うむ、れもんちゃんには秘密が一杯でござる」
ということで、私の胸の辺りにムスッと押し黙った武士たちがいるかもしれないという疑念は今のところ晴れていない。
シン太郎左衛門と沈黙の武士たち様ありがとうございました。
けい【VIP】(23)
投稿者:マツナガ様
ご利用日時:2023年10月20日
仕事の都合で午後から時間がとれたので、初めてこちらのお店を利用しました。電話対応してくれたスタッフのおすすめでけいさんに入りました。
とても奇麗な方だったので緊張してしまいましたが、リードしてくれたのですぐにそれもほぐれました。
プレイ内容は申し分なく、ベッドだけでこんなに凄いプレイをしたのは初めてでした。濃厚とか激しいとか、そんな言葉では表現できないもので、大満足でした。
プレイ後は仕事やペットなどの話でまったりとした時間を過ごせました。ぜひまたお願いします。
マツナガ様ありがとうございました。
れもん【VIP】(23)
投稿者:シン太郎左衛門(あるいは生き物たちの記録)様
ご利用日時:2023年10月15日
我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は武士らしい。今更、実は武士ではないとなったとしても、誰にも言わず黙っておくだろう。
先週のはじめ、偏頭痛がひどくて仕事を休んだ。水曜日は、頭痛は治まっていたが、ズル休みして、昼前までぐっすり寝た。腹も減ったし、コンビニに買い出しに行くため、モゾモゾと布団から這い出すと、シン太郎左衛門が、
「泥のように眠っておられましたな」
「うん、お蔭ですっかり生き返った」
「・・・こうして見ると、父上は、日本人離れした顔立ちですな」
手の甲で両目を擦りながら、「そうかね。どこの国の人に見える?」
「モグラ。穴から引っ張り出されたモグラにしか見えぬ」
「なるほど」
「コンビニに行く前に髭を剃ってくだされ。その顔のまま、万が一にも、れもんちゃんに出くわしたら一大事でござる」
「こんな何もない田舎町に、れもんちゃんが現れるはずがない。れもんちゃんは女の子休暇中だから美容院に行って、可愛さに磨きをかけている頃だろう」
「間違いござらぬ」
「そういうことはないと思うが、空飛ぶ円盤を見掛けたら、急いで引き返して髭を剃ろう。れもんちゃんは、れもん星人だから、移動には円盤を使うのだ」
「うむ。ところで、れもんちゃんの円盤はどんなものござるか」
「見たことがない。多分、軽だろう。色は、レモンイエローだ」
「うむ。きっとナンバープレートには『れもんちゃん』と書いてござるな」
そんな他愛ない話をしながら、マスクで顔を隠して家を出るなり、隣家の奥さん、つまりニートの金ちゃんのお母さんに出くわした。
私の顔を見るなり、「あら、お休みでしたの?」と、嬉しそうに話し掛けてきた。私に会って嬉しそうにする人間は滅多にいないし、金ちゃんママにしても平素は特に愛想がいいわけでもない。多分頼み事だと思ったら、案の定、「実は・・・」と頼み事を始めた。
彼女の話を纏めれば、「夫婦揃って法事のため明日の晩まで家を空けねばならぬが、留守を頼むはずの息子がインフルになってしまい、ペットの世話と、出来れば息子の世話も併せて頼みたい」ということだった。金ちゃんはともかく、ラッピーともんちゃんの為なら一肌脱ぐしかなかった。
金ちゃんパパママの車が出て行くと、私は預かった鍵で隣家の玄関のドアを開けた。
「よしよし、米が炊けた匂いがする」と言うと、シン太郎左衛門は呆れた様子で、
「金ちゃんのお母上、驚いておりましたぞ」
「そうか?」
「うむ。留守番は任せてもらって結構だが、任された以上、徹底的に留守番して、ラッピーたちの散歩を除いて一歩も家を出ない、買い物にも行かない、腹が減ったら、お宅の冷蔵庫にあるものを食べる、早速飯を炊いてくれ、とは中々言えないことでござる」
「そうか」
「留守番ぐらいで恩義に感じてもらう必要もないし、お土産は絶対に要らない、お土産に美味いものはなく、持て余すだけだ、とも、普通は言わぬ」
「俺は儀礼的なことに興味がないのだ」
「うむ。少しは興味を持たれた方がよろしかろう」
金ちゃん宅に上がり込むと、まずダイニングキッチンに入り、炊飯器の飯を確認し、冷蔵庫から食材を選び、調理を始めた。
「チンジャオロースを作る」
「うむ」
「卵スープ付きだ」
「うむ」
「デザートはシャインマスカットだ」
「うむ」
「整理も行き届き、使いやすい、よい台所だ。冷蔵庫も食材満載だ。楽しくなってきた」
「他人の家だという遠慮がまるでござらぬな」
「腹拵えを済ませたら、ラッピーともんちゃんと散歩だ」
「うむ」
「帰ってきたら、れもんちゃんのことを考えながら昼寝だ」
「楽しみでござる」
昼飯を済ますと、コーヒーを淹れて、ゆっくりと寛いだ。ラッピーともんちゃんの居場所はリビングだった。食器洗いを済ますと、リビングのドアをノックして中に入った。ラッピーは雌のラブラドールレトリバーで、もんちゃんはキジトラの雌の子猫だった。早速ラッピーが歓迎して飛んできたが、もんちゃんは警戒して部屋の隅に引っ込んでしまった。
ラッピーの澄んだ優しい眼差しはステキなものだった。彼女の頭を撫でながら、「お前は、れもんちゃんの次に美しい目をしているな」
ラッピーにインディアン・ダンスを教えたり、一緒に「オクラホマ・ミキサー」を踊ったり、楽しく過ごしていると、火照った顔の金ちゃんが入ってきた。金ちゃんは、「職業:ニート」が似合う、30前後のフリーのプログラマーだった。
「お、金ちゃん。インフルだってな。飯は食ったか?」
「プリン、食べました」
「何個?」
「一つ」
「もっと食え。プリンばかりでは飽きる。冷蔵庫にカップゼリーがあったから、それも食え。交互に合計50個食え。それで水飲んで、寝とけ。インフル野郎め、治るまで二度と出てくるな」
「ひどい言い方だなぁ」
「ひどくない。お前の為だ。俺に移したら、お前がラッピーの散歩をすることになるぞ」
「分かりましたよ」と出て行った。
廊下を歩く金ちゃんの足音を聞きながら、「よし、みんな、これから散歩に行くぞ。全員、集合。ラッピー、もんちゃんを連れといで。シン太郎左衛門、みんなに本日の散歩に関する注意事項を伝えろ」
「えっ、拙者が?」
「そうだ」
散歩にあたっての注意事項など一つも思い浮かばないシン太郎左衛門が、クラブロイヤルの利用規約の禁止事項を読み上げて、「1つ、18歳未満の方。2つ、暴力団関係者またはそれに準ずる方。3つ、・・・7つ、同業者のご利用、スカウト、引き抜き行為の禁止。8つ、カメラ・ビデオ機器による撮影・録音及び盗撮・盗聴行為の禁止・・・」などと言っている間に、私はラッピーともんちゃんにお揃いのタータンチェックのハーネスを付けてやった。
「よし、行こう。みんな、注意事項を守れよ。特にシン太郎左衛門、お前が一番心配だ」
「なんで拙者が」
爽やかに晴れた、泣きたくなるほど素敵な散歩日和だった。
「もんちゃんは川に嫌な思い出があるから、丘の上の公園に行こう」
坂をテクテク登り始めてから5分で、もんちゃんは早々疲れてしまい、ラッピーの背に乗せてやった。平日のこの時間、公園に向かう道には我々以外誰もいなかった。
「人目がないから、シン太郎左衛門、お前も出ていいぞ」
「おお、それはありがたい。ラッピー殿、背中に失礼致しまする」
公園にも人影はなかった。小さな公園で、遊具は滑り台とブランコがあるばかり。ベンチに腰を下ろすと、遠くの景色の隅々まで見渡すことができた。ひんやり冷たい風に吹かれてながら、雲一つない青空を見上げた。ラッピーともんちゃんが、じゃれ合っていた。
「動物は可愛いな。れもんちゃん以外の人間には、ほぼ興味が持てない。動物は可愛い」
「父上、少し寒くなってきました」
「だろうな、お前は全裸だからな。パンツの中に戻るか?」などと話していると、突然、ラッピーが南の空を見詰めて、一声吠えた。
ラッピーが見詰める先に目を向けると、小春日和の抜けるような青空を、かなり高度を下げて、ゆっくりと西の方角に向かって、超巨大な飛行物体が音もなく飛んでいた。
「シン太郎左衛門・・・れもんちゃんの空飛ぶ円盤は、軽ではなかった。いや円盤ですらないぞ。ほれ」
私が指差す先を見て、シン太郎左衛門は、「お、おっ!」と声を詰まらせた。
「サイズで言えば空母だな。空飛ぶ空母だ」
「あれが、れもんちゃんのマイカーでござるか」
「ああ、レモンのラッピングがしてあるからな。れもんちゃん以外に考えられない。パッと見たところでは長さは約500メートルだ。世界最大の空母よりもデカい」
「れもんちゃんは、小さな身体ながら、スケールが大きい女の子でござる」
「うん。それにお茶目でもある。船体に『マジカル・ラブリー・プリンセスれもん』と大書きしてある。その周りに輪切りにしたレモンや横から見た紡錘形のレモンが可愛らしく散り嵌められている。空飛ぶラッピング空母だ」
「うむ、自ら『マジカル・ラブリー』とは、中々言えませぬ」
「真実だから許される。むしろ、控え目すぎるぐらいだ」
「間違いござらぬ」
「ミサイル発射口みたいな物騒なものも、たくさん付いてるな」
「宇宙には危険が一杯でござる。流星が飛んできたら、レーザー光線やミサイルを発射して破砕せねばならぬ」
「れもんちゃん、カッコいいな」
「れもんちゃんは、カッコいいのでござる」
「きっと、れもんちゃんの行き付けの美容院は、れもん星にあるのだ。今、そこからの帰りだ」
「うむ。そう考えれば、れもんちゃんの『美容院に行ってきたよ~ん』という言葉には、大変な重みがございまするな」
「うん。れもんちゃん、凄いな・・・」
「やり過ぎでござる・・・」
「れもんちゃんは、いつもそうだ。可愛すぎるし、エロすぎるし」
「しかし、父上・・・こんなクチコミ、誰も信じますまい。あからさまに作り話に見えまする」
「それを言えば、お前が話をしている時点でアウトだ。れもんちゃんの凄さは、事実性の次元に囚われてはいないのだ」
「うむ。間違いござらぬ」
「よし、それじゃ、みんな」と私はグループのメンバーを呼び集めて、一列に並ばせた。
ラッピーは、のどかに飛行を続ける宇宙戦艦に向かって恋しさの籠った長い遠吠えをした。
「素晴らしい眺めだな」
「厳粛な光景でござる」
「よし、それでは、みんな、れもんちゃんに敬礼」
我々4人、いや正確には1人と2匹と1本は横一列に並び、敬礼の仕方を知る者は敬礼をして、優美に飛行する巨大な宇宙船が日の光を反射させながら視界の彼方に消え去るまで見送った。
「よし、帰ろう」
「うむ、そう致しましょう」
「シン太郎左衛門、れもんちゃんのお蔭で楽しい時間が過ごせたな」
「れもんちゃんは、やはり桁違いでござる」
「次に会ったとき、れもんちゃんの髪はサラサラだぞ」
「楽しみでござる」
縺れに縺れた二本のリードを解きほぐすと、我々は公園を後にした。
そして、今日も、れもんちゃんに会った。れもんちゃんは、やはり桁違いに凄かった。髪の毛はサラサラだった。
「れもんちゃんの行く美容院って、どこにあるの?」と訊いたら、「おうちの近くだよ」との答えであった。
我々は、その「おうち」が、れもん星の実家を意味することを知っている。
シン太郎左衛門(あるいは生き物たちの記録)様ありがとうございました。
れもん【VIP】(23)
投稿者:シン太郎左衛門、『れもんちゃんの素顔』に迫る様
ご利用日時:2023年10月8日
我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は武士であるらしい。当人がそう言っている。もし僧侶だったら、多分こんなに長いシリーズにはならなかっただろう。
今日も、れもんちゃんに会ってきた。今回も、れもんちゃんはやっぱり凄かったので、帰りの電車で早速クチコミを書こうとスマホを取り出すと、シン太郎左衛門が「父上、またクチコミを投稿されるお積もりですな」と言ってきた。
「うん、そうだよ」
「最近、似たような書き振りのものが多い。今回は趣向を変えましょうぞ」
「同じ人間が書けば、似たようなものになる。お前なら、どう書く?」
「ヨーロピアン・テーストがよいと考えまする」
全く意味が分からなかったが、「お前がそうしたいなら、それでいいよ」と答えた。
「更に今回は、お色気を大幅増量で、れもんちゃんの真の姿に迫るというのでは如何でござるか」
「ヨーロピアン・テーストで、お色気満載ね。いいね」
「では、宜しくお頼み申す」
「いや。そうではない。今回は、お前が言うとおりに書いてやる。想いの丈を語ってみろ」
「マジで?」
「だから、そういう言葉遣いはやめろ。品がない」
「うむ・・・拙者が書きまするか」
「そうだ。ヨーロピアン・テーストだ」
「うむ」
「更にお色気増し増しだ」
「うむ」
「俺には、さっぱりイメージ出来ないから、お前に任す」
自らの発言に追い詰められ、しばし沈黙したシン太郎左衛門だったが、「うむ、今更後には引けませぬ。武士の覚悟をお見せ致しましょうぞ。ただ、拙者のれもんちゃんに対する想いは無限に大きい。途轍もなく長くなってもよろしいか」
「お前の思うとおりにしたらいい」
「うむ・・・しかし、ものには限度というものがありまする。野放図に長くては周りに迷惑。短くしてもよろしいか」
「どっちでもいい」
「中ぐらいでも?」
「問題ない」
「中ぐらいより少し長くても?」
「さっさと始めろ」
「うむ。拙者、一度始めますれば、立て板に水でござる。書き漏らしのないよう、お頼み申しまする」
「うむ、安心しろ」
「では、始めまする」
「よし」
「・・・本当に始めてよろしいか」
「さっさとやれ」
「・・・いや、その前に『れもんちゃん音頭』で景気付けを致しましょう」
「いらん。さっさと始めろ」
「うむ。では、始めまする」と、シン太郎左衛門は咳払いをして「拙者、フジヤマ シン太郎左衛門は武士にて候」
「うん」
「これは自己紹介でござる」
「分かってるよ。ちなみに、『フジヤマ』って、どんな漢字?」
「『不二山』でござる。『富士山』でもよろしい」
「分かった。なぜ俺と違う名字なのかは分からんが、まあいい。壮大でよい名前だ」
「いかにも、よい名前でござる。富士は日本一の山でござる」
「知ってる」
「れもんちゃんは宇宙一でござる」
「それも知ってる。次、行こう」
「天保山は日本一低い山でござる」
「早く先に行って」
「うむ。ここから一気にお色気満載で、れもんちゃんに迫りまするが、その前に『れもんちゃん音頭』で景気付けを致しましょう」
「くどい。前置きはもういいから、先に行け」
「では」と、シン太郎左衛門は、5、6回は連続して咳払いをした上で、
「それでは。え~、いわゆる、れもんちゃんのオッパイは・・・」
「ちょっと待て、一つ言い忘れてた。クチコミには、不掲載になることがあるからね。お前が普段俺に話しているような内容だと、投稿を読んだ途端にクラブロイヤルの店長の表情が暗くなり、れもんちゃんと相談の上で然るべき対応を取ることになる」
「つまり?」
「不掲載」
「うっ・・・これだけ苦労して書いたものが不掲載でござるか」
「いや、お前はまだ何もしていない。辛うじて自己紹介を済ませただけだ」
「う~む、オッパイはいけませぬか」
「オッパイがダメだとは言わないが、お前がどう続けるか俺にはおおよそ分かるから一応釘を刺しておいた」
「そんな言い方では何をしてよいかが杳として知れぬ。絶対に不掲載となる例を教えてくだされ」
「たとえば、・・・」と一例を示してやると、シン太郎左衛門は、
「それは、まさしく拙者が言わんとしたこと。そう書けば、不掲載でござるか」
「ああ。間違いない」
「・・・それでは、れもんちゃんのオッパイでなく、れもんちゃんのお尻に代えても・・・」
「オッパイだろうが、お尻だろうが、お前が平素れもんちゃんを語っている言葉は、悉く不掲載だ」
「うっ・・・まさか意中の文章が悉く禁じられるとは思いも寄りませなんだ。拙者、まるで存在を否定されたような悲しい気分でござる。こんなことなら自己紹介もせねばよかった」
「そうしたら、何もなくなってしまう」
「今回は、クチコミをパスするしかありませぬな」
「いや、それは出来ない。『今日もクチコミを書くね』と、れもんちゃんに約束したからな。書けないと言うなら、シン太郎左衛門が馬鹿だから、こんなことになったと、れもんちゃんに説明するしかない」
「なんと!!それは困る!!」
「では書け!!」
「しかし、拙者には、オッパイもお尻も禁じられてござる」
「それがどうした。れもんちゃんは魅力がテンコ盛りだ。他にも書くことはあるだろ」
「まさか、父上・・・」
「何が、まさか、だ」
「・・・父上、まさか、アレを描けと仰せでござるか」
「・・・『アレ』と言って、お前が何を考えているか分からんが、まず俺が思ったのは、あの可愛いお顔について書いたらいいということだ」
「もちろん、拙者の思ったのも同じことでござる。しかし、れもんちゃん程の美人になれば、顔の描写が一番エロくなる。間違いなく不掲載でござる」
「そんな話、聞いたこともない。爽やかに書けばいいだけだ。加えて、れもんちゃんは、小顔で細面にしたフランス人形のような華やかな顔立ちの美人だから、これで、お前が課した『ヨーロピアン・テースト』という無理難題もクリアできる」
「そんなものでござるか」
「そうだ。れもんちゃんはナチュラル・メイクだが、使ってるコスメは、メイド・イン・フランスに違いない。これまた、ヨーロピアン・テーストだ」
「分からぬ言葉がテンコ盛りでござる」
「説明してやる。ナチュラル・メークとは、つまり・・・見たことはないが、れもんちゃんは素顔でも美人だ」
「間違いござらぬ」
「その素材の素晴らしさを活かす、あっさり自然なお化粧がナチュラル・メークだ」
「いや、『ナチュラル・メーク』は存知ておりまする。拙者が分からぬのは、『ヨーロピアン・テースト』の方でござる」
「・・・その言葉を持ち出したのはお前だぞ」
「知らぬものは知らぬ。今日、待合室で隣におられた武士が、先日、伊勢・志摩に旅をした折、ヨーロピアン・テーストの村に立ち寄ったが、大変に趣があった、ヨーロピアン・テーストは良いモノでござると述べておられたばかりのことでござる」
「ちょっと目新しいというだけで、何だか分からぬモノを拾ってきおって、お前はカラスか。それに隣の武士に話し掛けるなと言っておいたはずだ!」
「向こうから話し掛けてきたのでござる!」
しばらく気まずい沈黙が続き、今回はどうにもクチコミが纏められないのではないかと不安になってきた。
「シン太郎左衛門、喧嘩をしている場合ではない。二人で力を合わせて、れもんちゃんのお顔をテーマにクチコミを纏めよう」
シン太郎左衛門は、苦虫を噛み潰したような顔で、「こればかりは、正直自信がござらぬ」
「なぜだ。お尻やオッパイについてはあんなに表現力が豊かなのに、お顔の描写のできぬはずがない」
「それが出来ぬ。父上、考えてもみてくだされ。れもんちゃんと一緒の時間の大半、れもんちゃんのお顔と拙者は物理的に離れているのでござる」
「言われてみれば、そうだな」
「拙者、眼鏡が要るほど視力が落ちておりまする故、なかなか、れもんちゃんのお顔がしっかり見えませぬ。れもんちゃんのお顔が、しっかり見えるほどに拙者にグッと接近するのは、ある限られた場面のみでござる」
「分かった。皆まで言わんでいい」
「お色気増し増しにするなら、ここですぞ」
「いや、もういい」
「うむ。今申した理由で、拙者、れもんちゃんのお顔を思い浮かべると、心拍数がガッと上がってしまい、到底クチコミどころではござらぬ」
「なるほど・・・正当な理由だ」
「うむ、正当な理由でござる」
「今日、我々がクチコミを書けないのは、我々親子が揃って馬鹿だからではない」
「うむ。我々は被害者でござる。れもんちゃんがエロすぎるのが悪い」
「そうだ。れもんちゃんが可愛すぎて、エロすぎるから、こういうことになった。約束が果たせなかった責任は、我々ではなく、れもんちゃんにあるのだ」
「うむ。間違いござらぬ。ところで、父上・・・」
「なんだ?」
「れもんちゃんのお顔をもっとしっかり見たいから、眼鏡、買って」
「眼鏡?お前に眼鏡は似合わん」
「じゃあ、レーシック」
「・・・考えとく」
ということで、結局、今回、シン太郎左衛門は、れもんちゃんの素顔に迫ることはできなかった。
シン太郎左衛門、『れもんちゃんの素顔』に迫る様ありがとうございました。
れもん【VIP】(23)
投稿者:シン太郎左衛門(あるいは神戸のベンチで総集編)様
ご利用日時:2023年10月1日
我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は武士である。しかし、サムライではないらしい。どういう理屈かは知らない。
どうでもいいことだが、私は普通の勤め人である。平日は満員電車に乗って職場に通っている。先週は、退屈な会議の類いが目白押しで、毎日ゲンナリしていた。
火曜日の午後も延々会議だった。その会議中に、シン太郎左衛門が突然話し掛けてきた。「早くれもんちゃんに会いたいな~。父上、今日は何曜日でござるか」
彼と私の会話が、どんなメカニズムで成立しているのかは分からないが、口を動かす必要もないし、周囲の人間が聞き取れるものではないようだ。微弱な振動が身体の中を伝わったり、親子だけが共有する特別な周波数が使われているのだろう。
普段は「仕事中だ」とすげなくあしらう所だが、ド退屈な会議だし、声を潜めて、
「まだ火曜日だ」と答えた。
「拙者、実は曜日がよく分かりませぬ。火曜日の次は日曜日、つまり、明日が、れもんちゃんに会う日でござるな」
「違う」
「なんと・・・ああ、そうでござった。火曜日の次が月曜日で、その次が日曜日、れもんちゃんに会う日でござる」
「順番が逆だ。お前は今、過去に向かってタイムトラベルしている。れもんちゃんに会うのは、5日後だ」
シン太郎左衛門、眉間に皺を寄せ「マジで?」
「そういう言葉遣いはよせ。品格を疑われる」
「う~、まだ5日もござるか。父上は、よく我慢できまするな」
「いいか。俺の人生は、退屈や愚劣なこととの、終りのない戦いだ。俺の世界から、れもんちゃんを除けば、残りは全て『下らないこと』と『下らなすぎて耐えられないこと』の2つにスッキリ分類できるのだ。我慢には慣れっこだ」
「う~む。父上がどうお感じかは存じませぬが、拙者には、その世界、何とも気楽に見えまする」
「表向きはな。実際に、身を置けば分かる。れもんちゃんがいなければ、私はいつ自棄を起こすか分からん程度まで、うんざりしているのだ」
「なるほど、そんなものでござるか。ところで、今、父上は何をしてござるか」
「何というほどのことはしていない。俺を含め15人ほどのオッサンが集まって、読めば分かる書類の読み聞かせをしている。中身の無さでは日向ぼっこレベルで、出席者の表情の沈痛さでは謝罪会見に似ている。下らなすぎて耐えられない」
「うむ・・・」と、シン太郎左衛門、少し考えて、「『れもんちゃん音頭』でも歌いましょうか」
「そういう状況ではない」と申し出を断ろうとしたとき、ふと気が変わった。
「うん。小さい声で歌ってみて」
「畏まってござる」
「ただし、本当に小さな声でね」
「うむ。如何様にでもなりまする。拙者、最近知りましたが、右の玉を捻ると、音量が調節できまする」
「玉って、お前の側にいるヤツ?」
「うむ。右の玉は音量ツマミでござる。逃げ回るのを押さえ付けて捻りますれば、拙者の声が大きくなったり、小さくなったりする」
「・・・ちなみに、左の玉は?」
「エコー」
「マジか?」
「拙者、ウソは吐きませぬ」
「玉々に、そんな機能があったんだ・・・知らんかった。そしたら、音量控えめで、エコーを少し効かせてみて。それと、今回は苦労左衛門を呼ばないでね」
会議はその後かなり楽しかった。エコーの効いた『れもんちゃん音頭』をバックに、財務部長が重々しい口調で資料を読み上げる様が強烈に下らなすぎて、笑いを押し殺すのが大変だったし、その後も会議が終わるまで思い出し笑いを抑えるのに必死だった。長い時間、全身を戦慄かせていたので、最後には、すっかり体力を使い果たし、会議が終わっても、しばらくは椅子から立ち上がれなかった。
大体こんなふうに、1週間を乗り切った。
そして、今日、またしても日曜日。
鬱陶しい1週間を乗り切った安堵も手伝って、昨晩は、れもんちゃん前夜祭として、親子そろって遠足前日の小学生のように大ハシャギだった。そして、その勢いそのまま、今朝はいつもより相当早く目が覚めてしまった。
「シン太郎左衛門、起きたか?」
「起きましてござる」
「日曜日の朝だ」
「へへへへ。れもんちゃんの日でござる」と、シン太郎左衛門はだらしなく笑った。
「日曜日だ」
「へへへへ、れもんちゃん、可愛い」
「日曜」
「へへへへ、れもんちゃん、美人」
「ニチ」
「へへへへ」
「ニ」
「・・・それでは笑えぬ」
「なるほど。『れもんちゃん反応』は最低でも2文字を必要とするようだが・・・れ」
「へへへへ、れもんちゃん、エロ美人」
「ただし、『れ』だけは特別である、と。まあいい。『れもんちゃん反応』の実験をしたせいで、目が冴えてしまった」
とりあえず起きて、朝食を済ました。時計を見たら、まだ6時前だった。
シン太郎左衛門は、「父上、家にいても仕方ない。『レッツゴー、れもんちゃん!!』でござる」と言うが、出掛けるには、さすがに早すぎた。
「今、何時だか分かってる?卯の刻、明六つだぞ」
「うむ。それは確かに早い。普段から早々に家を出て、神戸駅周辺で持て余した時間を潰すのに四苦八苦してござるのに、今日は計算上いつもより更に5時間余計に持て余すことになりまするな」
「計算上だけでなく、実際そうなるのだ。もう少し家にいよう」
「いや、一度武士がこうと決めた以上、一刻の猶予もなりませぬ。父上、『レッツゴー、れもんちゃん!!』の時間でございまする」と、シン太郎左衛門は声を凄ませた。
渋々身支度をして、家を出たが、外はまだ暗かった。
ここから長い1日が始まった。
神戸駅に着いた。
ジタバタ動き回って、無駄に体力を使いたくなかったので、缶コーヒーを買って、バス乗り場のベンチに腰を下ろした。シン太郎左衛門は電車に乗った途端に眠ってしまい、まだ寝ているようだ。
「シン太郎左衛門、話をしよう」と誘ったが、返事がない。
しょうがないので、神戸駅周辺を少し散歩したが、店も開いていないし、また缶コーヒーを片手にベンチに舞い戻った。そんなことを何度となく繰り返した。そのうち身体がコーヒーを受け付けなくなったので、スポーツドリンクに切り替えた。味が変わったせいか、妙に美味く思えて、アッと言う間に飲み干した。時計を見ても、神戸到着から時間はほとんど経っていなかった。
「れもんちゃんに会うまで、まだ5時間以上もあるのか」
持ってきた本は電車の中で読み終えていたし、スマホを弄る気にもならなかった。間が持たないので、また缶コーヒーを買った。
そうこうしている間に、シン太郎左衛門が目を覚ました。
「もう神戸に着きましたか」
「ああ、とっくの昔にな」
「で、今何時でござるか」
「まだ後5時間ほど時間を潰さねばならん」
「悲惨でござるな」
「お前のせいだ」
「ところで父上」
「なんだ?」
「オシッコ」
「そうか、ちょうどいい。俺も行きたかった」
公衆便所で用を済ますと、またバス乗り場のベンチに戻ったが、途中で自販機で缶コーヒーを買おうとしたとき、
「父上、待たれよ。拙者が知らぬ間に、相当コーヒーを飲まれましたな。拙者の頭の上で、お腹がチャプチャプ鳴ってござるぞ」
「そうか」
「頭上に氷枕が吊るされているようで不快でござる。ましてや、れもんちゃんと会っている間に、用が足したくなっては一大事。お控えなされませ。5時間のうちに、氷枕を空にせねばなりませぬ」
「分かった。ただ、暇を持て余すと、コーヒーに手が伸びてしまうから、何でもいいから、話が切れないようにお前も協力しろよ」
「御意」
それから二人は、れもんちゃんに対する想いを語り合い、れもんちゃんを褒め称えたばかりでなく、「れもんちゃんしりとり」にうち興じたり、二人で「れもんちゃん絵描き歌」を歌って似てない似顔絵を紙が尽きるまで描いたり、とにかく必死になって、有り余る時間を出来るだけ有意義に過ごそうと頑張った。それは、やがて『シン太郎左衛門シリーズ』の総集編の様相を呈していった。シン太郎左衛門に「れもんちゃん音頭」を歌わせて、歌詞を覚えている1番だけは合唱もした。もちろん、その合間合間、シン太郎左衛門の「父上、オシッコ」に促されて、便所にも行った。
ちなみに、今回、「れもんちゃん音頭」のラップの歌詞は一部が、
自販機見つけて缶コーヒー
何本飲んだか、馬鹿おやじ
歌えど、踊れど、しりとりすれど
オシッコしたいが先に立つ
ベンチとトイレを行ったり来たり
同じ朝顔、見飽きたぜ
と変えられていた。
・・・これぐらいにしておくが、実際の感覚で言うと、この10倍の文章を書き連ねても足りないぐらいだった。
やっと時間になったので、クラブロイヤルに向かった。
れもんちゃんに会ってからは、時間はアッと言う間に過ぎた。今日は殊更短く思えたが、それは単に神戸駅周辺で朝から空騒ぎをしたことに因るものではない。れもんちゃんが、またしても大幅なパワーアップを遂げていたことが最大の要因である。
れもんちゃんの余韻によって、クラブロイヤルを出て以降、シン太郎左衛門はずっと「へへへへ」と、だらしなく笑っている。
れもんちゃんが、どこまで凄くなるのか、私には全く想像もできない。
シン太郎左衛門(あるいは神戸のベンチで総集編)様ありがとうございました。
れもん【VIP】(23)
投稿者:シン太郎左衛門(あるいは着脱式の武勇伝)様
ご利用日時:2023年9月24日
我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は武士を自称している。それが何を意味するのか、私にはよく分かっていないが、立ち入るのは面倒なので、受け流している。
日曜日の朝。
今日も、れもんちゃんに会いにいくから、二人ともニコニコ笑顔で過ごしていた。
と、シン太郎左衛門が、「『シン太郎左衛門シリーズ』も早20回を数えまする」と、なんとなく誇らしげだ。
「20回か・・・もうそんなになるのか・・・」と言ってはみたが、何の感慨もなかった。
「それもこれも読者の皆様のご愛顧の賜物でござる」
「『読者の皆様』って、誰のこと?」
「それは・・・れもんちゃん」
「そうだ、れもんちゃんだ。れもんちゃんだけだ。少なくとも俺は他の読者の存在を感じたことはない。れもんちゃんは、『この前来てくれたお客さんが、シン太郎左衛門、面白いって言ってたよ』とか言ってくれるが、優しいウソに決まってる。こんなもの、面白いはずがない」
「れもんちゃんしか読んでいない上に、唯一の読者であるれもんちゃんにも余計な気を使わせているだけということでござるな」
「そういうこと」
「我々親子、相当にイタい奴らでござる」
「そういうこと。お前、まさか世間で『シン太郎左衛門シリーズ』が人気沸騰で、ファンレターの一つでも来ると期待してたのか?」
「うむ。そのうち『時下益々の御活躍、お慶び申し上げ候。貴殿のシリーズ、毎週、鶴首致しおり候』というメールでも来るかと」
「そんなことあるか」と笑い飛ばしかけたが、苦労左衛門の件が頭を過り、急に不安になった。
「お前、まさか変なことしてないよな?」
「うむ。変なことはしてござらぬが・・・」
「が・・・?」
「クラブロイヤルの待合室で隣りに誰かおられれば、声をかけまする。『もし、お隣の御仁。不躾ながら、貴殿、武士ではござらぬか』と訊いて、『麿は武士ではおじゃらぬ』とあれば、『これはお公家さま。ご無礼致しました』と詫びまする。『いかにも拙者、武士でござる』とのことであれば、れもんちゃんを宣伝するが、決まって『れもん姫のご高名はかねがね聞き及びまするが、確かいつも予約が一杯のはず』との事でござるによって、『シン太郎左衛門シリーズ』を紹介し、『拙者、このシリーズに出演してござる。是非ご一読の上、ご意見・ご要望は、こちらまで』と父上のメールアドレスをお伝えする」
しばし言葉を失った。
「お前・・・そんなことをしてたのか・・・即刻、メアドを変更しよう」
「いや、それには及びますまい。結局、誰も『シン太郎左衛門シリーズ』は読んでない」
「う~ん、それはそうだが・・・いずれにせよ、今後、隣の武士と話すのは止めてね。特に『シン太郎左衛門シリーズ』を勧めるのは絶対止めること。恥ずかしすぎる」
「うむ」
こんな他愛のない会話を交わし、時間になったので、「レッツゴー、れもんちゃん!!」を連呼しながら家を出た。
駅までの道々、隣家の御曹司、ニートの金ちゃんに出会った。正確を期せば、疲労の余り悲壮な表情を浮かべる金ちゃんを引き摺りながら溌剌と散歩するラブラドール・レトリバーのラッピーに出会った。
「ラッピー、いつも元気だね。でも、もう少しお手柔らかにしてあげないと、金ちゃん、死にかけてるよ」と声をかけた。
それから、しばらく一緒に歩いていると、川のそばでラッピーが何を思ったか、突然トップスピードで駆け出した。
「ラッピー、だめ!」
金ちゃんは必死になって追い縋ったが、バタバタとした足取りで今にも倒れそうだった。
「おじさん、助けて!」との叫びに全速力で駆け付けて、金ちゃんの手を離れたリードの端を間一髪掴み取った。
しかし、ラッピーのパワーは、想像を遥かに超えていた。川に向かって猛然と進むラッピーを引き留めることは、私の手に余る難事業だった。
「ラッピー、止まってくれ!」
このまま土手に突き進めば、斜面に足を取られて派手に転び、一気に加速のついた私の身体は、ラッピーさえも追い抜いて、瞬く間に川面に大きな水柱を立てるだろう。
思わず、「シン太郎左衛門、お前も手を貸せ」と叫ぶと、ズボンのチャックがスッと下り、小さな影が宙を舞った。
次の瞬間、シン太郎左衛門は、ラッピーの背に乗り、首輪をしっかりと握り締めていた。ただ「乗りこなしている」と言うのは当たらない。「必死にしがみついている」だけで、何の助けにもならなかった。
「シン太郎左衛門、前言撤回だ。戻れ」
「無理でござる。ラッピーを止めてくだされ」と言ったシン太郎左衛門の声は恐怖に震えていた。
「それができれば、とっくにやっている」
もう土手は目前だった。私の体力も尽きようとしていた。
そのとき、「なんと・・・うむ・・・子猫が・・・畏まってござる。父上、ラッピー曰く、猫が溺れてござる。ラッピーと救出いたす。縄を離してくだされ」
「大丈夫か?」
「心配めさるな。拙者は武士でござる」
「分かった。今日は、れもんちゃんの日だぞ。くれぐれも忘れるな」
「忘れはせぬ。れもんちゃんでござる」シン太郎左衛門は状況度外視で、へへへへと笑った。
私の意思によらず、リードは私の手から離れていた。
黒いラブラドール・レトリバーは、土手の斜面を一気に駆け下ると、静かに流れる川に大跳躍でダイブした。そして、水をくぐって、すぐに頭をもたげた。シン太郎左衛門も一緒だった。二人が目指す先には、確かにキジトラの子猫が流されていた。ラッピーは俊敏な動きで泳ぎ寄り、シン太郎左衛門が手を貸して、子猫をラッピーの背に登らせた。
「拙者が参ったからには、もう心配無用でござる」とネコに語りかけて、シャーと怒られると、シン太郎左衛門はこちらに手を振り、「父上、もう大丈夫でござる。駅で落ち合いましょうぞ。ラッピー殿、忝ないが駅の近くまでお願い致しまする」
私は、土手の遊歩道に立って、彼らを見送った。
穏やかな秋晴れの空の下、子猫とシン太郎左衛門を背に乗せて、悠々と泳ぐラッピーの優美さに、さすがは『チームれもん』のメンバーだと惚れ惚れとしていると、
はあ~、広い世界にただ一輪
可憐に咲いたれもん花・・・
川面を渡る風に乗り、シン太郎左衛門の歌声が聞こえてきたが、ラッピーたちが遠ざかるにつれ、やがて聞こえなくなった。
シン太郎左衛門は駅のベンチにポツンと座っていた。隣に座ると、周囲を見回しながらズボンのチャックを下ろし、「戻れ、シン太郎左衛門」と言うと、ヤツは三段跳びの要領で定位置に戻った。カチッというラッチを掛ける金属性の音がした。
「お前が着脱式だとは知らなかった」
「拙者、着脱式の武士でござる」
「なるほどね。世の中には不思議なことが沢山あるなぁ。でも、最大の神秘は、やっぱり、れもんちゃんだ」
「当然でござる」
「これまで何の武勇伝もなかったお前だが、今日、まったく畑違いのジャンルにせよ、小さな武勇伝を作ったな。これをクチコミで、れもんちゃんに伝えよう」
「そうしてくだされ」
「それと、お前、川の臭いがする」
「神戸に着いたら、外して洗面所で丁寧に洗ってくだされ」
そのとき、ホームに新快速到着のアナウンスが流れた。
言うまでもないことだが、今日も、れもんちゃんは凄まじかった。
そして家に戻ってから、隣家を訪ねると、金ちゃんの家には新しい家族ができていた。私の勧めによって、そのキジトラの名前は、もんちゃんになった。
さる高貴なお方に因む名前だが、そのまま使うと畏れ多いので、少し変えてある。
シン太郎左衛門(あるいは着脱式の武勇伝)様ありがとうございました。
ゆあ(22)
投稿者:チョコザップ様
ご利用日時:2023年9月20日
ゆあちゃんと2回目の誕生日のお祝いが出来ました。お会いする度に笑顔で喜んでもらえて、いつも最高の時間を過ごせています。太客にはなれませんが、良客でいたいといつも思っています。これから忙しくなるようですが、身体に気をつけて頑張って下さいね。気になる事は遠慮なく言って下さいね。我慢して嫌われるより、言ってもらえる方がいいですから。ゆあちゃんこれからもよろしく。また来年もお祝いができますように。
チョコザップ様ありがとうございました。
れもん【VIP】(23)
投稿者:シン太郎左衛門と『れもんちゃんの燦然と耀くお出迎えの笑顔』様
ご利用日時:2023年9月17日
我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は武士である。最近は剣術の稽古もサボってばかりだし、まずもって本物の刀を持ったことがないと言うのだが、それでも武士であると、当人は主張している。
今日も、れもんちゃんに会ってきた。
それに先立ち、今朝、家を出る前に、シン太郎左衛門との間で一悶着あった。お出迎えのときの、れもんちゃんの笑顔が眩しすぎると、私がうっかり口を滑らせてしまったのが、事の起こりだった。シン太郎左衛門は憤然として、「拙者にも『れもんちゃんの燦然と耀くお出迎えの笑顔』を拝む権利がござる」と主張し、待合室で呼ばれたらズボンとパンツを下ろして、れもんちゃんとの対面に臨むべしと要求してきた。
「そんなこと出来ると思うか?スタッフさんだけでなく、他のお客さんも見てる前で、そんなことをしてみろ、頭を掻き掻き、『すみませんねぇ』と申し訳なさそうにしていても、出禁はほぼ確定だ。それっきり、れもんちゃんに会えなくなる」
シン太郎左衛門は、こんな分かりやすい説明でも納得せず、
「『れもんちゃんの燦然と耀くお出迎えの笑顔』を拙者に見せないつもりなら、父上も見てはならん。お出迎えのときには、頭からスッポリ、コンビニのレジ袋を被られませ」などと理不尽なことを言い出した。
「嫌だ。足元が見えなくて危ないし、れもんちゃんに『この人、どうしちゃったの?なんか恐い』って気持ち悪がられる。それでなくても、変なクチコミを書き散らす変な客なのに、これ以上印象を損なってどうする」
しかし、シン太郎左衛門は「『れもんちゃんの燦然と耀くお出迎えの笑顔』に関しては一歩も譲れませぬ」と、徹底抗戦の構えである。れもんちゃんに関することでヘソを曲げたシン太郎左衛門は本当に手が付けられない。
「感動は分かち合えば倍になる、と言いまする。みんなと喜びや感動を分かち合いたいという心もなく、父上はクチコミを書いておられるのでござるか」と面倒臭いことまで言い出した。こうなると、もう普通のやり方では解決しないのだ。
「分かった。そこまで言うなら、どうにか『れもんちゃんの燦然と耀くお出迎えの笑顔』を見せてやる」
「『れもんちゃんの燦然と耀くお出迎えの笑顔』、見せてくださりますか」とシン太郎左衛門は満面に笑顔を耀かせた。
「うん。ただ今回限りだぞ」
「一度で我慢いたしまする」
「それに、さっきも言ったように、正面突破を試みれば、出禁が待っている。だから、搦手から攻める」
「うむ、『れもんちゃんの燦然と耀くお出迎えの笑顔』を拝むには並大抵ではない危険が伴うこと、拙者も充分承知でござる。して、どのような策略を講じておられまするか」
「案内を受けて、カーテンが開いた瞬間、インディアン・ダンスを始める」
「な、なんですと・・・まったく訳が分からん」
「今から半世紀前、小学校の学芸会で踊ったきりだが、簡単すぎて忘れようにも忘れられない。いきなり、それを踊る。れもんちゃんは唖然として、表情が凍り付く」
「父上、お気は確かか」
「お前は、インディアン・ダンスを見たことがあるか?」
「ありませぬ」
「こんな感じだ」と、一くさり踊ってやった。
「どうだ?」
「なんとも言えぬ気マズさでござる。口を叩きながら『お、お、お、お』と言う、雄叫びのようなものが、身を捩りたくなるほど気持ち悪い」
「だろうな。俺がふざけたことをするのはクチコミの中だけだ。れもんちゃんの前では、一貫して真面目な紳士で通してきた。れもんちゃんも、まさか今日に限って、カーテンが開いた途端、インディアン・ダンスが始まるとは想像もしていない。『れもんちゃんの燦然と耀くお出迎えの笑顔』はカチンと音を立てて凍り付く。瞬間冷凍だ」
「そんなことしていいのでござるか」
「お店の禁止事項に『インディアン・ダンス』とは書いてないが、それでもダメに決まってる。ただ、そのまま勢いで部屋に入って、ズボンを脱ぎながら、事情を説明する。お前が外に出たぐらいのタイミングで、れもんちゃんは状況が呑み込めて、強張った表情が解凍される。お前は、念願の『れもんちゃんの燦然と耀くお出迎えの笑顔』を拝むことができるわけだ。どうだ?」
「うう・・・これはひどい。れもんちゃんは本当に健気な頑張り屋さんでござる。拙者、そんな可愛く優しいれもんちゃんを不快な目に遭わしてまで、自分の想いを遂げる気はない。今回の件はなかったことにしてくだされ」
「賢明な判断だ。それでこそ武士だ。今日、れもんちゃんに会ったときに、シン太郎左衛門が、こんな立派な考えを持っていることを伝えよう。れもん姫から特別素敵なご褒美があるだろう」
「特別素敵なご褒美でござるか・・・へへへへ」
シン太郎左衛門のだらしなくニヤけた顔は、ちっとも武士らしくなかった。
そして、れもんちゃんは、今日もやっぱり凄まじかった。
クラブロイヤルからJR神戸駅までの帰り道、シン太郎左衛門と私は、れもんちゃんの底無しのエロさについて、千万語を費やして激論を交わしていた。
神戸駅から新快速に乗っても、激論は止まらない。双方、口角泡を飛ばして、れもんちゃんがどれだけ凄いかを巡って火の出るような大論争を繰り広げた。
自宅の最寄り駅で降りた後も、ホームのベンチで「れもんちゃんエロすぎ問題」を巡る死に物狂いの論戦が再燃し、その余りの熱量に駅舎が炎上し、消防車が出動した。
夜空を焦がすほど燃え盛る駅舎を背にして、我々は家に向かって歩いていった。もちろん激論は続いている。『れもんちゃんの燦然と耀くお出迎えの笑顔』を論点に加えなくても、我々親子にはすでに論じなければならない「れもんちゃん問題」が山積していた。
我々二人の主張は、ほぼ完全に同じだった。しかし、論争には終わりが見えなかった。
シン太郎左衛門と『れもんちゃんの燦然と耀くお出迎えの笑顔』様ありがとうございました。
れもん【VIP】(23)
投稿者:シン太郎左衛門とシリーズ最終回様
ご利用日時:2023年9月10日
我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は武士である。当人はそう言って譲らないし、議論するだけの値打ちもない話だから、ソッとしておいてほしい。
今日も、れもんちゃんに会った。
帰りの電車の中、しばらくはシン太郎左衛門と、れもんちゃんは今日も破格の凄さだったとか、可愛さが五臓六腑に染み渡ったとか、ああだ、こうだ、そうだ、どうだと、れもんちゃんを讃えてまくった。
そのうち、シン太郎左衛門は黙り込み、れもんちゃんの余韻に浸り出したので、私はこうしてクチコミを書き始めた。
どれくらい時間が経ったか、シン太郎左衛門が話し掛けてきた。
「父上、またクチコミでござるか」
「そうだ」
「毎回、よく似た話を書いて、飽きませぬか」
「生活の一部になってしまったから、飽きるとか、そういう感覚がない」
「なるほど。ところで、父上、『シン太郎左衛門』シリーズは、最後どのような結末となりまするか」
「そんなこと、考えたこともない」
「それはいかん。拙者、『シン太郎左衛門』シリーズの最終回を考えました。使ってくだされ」
「今回のクチコミで?」
「うむ。父上のお気に召せば、今回使ってくだされ」
「でも最終回なんだよな」
「シリーズ最終回でござる」
「来週も、れもんちゃんと会う予約をしてるけど、そのクチコミは書かないってこと?」
「それはそれで、書いてくだされ」
「来週は『シン太郎左衛門』シリーズじゃないクチコミを書くってこと?」
「もちろん『シン太郎左衛門』シリーズで書く」
「でも、今回が最終回なんだよな?」
「最終回でござる」
「それなのに来週も『シン太郎左衛門』シリーズの続きなの?・・・それとも再放送?」
「クチコミの再放送とは初めて聞く。もちろん新作でござる」
「それじゃ、今回が最終回にならないだろ」
「最終回と最後の回が同じでなければならぬという決まりはござらぬ。今回は最終回でござるが、最後ではない。その後もダラダラと続けるのでござる」
「趣旨が理解できん。そういうことは普通はしない。なんで、そんな面倒くさいことするの?」
「話の性質上、やむを得ない。拙者の考えた最終回はいつ起こるか分からない事件を扱ってござる」
私はどう応じたものか、すぐに考えが纏まらなかった。
「う~ん、確かに『シン太郎左衛門』シリーズは、クチコミとしては異例のものではある。しかし、一応はドキュメンタリーなんだ。堂々と作り話だと言われたら、却下するしかない」
「作り話ではござらぬ。ただ、いつ起こるか分からぬのでござる」
「う~ん。じゃあ、どんな話なの?聞きたくないけど聞いてやる。ホントに聞きたくないけど」
シン太郎左衛門は神妙な顔で、咳払いをすると、「父上、れもんちゃんの故郷がどこか、ご存知か」
「れもん星だ。れもんちゃん自身が言っていた。れもんちゃんは、れもん星人だ」
「いかにも。それゆえ、いつの日か親戚の結婚式に出席するため、れもん星に帰ってしまう」
「そういうこともあるだろうさ。いわゆる帰省だ」
「それを許していいのでござるか」
「止める理由がない。お祝い事だし」
「もし、れもんちゃんが親戚の結婚に参列するとなれば、この最終回が発動いたしまする」
「どういうこと?」
「父上はご存知ないのでござるか、れもん星の結婚式は最短でも5年は続くのでござるぞ」
「うそ~。知らんかった。そもそも俺は、れもん星の風習について何一つ知らん。5年以上も結婚式を続けるのかぁ。れもん星人って、のんびりした人たちだなぁ。れもんちゃんのおっとりしたところは、れもん星人らしさの表れということだな」
「何を悠長なことを仰せでござるか。れもんちゃんが親戚の結婚式で帰省したら、もう二度と会えないかも知れませぬ」
「それは困る。確かに5年は長すぎる。戻ってきてくれたときには、俺たちは土に返ってるかもしれん」
「そうでござる。大変なことでござる。なので拙者は戦いまする」
「戦うの?誰と?」
「れもん星人の催眠光線に操られた武士たちと戦う」
「随分と話が飛躍した。でも、間を埋めなくていいよ。割りと簡単に推測できるからね」
「うむ。このような事態を見越した最終回でござる。前・後編に亘り、れもんちゃんを地球から奪われまいとする拙者・シン太郎左衛門と催眠光線で魂を抜かれた武士たちとの血みどろの闘いを描きまする」
「まさか、それを俺に書かすつもり?」
「うむ。拙者は一人、相手は数千。多勢に無勢でござる。拙者は全身に刀傷を負い、最後は、神戸駅の改札あたりで、感動のセリフを言った後、仁王立ちで力尽きるのでござる」
「そうなんだ。ちなみに、その感動のセリフは聞かせないでね。せめてもの救いとして」
「このセリフが大事でござる」
「いや、いい。却下。100%無理」
「タイトルは『武士よさらば(シン太郎左衛門、暁に死す)』様でござる」
「人の話、聞いてた?却下だって」
「なんと。何ゆえ却下でござるか」
「お前と俺では見えてるものが違うんだ。お前目線では、れもんちゃんのための壮絶な戦闘シーンが繰り広げられて、ヒロイズムに浸れる話なのかもしれないが、俺目線ではそうじゃない。武士といっても、令和の武士には漏れなくお父さんが付いてくる。俺から見れば、神戸の町を歩いていたら、催眠光線を浴びて表情が虚ろな、下半身剥き出しの男たちに突然取り囲まれて、訳も分からぬまま、押しくら饅頭で揉みくちゃにされるという理不尽な話でしかない。全く意味不明だし、生理的にも受け付けない」
「なるほど。つまりは、ミクロとマクロの違いでござるな」
「う~ん。何とも返答のしようがない」
「いずれにせよ。れもんちゃん程エモい娘はこの世に二人といないのでござる。ずっと地球にいてほしい」
「お前がその言葉を使うのは頂けないが、れもんちゃんはまさにエモで、その存在は奇跡と呼ぶべきものだからな」
「それが『シン太郎左衛門』シリーズのメッセージでござる」
「そうだ。ギュッと詰めたら約20文字だ」
「父上は毎週毎週その20文字を何千文字にも膨らませておられる。大変なことでござるな」
「そうだ。やっと分かったか。メッセージの次元では、『シン太郎左衛門』シリーズは毎回が再放送なのだ。ストーリー的にも何の発展もないしな」
「つまり、最終回はとっくの昔に過ぎているということでござるな」
「そういうことになる」
私がそう言ってしまうと、親子揃って、ポカンとしてしまった。しばし時間をおいて、シン太郎左衛門が、「また来週も楽しみでござる」
「そうだな。れもんちゃんには、親子揃って毎週楽しみにしてるんだから、親戚の結婚式に列席するのは止めてね、って頼んでおこう」
「そうしてくだされ」
「ちなみに、れもん星では結婚式が5年も続くって、どうして知ったの?」
「れもんちゃんのことをぼんやり考えているとき、そういうことだったら、嫌だなぁ、と思ったのでござる」
「・・・別に、れもんちゃんから聞いたんでもなく、苦労左衛門の予知とかですらないんだ・・・」
「うむ。拙者の単なる臆測でござる」
最早手遅れ、歯ぎしりをするのが関の山だった。
シン太郎左衛門とシリーズ最終回様ありがとうございました。
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昨日の昼休み、職場の近くのラーメン屋で食券販売機の下に釣り銭を落としてしまって、しゃがんだ拍子にトランクスが股の部分で音を立てて裂けてしまった。
シン太郎左衛門が「父上、ビリっといきましたな」
「大丈夫だ。被害はズボンまで及んでいない。パンツだけだ。随分と履き古したからな。いわゆる寿命というヤツだ」
「とは言え、拙者、早速すきま風に晒されてござる」
「武士のくせに、すきま風ごときで泣き言を言うな」
カウンターに座って、店員に食券を渡した。
「父上は、この象さんのパンツがお気に入りでござったな。週に2、3回は履いておられた」
「気に入っていた訳ではない。偶々そうなったのだ。確か5年前、ショッピングモールの衣料品コーナーで買ったのだ。象さんは『このワゴンの商品、どれでも3点で500円』とは思えない精勤ぶりだった」
「寂しくなりまする」
「大丈夫。まだキリンもペンギンとライオンもいる。ラッコもアシカもカバもいる。シマウマもいる」
「父上のパンツは、実に揃いも揃って動物が描かれてござる」
「あのとき、いくらあっても困るものでないと、動物のプリント柄のパンツをワゴンごと買い占めてしまったからな。こんなに丈夫だとは思いもよらず、一生分どころか人生3回分の動物パンツを買ってしまった。そいつらが押し入れで大きな段ボール箱に山盛りになって出番を待ってるのを見ると、気分が悪くなる。象さんだけでもまだ10頭はいる。みんな、丈夫で長持ちの優れモノだが、デザインが雑すぎて、まじまじ見てるとイライラしてくるのが珠に傷だ」
「父上は基本的にマヌケでござる」
「そのとおりだ」
ラーメンが出てきたので、胡椒を振った。
「父上は、着るものに頓着がなさすぎでござる」
「それは少し違う。着ている自分に興味がないだけだ。モノの良し悪しは大体分かる。れもんちゃんの着ているモノは、しっかり賞翫している」
シン太郎左衛門は、へへへへとだらしなく笑い出し、「『れもんちゃん』と聞くと、身体がポカポカして、すきま風の冷たさを忘れまする」
「れもんちゃんは、冬の日のお日様のような有難いお方だ」
「うむ。それに、れもんちゃんのパンツは可愛い」
「ブラジャーも可愛い」
「いや、拙者は断然パンツ派でござる」
「そういう派閥的な発想を持ち込むべきではない。パンツとブラジャーは一致団結して、れもんちゃんの魅力を引き立てているのだ」
「うむ。れもんちゃんの身体は、それは美しいものでござる」
「そうだ。だから、下着たちにも引き立て甲斐があるというものだ。れもんちゃんの下着は、有名メーカーの高級ブランドだぞ」
「なんと。それって、お高いんじゃない?」
「・・・なんだ、その武士らしくない物言いは?いつもの『マジで?』よりも悪質だぞ」
「では、もとい。さぞ値の張るものでござろう」
「当然だ。我が家の動物パンツが束になって掛かっても、れもんちゃんのブラジャー1つに敵わぬのだ。比較するのも畏れ多い」
「なるほど、れもんちゃんは、そんな高級な下着を数多所持しておられるのでござるな」
「そうだ。毎回違うのを身に着けている。新作が出るたびに買い揃えていると思われる。ドッサリと買うんだろう」
「ドッサリとは、どれくらいでござるか」
「ショップに入って、ほぼ店ごと買う」
「店ごとでござるか。それは大変な荷物になりましょうぞ。まさか、れもんちゃんが背負って帰るとも思われませぬ」
「当たり前だ。れもんちゃんは、会計が済んだパンティやブラジャーを魔法の杖で叩いていくのだ。そうすると、羽が生えて、蝶々や小鳥のようにパタパタと飛び立って、店の外に出ていく。三ノ宮の街の上に広がる青空に、羽の生えた、色とりどりのパンティやブラジャーが大群となって飛んでいる」
「美しい景気でござる」
「そして、その向かう先は・・・」
「その向かう先は?」
「例の空飛ぶ空母だ」
「おお、れもんちゃんの自家用車。先日のアレでござるな」
「そう。あの空飛ぶ空母の中に吸い込まれるように消えていく」
「・・・見てきたような嘘でござるな」
「いや、目撃者も多数いる正真正銘の真実だ。ただ、全員その直後に記憶を消されてしまった」
「うむ。それであれば真実でござろう。ただ誰が彼等の記憶を消したかは謎として残りまするな」
「当然れもんちゃんだ」
「れもんちゃん、恐るべしでござる」
「うむ。それはそうと、空母の中には巨大なウォークイン・クローゼットがあって、パンティとブラジャーは、その体育館のように広い空間で楽しく飛び回って暮らすのだ」
「なるほど」
「そして、出勤前になると、れもんちゃんは、伸縮自在の長い柄を持つ虫取網を持って、そのウォークイン・クローゼットに入る。その日の予約の数に合わせて、またお客の好みを考えて、キャッキャと、はしゃぎながら、飛んでるパンティとブラジャーを追い掛け回し、ペアで捕獲して優しくバッグにしまうのだ。こういう感じだから、れもんちゃんの下着はとても活きがよい」
「ぶっ飛んだ話でござる。さすがに誰も信じますまい」
「イメージだ。信じなくていい。感じるんだ」
シン太郎左衛門は、大きく頷き、「うむ。確かに、れもんちゃんにピッタリの話でござる。そして、れもんちゃんには、可愛い秘密が一杯でござる」
「そうだ。よし、では、行こう・・・おネエさん、お愛想」
「父上、ここは食券による前払い制でござる」
「そうだ。忘れていた。毎回、これをやってしまう」
「父上は、根っ子の部分でマヌケでござる」
店を出て、職場への帰り道、シン太郎左衛門が性懲りもなくラップを始めた。
Yo, yo, yo, yo, yo, yo, yo, yo
ラーメン食べたら、パンツが破けて、
股間に木枯し吹き荒れる。でも、
丸いお尻にTバック、へへ、真ん丸お尻にTバック、へへ
れもんちゃんたら Yo, say パンツ、れもんちゃんたら Yo, say ブラジャー
アカギレ、シモヤケ、なんでも治るぜ
凍れる冬に欠かせない yo
ラブリー・フェアリーれもんちゃん
全く意味不明に思えたが、風は股間を中央に冷たくとも、見上げた空が青かったから、スルーした。
そして、今日れもんちゃんに会った。
れもんちゃんは、当然凄すぎたし、れもんちゃんの下着には、やっぱり可愛い羽が生えていた。